平和を創り出す宮古ネット通信

宮古島の平和を願う3人の市民が始めたブログ。平和を阻む政治状況とたたかう市民の行動を載せる。美しい自然、環境問題も。

臆病者の記

2017-05-22 12:43:11 | 日記
*きのう、軍隊と性暴力というテーマに講演会に行った来た。「軍隊」としての自衛隊が配備されようとしている宮古島にとって切実な問題だ。もちろん、自衛隊員の個人の問題ではない。「軍隊」という暴力装置の中で醸成されていく「暴力性」の問題である。

 以下の一文はある団体の機関誌に向けて一年前に書いたものだが、事情があって発行されなかったらしい。

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臆病者の記 

 私がまだ大阪にいて、旅行者で宮古島に来ていたころ、地元の友人から「慰安婦の碑ができたよー」とメールがあった。宮古島に慰安婦?ととっさには思ったが、あの沖縄戦、当然宮古島にも日本軍がいて軍隊がいるところには慰安所がある。そういえば在日コリアの女性監督制作の映画にも沖縄の慰安所の話があったな。メールはつづく。「自衛隊のレーダーの麓。レーダー、緑色でいつの間にか大きくなって、気味が悪いさあー」。

 間もなくして宮古島に住むことになり、その碑の建立や聞き取り調査に、我々の教会の仲間が関わっていたことを知った。翌年、9月の祈念会に誘われ、一度は行くといったが、これまで何もやっていないことや、その時であれば自分も慰安所に行ったかもしれないという罪責感でやはり行けなかった。それから4年たってやっと参加し、言われてまた1年半でようやく書いているのがこの原稿である。

 過日、米国の都合で、日韓両政府は不可逆的に「慰安婦問題」を解決し、安倍晋三は「子孫に謝罪はさせない」という。それは自ら反省も謝罪もしていないことになる。歴史は不可逆的で、いくら資料がないと言い張ってもあったことをなかったことにはできない。

 だが、あれから8年、宮古島では陸上自衛隊のミサイル部隊配備が具体的な段階にあり、軍隊の島に逆行する恐れがある。配属される部隊が米海兵隊まがいと聞くから 性犯罪を含め、事件、事故が増える。夜の街は風俗店が溢れ、その後ろには暴力団がいる。それもいわゆる「本土資本」だから収益は日本に吸い上げられていく。

 「アリランの碑」に祈念された女性たちは今、どんな思いでいるだろうか。筆舌に尽くせない宮古島での日々であったろうけれど、世界のどこかで、また天国で、二度とあのようなことがないように、祈ってくれているのだろうか。今また最新鋭の装置に更新増強中である緑色の気味の悪い野原のレーダーサイトを見上げながら、ときどき行くアリランの碑の前で、そんなことを思っている。