昔「生命」とは、自分と同じものを、素材の収集から加工、組み立てなど、すべて自前で複製する機械だと聞いた。それを実際にやろうとすれば当時は計算上、地球ほどの大きさになると言っていたが、いまは技術の進歩でどれぐらいになるのだろう。
その単純な(とはとても言いきれない)生命体の防御システムといえば壊れたところを直す程度ではないかと思うが、いわゆる「高等生物」になると体内に免疫機能を持つ。免疫が正常に働いているうちはいいが、老化や過剰反応で、自分自身の体を異物として認識し、攻撃することによって生物は「死」を迎えるという。
なぜこんなことを書くかというと、先日,「誰も知らない基地のこと」という映画を観たときに、まず思ったのがこのことだった。
アメリカは第2次世界大戦後、軍と産業が結びついた「軍産複合体」によって世界を支配してきた。米軍は本土を含めて世界中に4825の基地を持つと言われる(それも確かな数ではない)。軍隊はもはや存在し、増殖し続けることが目的となった。
軍隊が存在し続けるには存在理由を示すため、直接間接に戦わなければならない。アメリカは、武器の更新のため、いつもどこかで戦争をしているとはよく言われるところだ。戦うためには「敵」がいる。1989年に冷戦体制が崩壊してからも新しい敵をつくり出すのに時間はかからなかった。ならず者国家やオサマ・ビンラディン、そして今やまた中国と北朝鮮が主役の座を担っている。
しかし、現在、中国とは経済的な面で抜き差しならない情態になって、表向きはドンパチ駆け引きをやっているようでも、裏では将来のインドなどと「天下三分の計」を画策しているのかもしれない。
少々話が広がりすぎたが、こうして考えると先の衛星?ミサイル問題も、影でほくそ笑んでいる国の姿が垣間見える。わざわざ打ち上げの難しい角度を選び、動かぬ沖縄を脅してくれ、自衛隊の訓練もさせてくれた。食糧支援の少しもしたいところだ。
敵はいつまでも「敵」であってほししいから。(つづく・普)