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哲学の科学

science of philosophy

理論を語る人々(3)

2022-12-03 | yy87理論を語る人々


がんばり礼賛理論
ひたすら前進することが正しい、という人生理論。休まず愚直に攻める。夜遅くまで働く。休憩は疲労回復のための最小限。先のことは予測できないからただ努力するしかない、という理論。たしかに、平和な時代はこの理論がほぼ正しい。たいていは成功します。
現代の日本、あるいは昔でも江戸時代のような安定した時代には正しい理論だったでしょう。そうでない時代、戦乱の世では、地味な努力の蓄積が一夜にして奪い去られます。
平和な現代でもマスメディアの影響で戦乱を危惧する人は安心して勉強など努力に頼れないのでいらだつでしょう。そのような場合は宝くじなど一撃の機会に集中して日頃は惰眠しておく戦略(拙稿86章「惰眠する人々」)に変更すれば安眠できます。

女性蔑視理論
あまりに古今東西に蔓延しているので理論とは意識されないほどですが立派に理論です。男女平等、ジェンダー理論が正論の現代では差別発言で政治家が馘になります。にもかかわらず口に出さない人も腹では多くそう思っている、ともいわれます。
女は腰をかがめる。男は大股で歩く。動作に現れてしまいます。弱き者汝の名は女なり(一六〇二年 シェイクスピア「ハムレット」)。この言、昔の遺物になりつつあるか?
最近の女性は男の領域にどんどん進出しています。日本は遅れていますが外国では首相をはじめ大臣、官僚は女性が多い。社長も教授もしばしば女性です。パイロット、重機運転手、警察官、兵士など、どこにも女性活躍、ジェンダーレス(agender)のリーダーシップが見られます。
これ危なくないか?昭和のおじさんたちは違和感を捨てきれません。実際、性別なしで社会はやっていけるのか?根本のところでダメがあるのではないか?










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理論を語る人々(2)

2022-11-27 | yy87理論を語る人々


日常の習慣にはそれぞれ理論があるのではないでしょうか?たまにその習慣の合理性を子供に説明する必要がある場合、それが行われている理由、つまり理論、が意識的に語られるのでしょう。

外人賢明理論
「外人は利口だから」と隣のおばあさんは言いました。筆者が若いころ、雑談の中ででてきたその言葉を、今も覚えています。ひどく乱暴な理論だな、とそのとき面食らったので記憶が作れたのでしょう。国立の女子大を出た百年前のインテリ女性でした。
たしかに日本人は小利口だがずるさが顔に出る。外人はあんな顔をしているのでずるいことを考えていてもこちらに分からない、というようなニュアンスだったのでしょう。

学歴賢明理論
有名大学の卒業生と聞くと、頭がいいから、と言われます。学歴と知能は全然無関係、という人は少ない。これ、あまりにも頻繁に行われる問答なので、まあそんなもの、ということになっていますが、どこまでもあいまいさが抜けない理論の典型でしょう。

先憂後楽理論
人生の初期に苦労しておくと、後で幸福になれる、という理論は広く普及しています。昔、おばあさんがよく言っていました。子供に勉強しろ、というとき必ず使われる理論です。
これもまた、そうではない、という事例も多く語られているので、最後まで苦労で終わる人生も多いような気もします。
あまりいつも我慢していると忍耐が快感になりマゾヒストになります。これは忍耐報奨理論とでもいえる理論になります。

Carpe diem
古代ローマの格言、「今日をつかめ」。まだ来ない明日や過ぎ去った昨日を思い煩うな、という人生訓。欧米の中学程度で習うラテン語なので西洋人の信奉者が多い。つまり、明日を見るな、今を生きよ。
鎌倉若宮大路の下馬交差点でこのラテン語看板を見てなんだこれは、と驚きましたが、そこはブラジル柔術の道場でした。最近六本木飯倉片町交差点の近くにもあります。

動物本能理論
人間は理性で生きる。人間以外の動物は本能しかない。動物機械論と似た理論ですが、本能というと神秘感が出ます。神に創造された仕組みという感じが出ます。
人間は理性がある、というメタ理論が後ろに隠れていますが、拙稿の見解ではこのメタ理論も否定できます(拙稿34章「この世に神秘はない」)。動物本能理論もまたダメ理論のひとつです。生物の機構など複雑すぎるので、すぐ神秘に逃げたくなり本能など神秘的概念を作って安心したくなりますが、だめですね。










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理論を語る人々(1)

2022-11-26 | yy87理論を語る人々


(87  理論を語る人々  begin)




87  理論を語る人々


歯磨きをするには、まず歯ブラシを水でぬらす。
習慣であるから意味などない、でしょう。これに合理的説明をつける人がいます。
おもに歯医者さんたちです。
歯ブラシ濡らし理論。
歯ブラシを水でぬらしてはいけない。歯磨きペーストが水で薄まって泡が多くなり歯磨き時間が短縮できてしまうからいけません。菌や汚れが良く落ちない。
いや逆に、水でぬらすほうが良い。歯ブラシの上で繁殖している雑菌を簡単に洗い流せる。
インターネットを見ると前者のご意見を書き込んでいる歯医者さんが多い。最近、テレビで後の意見を述べた歯医者がいました。筆者はそれまで前者の理論を採用していましたが、この後、後者に変えました。今もそうしています。
どちらが正しいかは素人には分かりません。理論対理論。どれが多く信じられているかは調査できますが、多数派が正しいのかどうか怪しい、みんな間違いの場合も多い。
種々の理論は聞けば聞くほど、それぞれもっともらしく語られています。素人はふつう見極めを諦めます。

それが正しいかどうかよりもその理論が面白いとかインパクトがあって覚えやすい場合、その理論は繰り返される。普及します。
迷信、言い伝え、ことわざ、ジンクス
夜爪を切ってはいけない
沈黙は金
試合の前にひげをそってはいけない

信じてよいのかよく分からないけれども覚えやすい理論。本当かいな、と思わせる部分がある理論。しかし結局使ってしまう。私たちは日々、理論を語られ、それを応用して暮らしている。そうせざるを得ない場合が多いからです。









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