9.11の同時多発テロで、最愛の父親(トム・ハンクス)を亡くした少年オスカー(トーマス・ホーン)。
哀しみから立ち直れず、母親(サンドラ・ブロック)にも話すことのできない「最悪の日」の秘密を抱えたオスカーは、事件から1年経ったある日、父親の部屋で小さな鍵を見つける。
この鍵に合う鍵穴を見つけることができたら、何か父からのメッセージが得られるのではと考えたオスカーは、広いニューヨークの街中を彷徨い始める。
同時多発テロを背景にしたお話ですが、アルカイダやイスラムをどうのこうの言う場面は出て来ません。
オスカーという少年の姿を通して、犠牲者の家族の心情を丁寧に描いた素敵な作品だと思います。
事件をきっかけにあぶり出されて来た、家族のお互いに対する思い。
それをお互いにぶつけられず、事件を語ることも思い出すこともタブーのようになった家の中で、いかに現実を受け止めて立ち上がって行くのか。
そいうところにしっかりとフォーカスしていたところが、よかったです。
今までも9.11を題材にした映画は何本かあって、実はそのどれも見ていないのですが、多分、そのどれとも違う映画だと思います。
同時多発テロから10年。
やっと「未来」に向かう映画ができたなぁ、といった感じです。
「心の復興」には、やはり長い時間が必要なのでしょうね。