私の名刺の肩書きは「キャリアカウンセラー」です。
私がこの仕事に就いた頃は「キャリアカウンセラー」という名称でしたが、ここ数年、厚生労働省から「キャリアコンサルタント」という名称で分類されている職業です。
昨日、キャリアカウンセラーの勉強会があって、立教大学大学院教授の渡辺美枝子先生が この名称変更の背景を説明してくださいました。
カウンセラーというのは深く心理的に関わるものであって、私たちはあくまでキャリアに関する情報提供とアドバイスによって支援する者であるから「コンサルタント」と呼ぶのだと。
渡辺先生は、このことに非常に違和感をお持ちだとのことでした。
「情報提供やアドバイスは、心理的に影響を与えていないのか?」
全く仰る通りです。
「事務職の求人倍率は0.3倍です」と情報提供した場合。
事務職にこだわりのない人は「ああ、事務は選ばない方がいいな」と思うでしょう。
どうしても事務職に就きたい人だったら「私は就職できないかもしれない」と、強く動揺するかもしれません。
動揺するかしないかの問題もあるけれど、情報提供によって人が何かを決断したり迷ったりすること全て、「心理的に影響がある」と言えるのでは?
相手の状況やパーソナリティをよく見極めた上で「何をどのように伝えるのか」を考えることは、この仕事の不可欠なことだと思うのですが。
日本語教師の養成講座で講師に言われたひとこと。
「類義語であっても、必ず1つ1つに何かしら違う『意味』がある。全く同じ意味や使われ方をする語ならば、2語存在する必要はないのだから。」
例えば「美しい」と「きれい」。
よく似た言葉だけれど、「美しい」の方が上品な感じがし、「きれい」はもう少しカジュアルな感じがする。
会話の中で「きれい」はよく使うけれど、「美しい」はあまり使わない。
日本語は、語の持つ意味以上に、語感(ニュアンス)が心理的に与える影響も大きい言語です。
誰かにお願いした作業の進捗を確認する時、「あとどれくらい?」と聞けば、進行度合いの事実を確認していることになるけれど、「まだ?」と聞くと、『私は待っているのよ』と 少し相手を責めるようなニュアンスを含んでしまう。
言葉を多用する生業である以上、こういうことを度外視して仕事をすることは出来ないと思うのです。
こういうことが 結構普段から気になるので この仕事が性に合ってるのか、こういう仕事をしているので気になるようになったのか、どっちが先だったか もう覚えていませんが、発話・文章ともに「言葉」を発することが多い私なので、それが相手に与える影響を気にせずにはいられないし、言葉に対するこだわりも持ち続けたいと思います。
私の名刺の肩書きは「キャリアカウンセラー」です。
「キャリアコンサルタント」という名称が一般的になっても、私の名刺の肩書きはずっと変わらないと思います。
今日はこれから、豊橋までライブを見に行って来ます。
朝からの雨は上がって、雲の間から青い空がチラリ。
帰ってくる頃には上弦の月が見えるかな。
次の満月まで、あと7日。