「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

RETRIEVER  抜き書き Long Good-bye 2023・02・17

2023-02-17 05:51:00 | Weblog



   今日の「 お気に入り 」は 、伊集院静( 1950年〈 昭和25年 〉2月9日 -  )さん
  の随筆から スクラップ 。備忘のため 。氏の随筆には 、飼い犬の話がよく出てくる 。
  
  「 『 ノボ ( 犬の名前 ) は? 』
    と私は訊く 。
   『 まだグーグー眠っていらっしゃいます 』
   『 死んでるんじゃないのか? 』
   『 大丈夫です 。あれで 、あのままあの世に行けたら 、
    しあわせでしょう 』
     まだ夏は少し残っているが 、なんとか今夏も越え
    られそうである ( 油断はできぬが ) 。 」

  「 東北一のバカ犬こと 、西山乃歩 、ノボルはまだ十七歳で頑張っている 。
    ・・・ 」

   ( 飼い犬を二匹見送った 。最初のは 、ラブラドールの雄犬で 、訪れたペット
    ショップの売れ残り 。見た目 、情けない感じで 、売れなそう 。平成生まれ 。
     曲りながらも血統書付きの犬で 、家に来たとき 、生後 、一か月以上経っていた 。
     ラブラドールやゴールデンは大型の犬種ながら 、その犬の親の血筋から考えて
    そう大きくはならないとペットショップの店主は太鼓判を押したが 、一 、二年経つ
    うちに 、案の定 、体重30キロを超える大型犬に成長した 。
     落ち着きのない性格の犬で 、幼犬のうちに段差を登り損ねて 、前足を骨折した 。
     獣医のすすめで添え木を当てておいたら程なく治癒したが 、生涯傷痕は残り 、前
    足が曲がっていた 。泳ぎは達者 、海でも池でも 、犬掻きですいすい泳いだ 。
     丈夫な犬で 、よく食べ 、よく歩いた 。
    
     二匹目はゴールデンの雌犬で 、こちらは 、手のひらに載る仔犬のうちに家に来た 。
     そう大きくはならないとの触れ込みだったが 、案の定 、この犬も大いに成長した 。
     飼い主に似て 、肥満気味 。最盛時40キロ 、飼い主の約半分の体重があった 。
     勤めを辞めてからの相棒だったが 、この犬を見送ってから 、かれこれ十年になる 。

     犬は雷が嫌いである 。大気を揺るがす雷鳴に尻尾を巻いて " 恐怖 " する 。いつも
    の強気 、威勢はどこ行った 、弁慶の泣き所 。

     台風と雷雨のときは屋内に入れた 。

     二匹とも 、基本屋外で飼い 、手作りの大きい犬小屋で 、十有余年 、よく耐え 、生きた 。
     とくにラブラドールは 、十代の息子たちの友 、文字通り相棒だったかと思う 。
     ゴールデンの方は 、最期 、私とたまたま家に居た息子の二人で 、終夜付き添い
    看取って 、野辺送りまでした 。
     二匹とも 、病を得ての死だったが 、老衰のような 、こんな風に逝けたらいいな
    と思わせる 、穏やかげに見える最期だった 。煩悩の多い人間はそうはいかない 。
     「 煩悩の犬は追えども去らず 」、「 煩悩あれば菩提あり 」 とも ・・・ 。

     小型の柴犬でも室内で飼おうかと家内で話し合ったこともあるが 、実現しないま
    ま 、月日だけ経っていく 。このままいくと 、こちらの寿命が尽きそうだ 。)


     因みに 、「 十七年余り 、私たち家族の中で 、宝物のようにかがやいて
    くれていた愛犬が一昨夜 、天命をまっとうした 」 そうである 。その命日が
    いつだったかは知らない 。









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