76年余り生きてきて 、一体 何度 引越しを重ねてきたかと
考えた 。三月の卒園を待たずに引越した幼稚園時代を含める
と 、大学に入るまでに 、七回 引越した 。大体 親の自己都合
による引越しである 。回数として多いのか少ないのかは 、
わからないが 、転勤族の家庭なら 、ごく普通のことかも知れ
ない 。社会人になってからは 、幼時の反動か 、50年間で
たった四度しか引越していない 。サラリーマンなのに 、住
居移転を伴う転勤すら経験していない 。
そんなことを考えているときに 、思いだしたのが 、同世代
の作家 、村上春樹さんの お若い頃の随筆 に出て来る 引越し
の話 。
今日の「 お気に入り 」は 、ふと 書き留めた いくつかの文章 。
引用はじめ 。
「 引越しの良いところは 、何もかもを『 ちゃ
ら 』にできることである 。近所づきあい 、
人間関係 、その他もろもろの日常生活の雑事 、
そういうのが全部一瞬にしてパッと消滅してし
まうのである 。この快感はもう一度覚えると
忘れることができない 。」 ( リセット症候群みたいなやつです )
「 一九六九年の春のことである 。家具・荷物
なんて殆どないから引越すのは実に楽だ 。
布団と洋服と食器を車のトランクに放り込ん
でしまえば 、それでもう準備完了である 。
人生というのはすべからくこうありたい 。 」
「 年をとってから思いかえしてみると自分がす
ごくはりつめた青春時代を送ってきたような
気がするものなのだが 、実際にはそんなこと
はなくて 、みんな馬鹿なことを考えながらた
らたらと生きてきたのである 。」
「 現在の閉塞した社会状況はとても心配である 。
抜け道の数が多ければ多いほどその社会は良い ( 閉塞した社会状況は 40年 、
社会であると僕は思っている 。」 50年経った今も変わりはない )
引用おわり 。
「 当たり前の毎日は 、奇跡の積み重ねである 。」
どこかで耳にして 、心に残った 、どなたかの言葉 。
ひょっとして 、夢現の中で聞く 、朝のラジオ番組
こころのともしび ?
まさかとは思うが 、ありうる 。