今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。
「偉大な精神の特徴は、多すぎるものを軽んじ、過剰より適度を好むことです。後者は有益で活力
を与えますが、前者はまさにその過剰によって害を為すからです。
『手紙』39-4」
「讃(ほ)むべきは、奪われもせず与えられもせぬもの、人間に固有なしるしです。それは何だ、と
君はたずねるのですか? それは心であり、心の中で完成した理性です。すなわち人間は理性的存
在なのです。だからそのためにこそ生れたものを充実させるとき、人間は最高の完成に達するので
す。ではこの理性が人間に要求するものは何でしょう?最も簡単なこと、自分の本性に従って生き
よということです。
『手紙』41-8」
「で、どうするか? 君はむしろ君の関心を別の方に向けるべきじゃないかな?人は余計なものを
探すのに時間を浪費し、生活の手段を求めているうちに人生をやり過してしまっていることを、我
々全部に示すことに。一人一人を見、また全員一緒に観察してみたまえ。どんな人の人生もが見て
いるのは明日の方です。そこに何の悪いことがあるのか、と君はたずねるのかね? おそろしくた
くさんある。というのは、彼らは今を生きているのでなく、生きようと思っているだけで、すべて
を先送りしているのだから。
『手紙』45-12・13」
(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)
「偉大な精神の特徴は、多すぎるものを軽んじ、過剰より適度を好むことです。後者は有益で活力
を与えますが、前者はまさにその過剰によって害を為すからです。
『手紙』39-4」
「讃(ほ)むべきは、奪われもせず与えられもせぬもの、人間に固有なしるしです。それは何だ、と
君はたずねるのですか? それは心であり、心の中で完成した理性です。すなわち人間は理性的存
在なのです。だからそのためにこそ生れたものを充実させるとき、人間は最高の完成に達するので
す。ではこの理性が人間に要求するものは何でしょう?最も簡単なこと、自分の本性に従って生き
よということです。
『手紙』41-8」
「で、どうするか? 君はむしろ君の関心を別の方に向けるべきじゃないかな?人は余計なものを
探すのに時間を浪費し、生活の手段を求めているうちに人生をやり過してしまっていることを、我
々全部に示すことに。一人一人を見、また全員一緒に観察してみたまえ。どんな人の人生もが見て
いるのは明日の方です。そこに何の悪いことがあるのか、と君はたずねるのかね? おそろしくた
くさんある。というのは、彼らは今を生きているのでなく、生きようと思っているだけで、すべて
を先送りしているのだから。
『手紙』45-12・13」
(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)