「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2013・06・28

2013-06-28 09:00:00 | Weblog
今日の「お気に入り」は、中野孝次さん(1925-2004)の著書「ローマの哲人 セネカの言葉」より。

「君がやたらに居所を変えて、あるところから別のところへと移るのを、僕は望まない。第一に、
そういう頻繁な場所の移動は心が落ち着いていないしるしだからです。きょろきょろあたりを見ま
わしたり、動きまわったりするのを止めないかぎり、閑暇によって力を得ることはできない。君の
心を落ち着けるためには、まず君のからだの落着きのなさを停止させることです。
                                   『手紙』69-1」

「自然の力が衰えてゆくことによって、おのずと終焉へとすべりこんでゆく以上に、よい終り方が
ありますか?
                                   『手紙』26-4」

「以上のように僕は自分に話しかけたのですが、これは君に向かって話したと同じことだと思って
ください。たしかに君は僕より若い。しかし、それがどうしたと言うんです? 決定的なのは年の
数じゃありません。どんなところで死が君を待ちうけているかわからない。だから君はどんなとこ
ろででも彼に出会うと思っている方がいいのです。
                                   『手紙』26-7」

「エピクロスは、『死に対して稽古をせよ!』と言いますが、この考えの意味はこんな形に言い換
えてもいいでしょう、『死を学ぶことは、実にすばらしいことだ』と。
                                   『手紙』26-8」


(中野孝次著「ローマの哲人 セネカの言葉」岩波書店刊 所収)








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