「異動先が君を欲しいと言っている」「君のことを思うからこそ……」--管理職が異動を通達する時によく使う言葉を解説 。(以下、@DIMEから一部抜粋)
『 春は、人事異動の季節。他部署や他の支社や営業所などに行くことを命じられた人もいるだろう。異動の話を受けた時、上司から何らかの説明を受けたはずだ。私も会社員の頃、10回近く、異動をした。いずれにおいても、上司から言われた話がある。だが、その話には、疑問を感じることが多かった。部下に異動を通達する際、上司はなかなか本音を言わないことがある。人事の話である以上、仕方ないのかもしれないが、部下として思い煩うことがある人もいるはずだ。今回は、異動の際、上司(管理職)がよく使う言葉について解説したい。私が会社員の頃に言われたり、労働組合の役員や人事コンサルタントなどに取材して、知り得たものの中で重要と思える言葉を選んでみた。
■1.「●●●部(異動先)が君を欲しいと言っている」
異動先の部署の管理職から「〇〇君をうちの部署にもらえないか」という依頼があったから、上司としてそれを受け入れて異動させる決断をした、というもの。「○○君」とは、異動になる本人(部下)のことだ。実際のところ、そのような依頼があったのかどうかはわからない。
そもそも、管理職の間だけで部員の異動を決めることができるのかどうかも疑問が残る。
この言葉には「自分が君を追い出したわけではない」という上司の言い訳めいた言葉と捉えることもできなくもない。もしかすると、上司である自分が追い出したわけだが、それを口にすると口論になりかねないので、こういう表現をしているかもしれない。
異動先の部署の管理職から「どうしてもうちの部署に欲しい」と依頼されたから、君のことを異動にしたという方向に話を持っていきたいのかもしれない。
上司の真意がどこにあったのかは、異動した部署で早いうちにわかることだ。異動先で任される仕事の内容や、その責任などで見極められるはず。
■2.「人事部が将来の幹部候補として広い視野を……と言っている」
管理職からこんなことを言われたという話もよく聞く。「人事部の部長が、君を将来の幹部候補として育成したいと言っている。そのためにも、今のうちから広い視野を持ってもらいたいということで、今回、地方支社へ異動となった」。これも、実際のところはなかなかわからない。確かに人事部がこういった思いを持って、異動させようとしているのかもしれない。もしかすると、上司が悪く思われたくないから、人事部の考えであることを強調しているのかもしれない。
本当に人事部が幹部候補として育成したいと考えているのなら、なぜ、同世代の優秀な社員が本社に残っているのに地方支社に行く必要があるのか、確認をしてみるのもいいだろう。ただし、明確な回答は返ってこない場合が十分考えられる。異動に関する真相は、わからないことが多いのだ。そもそも、人事部がその社員を幹部候補として育成しようとしているなら、明確な「出世コース」に乗せるはずである。このあたりは、社内事情をよくウォッチしていれば、わかるのではないだろうか。
■3.「社長や役員の考えで・・・」
例えば、このようなものだ。「社長や役員が君に関心を持っていてじっくり育てたい、と言っている。そこで今回、異動になった」。特に社員数が300人以下の会社ならば、ありうる話かもしれない。しかし、これも真相はわからない。はっきりいえるのは、社長が本当に期待しているのならば、抜擢人事が行なわれるはずだ。管理職が悪者に なりたくないから「社長や役員の考えで……」という言葉を持ち出し、摩擦を避けようとした可能性もある。社員数が300人以下の会社で、社長が本当に有望視しているならば、その社員は早いうちに処遇の面で頭角を現わす可能性が高い。その時、上司が「社長や 役員が、君を育てたいと言っている。そこで今回、異動になった」といった言い分が事実であるかどうかが大体わかるものだ。
■4.「君のことを思うからこそ・・・」
1?3は「異動先の部署」「人事部」「社長や役員」からの依頼や要望で異動になる、という点で共通していた。一方、「君のことを思うからこそ……」は、上司が本音を口にしていると捉えることができる言葉だ。諸事情があるにしろ、上司が本当に部下のことを思って、異動を命じたといえないだろうか。取材で知りうる限りでは、こういうケースは残念ながら少ない。むしろ、1?3のように、他者を持ち出し、異動の理由を説明することが多いのだ。
■5.「定期異動だから・・・」
大企業ならば、年1回ぐらいのペースで、全社員を対象にした人事異動がある。実際に異動になるのは、そのうちの一部だ。上司が「定期異動の時期だ。君もこの部署に3年いたから、そろそろ異動のタイミングだね」といわれれば、その言葉は概ね、そのまま受け入れていいだろう。ただし、その際、必ず聞いておくべきことがある。「この3年間、私の仕事や働きぶりはいかがでしたか? ぜひお考えをお聞かせいただけないでしょうか」と。
上司は本音を言わないだろうが、その回答から察しがつくだろう。定期異動であれ、上司は何らかの考えをもって異動を命じたはずだ。少なくとも、在籍中に上司として人事評価をしていたことは事実だ。部下としては、今後のキャリア設計という意味も含め、そのあたりのことを把握しておくべきではないだろうか。
この時期は、他部署や支社、本社などに異動する人が多い季節。通達された方は、あらためて、自らの異動の意味を考えてみてはいかがだろうか。 』
『 春は、人事異動の季節。他部署や他の支社や営業所などに行くことを命じられた人もいるだろう。異動の話を受けた時、上司から何らかの説明を受けたはずだ。私も会社員の頃、10回近く、異動をした。いずれにおいても、上司から言われた話がある。だが、その話には、疑問を感じることが多かった。部下に異動を通達する際、上司はなかなか本音を言わないことがある。人事の話である以上、仕方ないのかもしれないが、部下として思い煩うことがある人もいるはずだ。今回は、異動の際、上司(管理職)がよく使う言葉について解説したい。私が会社員の頃に言われたり、労働組合の役員や人事コンサルタントなどに取材して、知り得たものの中で重要と思える言葉を選んでみた。
■1.「●●●部(異動先)が君を欲しいと言っている」
異動先の部署の管理職から「〇〇君をうちの部署にもらえないか」という依頼があったから、上司としてそれを受け入れて異動させる決断をした、というもの。「○○君」とは、異動になる本人(部下)のことだ。実際のところ、そのような依頼があったのかどうかはわからない。
そもそも、管理職の間だけで部員の異動を決めることができるのかどうかも疑問が残る。
この言葉には「自分が君を追い出したわけではない」という上司の言い訳めいた言葉と捉えることもできなくもない。もしかすると、上司である自分が追い出したわけだが、それを口にすると口論になりかねないので、こういう表現をしているかもしれない。
異動先の部署の管理職から「どうしてもうちの部署に欲しい」と依頼されたから、君のことを異動にしたという方向に話を持っていきたいのかもしれない。
上司の真意がどこにあったのかは、異動した部署で早いうちにわかることだ。異動先で任される仕事の内容や、その責任などで見極められるはず。
■2.「人事部が将来の幹部候補として広い視野を……と言っている」
管理職からこんなことを言われたという話もよく聞く。「人事部の部長が、君を将来の幹部候補として育成したいと言っている。そのためにも、今のうちから広い視野を持ってもらいたいということで、今回、地方支社へ異動となった」。これも、実際のところはなかなかわからない。確かに人事部がこういった思いを持って、異動させようとしているのかもしれない。もしかすると、上司が悪く思われたくないから、人事部の考えであることを強調しているのかもしれない。
本当に人事部が幹部候補として育成したいと考えているのなら、なぜ、同世代の優秀な社員が本社に残っているのに地方支社に行く必要があるのか、確認をしてみるのもいいだろう。ただし、明確な回答は返ってこない場合が十分考えられる。異動に関する真相は、わからないことが多いのだ。そもそも、人事部がその社員を幹部候補として育成しようとしているなら、明確な「出世コース」に乗せるはずである。このあたりは、社内事情をよくウォッチしていれば、わかるのではないだろうか。
■3.「社長や役員の考えで・・・」
例えば、このようなものだ。「社長や役員が君に関心を持っていてじっくり育てたい、と言っている。そこで今回、異動になった」。特に社員数が300人以下の会社ならば、ありうる話かもしれない。しかし、これも真相はわからない。はっきりいえるのは、社長が本当に期待しているのならば、抜擢人事が行なわれるはずだ。管理職が悪者に なりたくないから「社長や役員の考えで……」という言葉を持ち出し、摩擦を避けようとした可能性もある。社員数が300人以下の会社で、社長が本当に有望視しているならば、その社員は早いうちに処遇の面で頭角を現わす可能性が高い。その時、上司が「社長や 役員が、君を育てたいと言っている。そこで今回、異動になった」といった言い分が事実であるかどうかが大体わかるものだ。
■4.「君のことを思うからこそ・・・」
1?3は「異動先の部署」「人事部」「社長や役員」からの依頼や要望で異動になる、という点で共通していた。一方、「君のことを思うからこそ……」は、上司が本音を口にしていると捉えることができる言葉だ。諸事情があるにしろ、上司が本当に部下のことを思って、異動を命じたといえないだろうか。取材で知りうる限りでは、こういうケースは残念ながら少ない。むしろ、1?3のように、他者を持ち出し、異動の理由を説明することが多いのだ。
■5.「定期異動だから・・・」
大企業ならば、年1回ぐらいのペースで、全社員を対象にした人事異動がある。実際に異動になるのは、そのうちの一部だ。上司が「定期異動の時期だ。君もこの部署に3年いたから、そろそろ異動のタイミングだね」といわれれば、その言葉は概ね、そのまま受け入れていいだろう。ただし、その際、必ず聞いておくべきことがある。「この3年間、私の仕事や働きぶりはいかがでしたか? ぜひお考えをお聞かせいただけないでしょうか」と。
上司は本音を言わないだろうが、その回答から察しがつくだろう。定期異動であれ、上司は何らかの考えをもって異動を命じたはずだ。少なくとも、在籍中に上司として人事評価をしていたことは事実だ。部下としては、今後のキャリア設計という意味も含め、そのあたりのことを把握しておくべきではないだろうか。
この時期は、他部署や支社、本社などに異動する人が多い季節。通達された方は、あらためて、自らの異動の意味を考えてみてはいかがだろうか。 』