TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

なりふりかまわずイチロー

2006年03月21日 | 雑感日記
第一回WBC(World Baseball Classic)は、見事日本の優勝で幕を閉じた。ヒューヒューッ!特に野球ファンでもない俺がここで盛り上がるのもなんだけど、ともかくよかったっす。素人目にも韓国戦の上原、決勝の松坂、そして4番の松中が漂わせている気合オーラみたいなものは感じられた。

でも印象的だったのは、日頃冷静だと見られているイチローのエモーショナルな振る舞いだ。試合への意気込みがちょっと韓国チームをヒートアップさせ、その結果両者の意地の応酬を招いたことや(実際の発言では、後30年やりたくないと思われるような勝ち方をしたい、と言っているだけで「韓国は日本に敵わない」みたいな断定をしているわけではない)、敗戦後のベンチでの振る舞い。また「最大の屈辱」という大仰なワーディング。なんかイチロー、リキ入ってるなぁという印象を持った人は結構多いのではないだろうか。

ところでWBCに限らず、オリンピックやW杯などの世界的イベントでは非日常的なテンションの上げ方が必要なのだと思うのだが、自分たち日本人は必ずしもそういうことが得意ではない。そんな環境でのイチローの「なりふりかまわず」は、結果的に勝利を呼び込む一因となった気がしてならない。そう考えてあんな様子を見せているのなら凄いことだし、そうでないとしても、やっぱり彼は勝負師なんだなと思う。

なんか「なりふりかまわず」と聞くと髪を振り乱して目のいっちゃってる人がイメージとして浮かんでくるのだけど、今回のイチローを見ていると「なりふりかまわず」つーのもちょっと良いかもと思ったりして。さて自分の場合は、なりふりかまわず何やるかな、と徐々に現実に戻っていく休日の夕方なのでした。

ミュンヘン

2006年03月17日 | 映画とか
Munich
Dir: Steven Spielberg DP: Janusz Kaminski

数年前、旅行でベルリンに行ったときにベルリン・ユダヤ博物館という建物を訪れた。ダニエル・リベスキンドという建築家の設計によるこの博物館は、外観も中の構造も不思議でボーッとしていると迷子になってしまいそうだった。

まず入口から空港にあるような金属探知機を通るものものしさに、ちょっと緊張を覚える。しかし展示の内容や見せ方には意外にエンターテイメント性があって、さほど重苦しい思いをすることもなくユダヤ人の歴史について知ることができる。2時間近くぶらぶらしていたが、退屈な感じはまったくなかった。

しかしちょっと恐いな、と思ったのは、展示を見終わる頃にはなんだか「ユダヤの民はなんて優秀で、またなんて虐げられた人々なのだろう」という感覚が芽生えていたこと。この博物館自体はとても素晴らしく、また意義のある存在だと思うが、同時に歴史を一面から見ていくことの危うさについても考えさせられた。

さて第78回アカデミー賞に5部門でノミネートされながらも受賞は逃した「ミュンヘン」。ドラマチックすぎるとかモサドのメンバーはあんなに弱い人間ではないとか批判もあるらしいが、俺は一本の映画としての完成度を評価したい。長い上映時間を意識させない構成力や、あの時代の街の雰囲気の描写など、政治的視点は別として映画の教科書のようなつくりは素晴らしい。映画はやはり映画であって、そこから歴史の真実を知ることはできない。しかしひとつの出来事について想像することは学べるはずだ。その想像力を少しばかり広げてくれる力を、この作品は持っていたと思う。

ちなみにリベスキンドは、911で崩壊した貿易センタービルの後地の建造物のメイン・アーキテクチャーでもある。

亀田兄弟って、どーよ?

2006年03月15日 | 格闘のお時間
先日兄の興毅に続いてプロデビューを果たした次男の大毅。階級がひとつ上(スーパフライ)で、パワーもあって勝気。兄以上に注目される存在になってきたようだ。しゃべりも兄ちゃんの方が場慣れしている分まだスムーズではあるが、なかなか大口を叩く。どうやらこのビッグマウスぶりも人気の一因らしい。

しかしなんとなく好かんのだよなぁ、この感じ。確かに(相手の選び方はともかく)実力はある。練習も相当やっている。それにボクサーが好青年である必要は全然なくて、身体張って勝負してるんだから自分の思ったことを言えばいい、と俺も思う。でも何かがひっかかるのは、彼らの中に「口の悪さも人気のうち」という計算があるからではないだろうか。意識的にせよ、無意識的にせよ。

大口叩くんだったら、人にどう思われても構わないという覚悟がいる。かつての辰吉にはそういう部分を感じることがあった。でも彼らの口の悪さは、キャラづくりのための程度の低いパフォーマンスに思えてならない。結局は媚売ってんじゃん、みたいな。裏を返せば、悪ガキ兄弟を必死に演じる素直な兄ちゃんたち、と思えなくもないけれど。

まあこれからの世界ランカーとの対決が楽しみではある。それを通じてどう見え方が変わっていくのか。むかし魔裟斗のビッグマウスぶりがあまり好きではなかったけれど、だんだんと実績を積み重ねるにつれて納得しちゃったしな。もしかしたらこの先「ええぞ亀田、もっと言うたれー!」とか応援してたりして…それはそれで良しとして、ともかく日本のボクシングを盛りあげて欲しい。そしてWOWOWの放送でジョー小泉にダジャレ(脱力感では日本一だと思う)言わせてみんかい!

ちなみに亀田兄弟の人気って、ゴルフの宮里藍と通じるところがあるような気がする。そのココロは「親子の絆」。なんか皆、近ごろ希薄になってきたものを彼らに求めていたりするんじゃないかなぁ。

損得ずくかい

2006年03月13日 | 雑感日記
先日のアカデミー賞発表後、『アカデミー賞作品「クラッシュ」は期待通りか? 』と題する記事を見かけた。


5日に行われた「アカデミー賞」は意外な結末になった。最高の栄誉の作品賞に輝いたのはロサンゼルスで生きる人々の群像劇を描いた「クラッシュ」。大本命といわれた「ブロークバック・マウンテン」は監督賞になった。

これで一気に注目作になった「クラッシュ」だが、一体どんな作品で、見て面白いのか。舞台は人種差別が日常的なロスの街。人々がハイウエーで交通事故に巻き込まれたり、さまざまなトラブルが起きる。地方検事、自動車強盗、TVディレクター、病院の受付嬢、鍵屋、雑貨屋の主人らが登場。彼らの怒り、喜び、悲しみが描かれる。(中略)

「この映画の最大のポイントはハイウエーでの事故。貧しい白人警官と裕福な黒人の夫人が登場して、警官が夫人にセクハラをするのですが、この夫人が事故に巻き込まれた際に同じ警官が必死に救助する。監督は人種差別がひどくて、危機的状況のロスに救いを見いだしたかったのです。この点が評価されての受賞だと思う。警官を演じたマット・ディロンは矛盾を抱えた人間をうまく演じている」(映画ジャーナリストの大高宏雄氏)見て損のない映画といえそうだ。(ゲンダイネット - 03月12日 11:21)


人種差別への着眼点が評価されたのなら、同性愛者への意識も評価されていいのではないのか。こんな基準で見る「損得」を決めるのなら、映画なんか見ずに経済新聞と夕刊紙でも読んでりゃいいのだ。

根性本!

2006年03月12日 | 読書とか
ある会社の寄贈文庫で見つけた古い本。「剃るぞ!」(八田一朗)「おれについてこい!」(大松博文)どちらも東京オリンピック前後の日本のレスリングとバレーボール隆盛のキーマンだ。約40年前のご本だけにそれゃ凄い。だけど意外に合理的なところもあって、最近の配慮の固まりみたいな文章よりもスカッと読めるところがあった。面白いのは両者の「竹やり根性」(八田氏、準備や戦略もないのに勢いだけで戦いに臨むこと)や「サラリーマン根性」(大松氏)みたいな言葉に「根性ありゃいいってもんじゃない」という姿勢が見てとれること。そう、練習やって頭も使って、その最後のひと踏ん張りが根性なのではないかと思うのでありました。