子供の頃から学校を5つドロップアウトし、
大道芸から綱渡りの魅力に目覚めたフランス人、フィリップ・プティ。
ノートルダム寺院のてっぺんにロープを張って渡った男が次に狙ったのは、
今はなきワールド・トレード・センター。
ある日、新聞の建設予定記事を読んで心に決めたそうだが、
無茶苦茶にクレイジーな男だ、実際。
本人と当時の仲間たちのインタビューを中心に
残された写真や16㎜フィルム(これが結構いい感じ)、
そして再現映像で構成されたセミ・ドキュメント的作品。
最初はちょっと珍しい記録くらいのつもりで見はじめたのだが、
その純粋なクレイジーぶりに、だんだん巻き込まれてしまった。
こんなの関わりあいになったらマズイでしょ、と思いながら
自分が関係者だったら、やっぱり手を貸してたかもしれない(妄想)。
無事やり遂げた後、当然ながら警察に逮捕されるのだが、
学校でジャグリングを見せるという条件で釈放、一躍「時の人」となる。
ある日記者に囲まれて「なぜやったのですか?」という質問に、
「私はオレンジを3個見たら、ジャグリングをする。
タワーを2棟見たら綱渡りをする!」と答えるフィリップ。
偉大な行為に理由なんかない――その心意気、カッコ良すぎる。
ちょっと聞き取りにくい英語をしゃべるその男が、
一瞬ミック・ジャガーに見えた(どこか似てません?)
なんていうか、お前まじ大丈夫かよ、みたいな企み事の素晴らしさ。
教条的なメッセージを引きだすための映画じゃないけど、
これにはガツンとやられました!このアカデミー賞は伊達じゃないね。
(2008年の長編ドキュメンター部門)
概要などは日本公開時のサイトなどをどうぞ。
Man on Wire Trailer
わが町にも来ていたのに。
DVDになったら見たいです、すごく!!
コメントありがとうございます。
そう、めっけものでした、これ。
DVD化の動きとか、チェックしておきますね。
諸般の事情で、暫くネットから遠ざかったいましたが、最近また復活致しました。
私もこの映画大好きです。私の記憶が間違えでなければ、閉館してしまったテアトルタイムズスクエアで最後に観た映画でした。
こういう無謀な(?)挑戦って、挑戦者本人以外取り上げられる事もなく(当たり前なんでしょうが)、私も”スパイダーマン”のニュースとかを聞く時に、その背景だの協力者だのを想像した事もありませんでした。
渡る事のみが冒険なのではなく、無許可で侵入する事、ロープを張る事・・・がこんなにスリリングな冒険だったとは。
警官のコメントや、遠い目で嬉しそうに語る老いた本人のインタビューとかも、人間の面白さを感じさせてくれて、大変興味深い映画でした。