先日見たNHKの『日曜美術館』の影響か、
どこか「日本に裸体画を根付かせようとした」イメージが
頭にこびりついたまま会場へ。
でも実際に印象として残ったのは、
「日本における洋画の確立のために奮闘した画家」だった。
フランス留学後、目標を法学から美術に変えた頃の絵画には、
ただ純粋な、描く喜びが満ちている。
また技術を高め、経験を積んで描かれた『読書』は、
画家の心の高揚を真っ直ぐ伝えてくれる、光の贈り物だと思った。
この頃の絵画は、見ていても楽しい。
しかし、日本帰国後の作品に感じるのは、
「日本の洋画とは、こうあるべきではないか」という問いかけ。
決して啓蒙的だったり偉そうだったりする訳ではないけれど、
懸命に義務を果たしてているような重さがつきまとう。
SEIKI KOURODA(黒田は、自身の名前をこう綴っていた)は、
日本で一体何を描こうとしていたのか。
ひとつ思うのは、洋画家にとっての
明治という時代そのものではないだろうか。
自ら体験したヨーロッパ絵画の芳醇さを伝え、
かつ日本独自の姿に昇華させる。
黒田は、その思いを絵筆では語っていたのかもしれない。
1人の画家を通して、ある時代の日本の姿を見たような気がする。
展示は来週末までです。お早めに、どうぞ。