地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

『気分はもう戦争』(その参)

2006年10月03日 22時34分17秒 | 毎日がつらつらと過ぎていきます
矢作俊彦の脚本から抜粋。

 薄暗い部屋

 土造り、埃と汗の匂いがする。座っている三人の男。アフガンゲリラ風では
 あるが、顔は中国人(客家(ハッカ))だ。

 その前に対峙するはちまき。

 三人のうちの一人(男A)、はちまきに日本のパスポートを投げつける。



男A「それが本物だと証す手だてはひとつもない」

 はちまき、日本刀の鞘で床を叩く「ドン」

はちまき「なにおうッ」

男B「暴力にもユーモアがあると言ったのはボードレールだったかね」

はちまき「ちきしょう だからアカは嫌ェだよ・・・ すぐむずかしいことを言い
      やがる」

男A「我々は戦争をしている・・・ 我々の戦闘にパリのデカダンスは無縁だ」

はちまき「ケッ」

はちまき「すまねェなあ もっとわかり易く言ってくれよ ラーメン屋以外の
      中国人と会うのは初めてなんだ」




男A「君は日本人だ・・・ "永遠の炎"同盟のアフラム・ヤリ同志からの紹介状
    も持っている」

男B「そして中国人民解放軍に義勇兵として参加し 中国東北部で戦う我々
    人民を支援したいという・・・」

男C「しかしその戦場はここから六千キロも離れている・・・」

男B「何故この地でソ連と戦わないんだ」「何故この時期に中国を横断して
    行くのか・・・ ここから一番近い義勇兵募集窓口までだって二千キロ
    はある」

男A「君の要求は我々中華人民共和国代表部には 理解できない」

男C「感傷的な理由でもあるのかな?」

はちまき「感傷的で悪かったな 少しぐらい勉強ができるからって いい気ン
      なるなよ この野郎!」「あれも戦争 これも戦争 どこで死ぬか
      ぐれーは手前の趣味を通してェ!」

 雑踏の街路風景、ローアングル

 198×年×月×日イスラマバード  中ソ戦争勃発から27日




 バザール風景。たたずむ「めがね」

 過激派御用達のヘルメットに蝿が止まる

「めがね」の腹「ぐう・・・」

 そこへ、嬉しげに早足で「はちまき」がやって来る

はちまき「共産主義者も結局は人間だよな」

はちまき「泣き入れてケツまくりゃ おんなじさ」

めがね「ナンカ食いもンくれた?」


 先ほどの小部屋。代表部の三人が愚痴混じりに話している

男C「・・・まったく ただでさえ混迷してるってーのに」

男A「パ・・・パ パシュトゥーン マームディー ハザラにタジク トルクメン
   タタル・・・」

男B「その上・・・ 日本人ときたか」




 またもや荒野を歩いている三人

めがね「ねー どういうコト ねー」

めがね「義勇軍にジープ一台くれねェってのはさー」

はちまき「俺が反共右派のヘズビ・イスラミにまざってたの 知ってやがった
      のさ」

 視線を遠方に定めるボウイ「!」

めがね「だってイスラムゲリラに右も左もないんじゃない」

はちまき「おまえなァ 本当に大学出の左翼なのかよ・・・」

ボウイ「見ろよ バスだぜ」




 「グワン」遠方からの砲撃を受ける三人。「めがね」足を負傷している。
 めがねを両側から抱きかかえる様に走る二人

めがね「うひょひょひょひょー」

岩陰に隠れ、ボウイ、反撃の為にマシンガンをかまえる「ガチャッ」

ボウイ「ソ連にしちゃ 弾をおごるじゃねーか」

めがね「ああ ボリス ヴィアンのように死にたかった」

 「メガネ」のヘルメットを「パカッ」と剥ぎ取りつつ、

はちまき「東海林太郎の間違いだろ」

 その時、至近弾「ドコーン」

はちまき「わっ」

めがね「ひっ」

はちまき「盲射ちか?」

めがね「あっあっ あーあ 差別用語なんだ」

ボウイ「盲射ちじゃないぞ!」「同じ所へ正確に射ってる」

はちまき「お前なァ 何もこんなただっ広い空地でまで中産階級になるこたァ
      ねーだろが」

はちまき「廻りこもう」「お前 ここで待ってろ」

めがね「へへへ どうも」




 失脚した林彪派の生き残り、宗玄将(自称)大将軍が、林彪の遺骨の入った
 箱をかかげて笑っている

宗大将軍「これが北京へ還ったとき・・・」「クックックックッ・・・」

はちまき「ハハハ・・・」

めがね「すっげェ」

 4人となった一行に号令をかける宗大将軍「全軍前進!」

めがね「イエイ」

宗大将軍に質問された教育勅語暗誦可否を果たすべく、

はちまき「ち ちん思うに・・・コウソコウソウをタツル・・・ 国をタツルこと・・・
      シンコペーションのフーフアイワシ」「ホウユウアイ信じ ツマ
      はオットをしたいつつ・・・ じゃなかった・・・」

 南画の様な背景になり、フェードアウト

めがね「いーんじゃないの 無理に日本人やんなくても」

『 不可久留豺虎胤 南方未有實招魂 』



飛び飛びにページ単位で紹介していますので、ストーリーも何もあったもの
ではありませんが、画風とセリフ廻しとおチャラケこそがこのお話の真骨頂
であること、感じてもらえましたでしょうか。

次回の舞台は、ニューヨーク。超カッコいいハードボイルドやくざの巻です。



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