『気分はもう戦争』（その四）

『気分はもう戦争』　第６話　Take ⑥ Train　です。数ある大友の作品の中
でも、最も洒落て描いた部類に入ると思います。矢作の科白廻しの真骨頂。

科白と画を同時に見ることができるマンガジャンルに浸る為にも、この際、
脚本調の注釈は入れますまい。

マンガ写して貼り付けただけの、ただの手抜き、とのごもっともな指摘は、
捨て置くこととします。









「いねェですよ」「便所の窓から逃げちまった！ 一足違いで」

「どこへ」

「・・・さあ 路地が８丁目とプリンスの角まであっちこっち続いてますから」

「包囲網を一キロひろげよう」

「こういう冗談を知ってるか 市警で役に立つのは87分署だけだって・・・」

「こんな冗談もありますぜ」「ＦＢＩは何で」「四文字言葉じゃないんだってね」

　キキッ

「覚えとけ 市警本部に文書で出すぞ」

「市警がＦＢＩの走り遣いだと思ったら 大間違いだ」






「あれを弾いてちょうだいよ」

「まさか アズ・タイム・ゴーズ・バイじゃねーだろーな」

「ピン」

「ええっ!? どうして判ったの」

「よく使われるネタさ・・・」

「ポン」

「よく見かけるわね あんた」

「そうかい」

「パン」

「あんた この辺？」

「いや」

「ピン」

「遠いの？」

「海のむこうだ」

「ポン」

「じゃ あたしのアパートでどう？」

「淋しがりやなんだ 二人きりになったら淋しくて泣いちまうよ 泣くより酒
　　の方がいい」

「パン」






「あんた変わってるわ・・・ ひよわそうなくせに日向の匂いがするわ」

「砂漠の匂いよ」

「君はこの街の匂いがする・・・」

「この街が好き？」

「君は？」

「この街が砂漠なのよ」












「でも彼は一軍へ上がるより早くヴェトナムへ行っちゃったわ」「コミーに
　　つかまって暗いところへ三年 それで彼のカクテル光線はきえちゃったのよ」

「帰ってきたときには肩を壊してたわマウンドではもちろん ベッドで私の
　　ミットにも投げられなくなって帰って来たのよ」

「帰ってこれただけでもめっけもんさ」

「愛情を裏切ったからって神様にとやかく言われる謂はないわ！ そうでしょ」

「神様は何も言わないよ・・・」

「言わなくなって何年にもなる」















我慢しきれず、カッコいいところに科白書き入れしてしまいました。



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