国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

「もういいだろう」と思いつつも、やっぱり生で演奏を聴くことは僕らに元気を与えてくれる

2010年12月12日 | マスターの独り言(ライブのこと)
先週の土曜日、12月4日に岩本町にある「東京TUC」に行ってきた。
ここはジャズ専門誌、といってもアメリカのだが『ダウンビート』に
「世界の名門ジャズクラブ100店」にも選ばれたことのあるライブハウスだ。

何がスゴイって、それは超至近距離からミュージシャンたちを見ることができる。
「ブルーノート東京」などでも最前列では、
ミュージシャンたちと目と鼻の先になるのだが、
ここはミュージシャンの後ろから前から、はたまた横からと
とにかく「え、そんなに近づいちゃっていいの?」という場所から鑑賞ができるのだ。

演目はバリー・ハリス・トリオである。
バリー・ハリスと言えばジャズの巨人というわけではないが、
「あ、これにも」というように名サイドメンとしての活躍がある。
もちろんリーダー作もたくさんあるため、
この名前を見たらやっぱり生で見ておきたいと思うのはジャズキチの性だろう。

今回は遅かったこともあり、
超至近距離席は全て売り切れていたが、
会場は広くないため普通の席でも十分に超接近距離なのだ。
普段であればお酒などを優雅に飲みながら楽しむべきなのだろうけど、
ちょうどフォノイコライザーを買った日でもあったため
荷物の多さとあまりの人の多さに動くのが億劫になり
結局2セットの間、席から動くことがなかった。

もちろん目的はバリー・ハリスである。
80歳というこれまたオジーチャンなのだが、
やはりピアノへのタッチが違う。
僕はよく「角が取れたかのような」という表現を使うが、
音にまろやかみがあり、それでいながら芯がしっかりと残っているので
お米で例えれば「まだちょっと硬いかな?」といった具合の音なのだ。

ファースト・セットの1,2曲目まではかなりの勢いがあった。
いわゆるジャズ・ミュージシャンとしての凄みもあり、
やはり本場のミュージシャンのエネルギーは凄まじいのだ。
だが、徐々にトーンダウンをしていった感じもある。
まぁ、仕方がないと言えば仕方がないのかもしれない。
レイ・ドラモンドとリロイ・ウイリアムズのトリオとしての機能は、
普通にCDを聴くよりも随分と力のこもったものだったと思う。

ただ、残念なことが2点。
1点目はスペシャル・ゲストに日本人のギタリストが途中から入ったことだ。
これはそのギタリストの技量が云々ということではなく、
やはりせっかくバリー・ハリスが来ているのだから、
日本人が参加をする必要があったのかどうかと僕は思う。
2点目は観客を参加させようとする曲があったことだ。
僕はライブで一緒に歌ったりとかアイディアを出したりとかする必要はないと思う。
やっぱりバリー・ハリスを聴きにいっているのだから、
バリーの真骨頂たる演奏をもっと聴きたかったというのが率直な感想だ。

相手の商戦にのるのはイヤなのだが、
それでも自分のレコードやCDを持っていくよりはいいだろうと思い、
販売されていたCDを買い、バリー・ハリスからサインをもらった。
僕はジャズの黄金期を生きた人たちに会うことがだんだん難しくなっている。
ミーハーなつもりはないが、それでもその証は欲しいと思ってしまう。
演奏後、疲れているにも関わらず、そんなことを感じさせないで
にこやかにサインに応じてくれたバリー・ハリス。
握らせてくれた手の大きさとそこから生まれる音楽に感動を感じつつ、
やっぱり生で聴いてよかったなぁ~という月並みな感想に落ち着いてしまう僕であった。

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