国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

おお、潤いがあるかなこの人生は

2011年09月01日 | マスターの独り言(曲のこと)
大抵「人生とは…」と大上段に構えた文章を誰も読みたいと思わないだろう。
自分の人生は自分のものだという、
ある意味エゴイスティックな感情が誰にでもあるし、
そもそもそんな何処の誰とも分からない人に「人生」を語って欲しいとは思わない。
そうは言いながらもやはり「人生とは…」と言ってみたくなるものなのだ。

そういうときはただ音楽に語らせてみるのもいいかもしれない。
デューク・エリントン楽団で長らくエリントンとともにバンドを支え、
編曲等に尽力したのが、ビリー・ストレイトホーンという御仁である。
エリントンを語る上で欠かせないパートナーの一人である。
このストレイトホーンが創った曲が今日の1曲「ラッシュ・ライフ」である。

「Lush」だと「慌ただしい」かと思っていたが、それは英語を知らない僕のこと。「Rush」と勘違いをしていた。
ジーニアス英和辞書を引っ張り出して調べてみると
「青々と茂った」もしくは「みずみずしい」といったのが通常の意味らしい。
つまり「みずみずしい生命」とでも訳そうか。

さてこの曲はたくさんの人が取り上げているが、
その重みと言おうか、それともジャケットの凄みと言おうか
やはりコルトレーンにご登場願おう。

コルトレーンの影のあるジャケットがどことなく印象的である。
一体に何を思慮しているか。
それだけに「ラッシュ・ライフ」というタイトルは重い。
だが、コルトレーンという人は激しく燃えたぎるだけの人ではない。
このアルバムの「ラッシュ・ライフ」では、
崩すようなレッド・ガーランドのピアノの後に
コルトレーンの持ち味でもある澄んだテナーのテーマが心に響く。
悠々と2分近くソロを続けていると、その後ろにいつの間にかリズム隊が加わっている。
速く吹くよりも遅く吹く方が難しいとも言われるが、
時間をたっぷりとかけて吹き込むコルトレーンは、独自の世界を外に広げていく。
やがてドナルド・バードのちょっと場違いな音色のトランペットが聞こえると、
一気に曲の色が変わってくる。
影のあるコルトレーンと明るめなドナルド・バードで曲を中庸化していく。
やがてそれは一つのきらやかな人生の有り様のように聞こえてくる。

触るとぽんと水飛沫の弾け飛びそうなそんな輝いた日々に耳で触れてみてもいいのでは?

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