国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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そんな仮想の音楽喫茶

もし、ジャズを聴いたことがない人に、「ジャズを聴かせて」と言われたら(もしジャズ) 4

2011年07月24日 | マスターの独り言(日々色々なこと)
いろいろと音楽を聴く人でも新たなジャンルを解決するのは難しい。
最初の1枚というのが難しいからだ。
例えばどこか大手のCDショップに行って、
ジャズ売り場を見てみれば大量のCDが並び、
しかもその背が日本語ではなく読めないという物がたくさんある。
ジャケットからではさすがに中の音が聞こえず、
どれを買うのか迷っているうちに、そのジャンルを聴く意義さえ消えてしまうだろう。

僕は「ジャズを聴かせて」と言われたら、
とりあえず迷ったフリをして、結局この2人のアルバムを出す。
マイルス・デイヴィスとビル・エヴァンスだ。

今回、ガナさんには先にマイルスの『アガルタ』を出した。
これは前のH君の時とは逆である。
ガナさんはロックをかなり聴き込んでいる。
ジャズというとアコースティックのインストゥルメンタルというイメージが強い。
そこで「これもジャズ」という観点からマイルスの『アガルタ』をかける。
やはりエレキの音はガナさんの耳には意外に思えたようだ。
ギターのピート・コージーとレジー・ルーカスはかなりロック調の演奏をしている。
マイルスから「ジミヘンのように弾け」と言われているため、
このころのマイルス・バンドはロックの人が聴いても抵抗は薄いだろう。

次にエヴァンスの『ワルツ・フォー・デビィ』をかける。
こちらはレコードでいく。
前にガナさんが聴いたときとはフォノアンプも針もフォノケーブルも違う。
やはり機械が違うと音も変わる。
1曲目の「マイ・フーリッシュ・ハート」で水を落とすかのような静かな演奏の後、
2曲目のタイトル曲でテンポが変わり、華やかに駆け抜ける様子が
かなりガナさんの耳に残ったようだ。

事実、聴き比べてみると『アガルタ』の方は「聴いたことがあるっぽい」、
『ワルツ』の方は「音がかなり良くって、新鮮」という評であった。
今までロック調の物は数多く聴いているため
例えマイルスが先に録音していたとしても、
それは「聴いたことがある」物になってしまうのは納得がいく。
一方でアコースティックである方が今まで聴いたことが無く、
ジャズとしての音を聴いている感じがしたようだ。

最後にジョン・コルトレーンの『ソウル・トレイン』の
5曲目「ロシアの子守唄」をかける。
コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」を象徴するかのような
空間に敷き詰めるテナーの高速射出音と
対比するかのようなレッド・ガーランドのガッチリとしながらも粘り強いピアノは、
ジャズの中ではかなりスゴイ演奏だと思う。
やっぱりガーランドのピアノはエヴァンスと違う部分もガナさんには分かったようだ。
だが、レコードの方が音が良いと言う。

大物でがっちり固めたが、やっぱり聴いたことない演奏法に興味わくようだ。