国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

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新たな視点からジャズの歴史を考えてみよう(『いーぐる』連続講演から) 1

2011年07月17日 | 他店訪問
今年になってから『いーぐる』の連続講演は
あるテーマを持って行われている。
それは「ジャズ史の再考察」だ。
ジャズ史といえば、油井正一氏の『ジャズの歴史物語』が名著である。
だが、これは油井氏のジャズ史観によって書かれている。
歴史というのは一本道で見ていくのが分かりやすいが、
実際には一本道ではない。
多くの分岐点やもしくは知られていない別の視点が存在している。
だが、学校で教わる歴史というのはいつも一本調子であるから
あたかもそれ以外の出来事はなかったかのように受け取ってしまったりもある。

ジャズに関してもそうで、
「ジャズの始まりはニューオリンズ」というのが一般の歴史本に書かれた定説であるが、
実のところそれが本当なのか、それとも違うのかは
よく分かっていないのが実状でもある。

そこで新しいジャズ史の見方として、
村井康司氏が雑誌『JAZZ Japan』と連動して
「ジャズ史で学ぶ世界の不思議」という講演を行っている。
昨日はその第2回目で
「アラブ発、ヨーロッパ・アフリカ経由、アメリカ着:
 ブルースとモード音楽の不思議な旅」と題して
アラブ、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカと結ぶ音楽の流れを音源付きで話した。
ゲストとしてケルト音楽専門のおおしまゆたか氏も参加をして、
アラブ系の音楽とヨーロッパ(スペイン、フランス、ケルト)の音楽の
つながりという壮大なテーマについて考察をした。

聴いてみて驚くのが13世紀のスペインやフランスには
アラブ系の音楽の旋律が垣間見られる。
これはスペインがイスラム教徒に占領されていたという
歴史的背景を考えてみれば当たり前のことかも知れないが、
十字軍の音楽にもその影響が残っているのは驚きである。
しかも唱歌では、いわゆる「こぶしを回す」というような
喉を絞って高い声を出す歌い方が共通している。

それにプラスして地中海の島々出身の歌手やミュージシャンたち、
そして北アメリカの音楽家との比較もした。
ここら辺が世界史ともつながり、非常に納得できる流れだ。