国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

この兄弟は凄すぎる!

2010年11月29日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
どうやって表現をすればいいのか分からないが、
とりあえずジャケットを見てびっくりだ。
よさげな年をしたアンちゃん2人が、一体どういう意図でか格好をつけている。
トランペットを持っている方のサングラスのアンちゃんはまだいい。
だが、サックスケースを持った方のアンちゃんはちょっと異様だ。
何の意味があってヘルメットをかぶっているのか、
着ている服のテーマは近未来か?

この2人はブレッカー・ブラザーズである。
トランペッターがランディ・ブレッカー(兄)で
テナーサックスがマイケル・ブレッカー(弟)である。
弟のマイケルの方はジャズミュージシャンとしてのアルバムも多い。
ここでの演奏はちょい聴きフュージョンと言われてしまうかもしれない。
確かにジャケットはちょっとジャズからはかけ離れているように思われる。

1曲目の「イースト・リヴァー」では声入りのこともあり、
王道的ジャズとは遠く、何を伝えたいのかがよく分からない。
だがちょっと待って欲しい。
声の隙間を縫うように響くひしゃげたテナーの音を。
ぐねぐねと曲がりくねる音は変態的という表現が合うほどに縦横無尽に駆けめぐる。
蛇がとぐろを巻くかのように音が中央に向かって巻上がるようだ。

何といってもドラムのテリー・ボジオの叩き出す力強いリズムが、
このアルバムの隠し味になっている。
テクニックをひけらかすわけでもなく、淡々としながらもその存在感があるからこそ
このアルバムのテイストはファンキーに盛り上がっているのだ。

3曲目「サム・スカンク・ファンク」の一丸となり飛び出していく演奏を聴けば、
このアルバムの音楽がちゃんとジャズというフィルターを
きっちり通っているのが見えてくるはずだ。
音は歪めども自由闊達なテナーの音が
いつしか快楽に変わっていることに気づくだろう。