すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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エネルギー・雇用促進調査特別委員会視察(第1日目①)王子製紙米子工場 

2012年01月23日 | 日記
 エネルギー雇用促進調査特別委員会の県内調査は王子製紙米子工場からスタートしました。まず、横山委員長が「エネルギーの半分は非化石燃料で、工場の電力を100%自給するだけでなく、2万キロワットの売電をしていると聞いています。その先進的な取り組みを今日は学ばせてください」と挨拶して、調査を開始しました。
 大場英之工場長から、まず王子製紙の環境経営について説明いただきました。

「地球温暖化対策、森のリサイクル、紙のリサイクルが3つのバイオマスボイラーに続き、2005年から新ボイラーを導入し、オイルレスを達成しました。創業60年、共存共栄で地域と工場の発展を図りたい」

 新ボイラー導入については古田清隆工場長代理から説明いただきました。
・導入前も生産過程で出る黒液(バイオマス燃料)をボイラーに使用していたが、C重油も37%使用していた
・導入でC重油をゼロにし、木質燃料、タイヤ、RPF(プラスチックなど)、スラッジに変化させた。

 米子工場で使われているRPFです。

 木質燃料です。


・バイオマス燃料は74%(黒液、廃棄燃料)、廃棄物燃料は26%になった。
・CO2はグループ全体で635万トン、王子製紙43万トンを輩出 → 32万トンを削減できた
・新ボイラーで出る灰は路盤材で再利用する。
・ボイラーの能力は1時間に250トンの蒸気を発生することができる。
・炉内脱硫に加え、消石灰を混入。大気汚染を防いでいる。
・2010年度実績はRPFを10万5千トン使った。
・リサイクル燃料は重油に比べて安価だ。

 紹介ビデオも見ました。
・米子工場は1952年に創業。
・世界各地からチップを輸入している。境港にはチップヤードと物流センターがある。
・チップはコンベヤーでパルプ工程へ運ぶ。連続蒸解釜で薬品を加え、高温で煮る。エバポレーターで黒液を回収してボイラーへ。パルプができると紙を形成して脱水する抄紙工程、薬品を紙に塗る塗工工程へ。仕上げ工程は巻き取り、分割。さらに一部は平取りで分割する。
・新エネルギーボイラーはリサイクルできない紙、廃タイヤなどを使用している。製紙スラッチ類も再利用している。
・グランドワーク活動にも取り組んでいる。海岸や公園の清掃ボランティアをしているほか、社員食堂から始まった割り箸回収を皆生の温泉街へ広げた。

 古田工場長代理がさらに説明を続けます。
・パルプ工場として1952年操業。
・従業員360人、グループ会社を含めると900 協力会社を含めると1200人。
紙を60万トン生産、パルプも生産している。
・総発電能力は22万キロワット。パルプ生産ダウンしていることで、今は売電は少ない。
・2005年という早い時期にオイルレスを達成した。バーナーで塗膜を乾燥させるなどで一部重油も使っている。
・二酸化塩素で白い紙にする。その課程で出るのが黒液だ。
・RPFはプラスチックや古紙原料で生産する
・チップにはできない木片は木質燃料にしている。

 安村伸一施設部長の補足説明もありました
・ボイラーに灰の付着を防ぐため、石炭を3万3000トン使っている。化石燃料の利率は70%

主な質疑です
Q 黒液の生産量は紙の生産量で変わるのか。
A その通りリーマン前はフル操業では売電できていたが、今は売電していない。関西、中国地方から材料を調達している。
Q RPFの燃料は、各自治体ですることはできないのか。古紙や廃プラとして分別して回収するとか
A 塩ビ類が低くないと困る。高いと腐食する。炉中のチュウーブがやられる。また、焼却灰を路盤材に加工しているので、鉛が入ると困る。
Q しかし、選別がうまくいけば無尽蔵に原料はある。
A 確かにそうだが、家庭ゴミでは容器に醤油の付着しているケースもある。醤油は塩分が含まれているので困る。
Q 紙の原料に竹チップは使えるか、タイヤのワイヤーは困らないか
A 竹チップは使用可能。広葉樹と同じ。県内では8%。中越パルプが竹オンリー、輸入チップが38%。ユーカリ。タイヤはスチールラジアルなのでたくさん入っている。鉄として回収して売却している。
Q 分別の徹底ができれば使えることになるのか。
A はい。
Q こうした取り組みの周知は?
A 知られていないですね。
Q 一般家庭ゴミを使えないか。
A 行政との関係でもあるので、簡単ではない
Q 東京では分別して、発電に使っていると聞いている。
A ボイラーは蒸気を高温高圧のプロセス。低温低圧では腐食にする。温泉プールの温度には問題が生じる。
Q 大気汚染の対策は。それと、流動砂循環系統って何ですか。
A タイヤの煙は集塵したあと、バグフェイルターで集塵している。サイクロンで砂が落ちて循環する。そのこと
Q 24時間操業か。紙原料の種類は
A 三ヶ月は連続操業は可能。詰めないといけない。砂がたくさん入っているので、立ち上げには重油がたくさんいる。92%が広葉樹。東南アジア(アカシヤ、ユーカリ)が8割、一部オーストラリア。北米、東アジア、中国。三割から四割の輸出だったが円高で苦戦している。
Q 鳥取の木を使えないのか。どれくらい原価が違うのは
A 針葉樹は1割使うが、その9割は地元から。値段はキロあたり、17円、18円にならないと使えない。リグニンを取り除いてセルロースはパルプになる。
Q 黒液は別の場所で作れないか
A 製造工程の一部なので無理。ただ、青谷で和紙生産時に出る黒液も受け入れている。
Q 新ボイラーの導入はコスト面からなのか、それとも、環境に優しい企業姿勢からなのか。
A 両方。ただ、重油の値段があがってきたので、コスト面の貢献も出てきた。
Q RPFは県内から調達しているのか
A RPFの県内比率は15~20%

 この後、工場を見学させていただきました。
 原料ヤードです。

 右が新ボイラー。左が回収ボイラーです。


 工場の中は撮影禁止なので、写真をお見せできません。ごめんなさい。しかし、巨大なロールの紙が書き取られていく様は圧巻でした。
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エネルギー・雇用促進調査特別委員会視察(第1日目②)和田浜工業団地① 

2012年01月23日 | 日記
 次に訪れたのは和田浜工業団地です。

 まずフジ化成工業の笠原社長から話を聞きました。


・西伯郡伯耆町に本社・大山工場を置き、米子工場がリサイクル製品の製造工場がある。
基本理念に環境を置く。商品はすべて環境に関係している。高付加価値か底辺(くず屋)。断熱材、電波吸収体はハイテク、防音材はローテク。

・本社工場は断熱材のロックセルボードを生産している。80%以上は天然の石灰石。燃えない断熱材を製造。全国展開している。0.07程度の密度。外壁RCB断熱工法に使う。内側に張るよりも暖房・冷房のエネルギーは半分。理論値は1/3だが、窓などでそいこまでいかない。三十何年やって、やっと米子市で採用された。鉄筋コンクリートの外に張る。米子高専専攻科棟、鳥取県庁本館、米子消防署、県営住宅の改修(米子市日ノ出町)、マンションなど。居住しながら改修ができる。パネル芯材として使用。残材は粉にしてセメント骨材で利用

・ビニフォームは塩化ビニールの発泡体。船の芯材。FRP船に使う。アメリカズカップのオーストラリアの本部船に使用する。

・おとなしくんは木質床用下地材。ゴム部品(Vベルト、ホース)のリサイクル品。月50トン搬入している。

・EMパネルは磁気テープのリサイクル。ビデオテープのくずで製造。畳の芯材として使う。毎月5000畳生産。

・屋根材も開発中。TDLのアトラクションの屋根材にしたい。FRP。軽くて燃えず、割れない。ミニーの家で施工テスト

・排水マット工法は農業用ハウスの廃材(プラスチック廃材)を使う。袋に入れて敷き詰める。経産省の補助金で研究。水たまりを作らせない。雨を地中に貯める。ゴルフ場で実証実験中。穴を掘って埋めるだけ。自分たちで埋めれば、それで完成。値段は半分以下になる

・環境緑化ボードはE―ソイルボードが商品名。間伐材。壁面緑化、屋上緑化で使う。経産省の補助金を使っている。

 株式会社エコマの石田社長からもお話をお聞きしました
・「ズームインSUPER」や「情報ライブ・ミネ屋」で製品が取りあげられた。
・循環型リサイクル建材「エコマウッド」を販売している。ウッドデッキ、屋上緑化、ベンチ、柵に使用する。
・原材料は車のバンパー、家電製品などのポリプロピレン(廃プラスチック)が原料。ペットボトルのキャップも使う。
・「もみの木園」で障がい者の方に再分別をしてもらっている。割り箸やタグなど混入物を取り除く作業をしてもらっている。
・本日からパナソニックの暮らしの「エコナビ」で、JRの中央線や山手線、京浜東北線のモニターテレビが放映される。
・県内でもいろいろな製品が出て、全国に流すのは大変。産業機構などの打って出る鳥取県予算を使った。ビッグサイトなど、いろんなイベントで出展して売り出している。今年の3月のビッグサイトの建材展には予算切れで出せないかと思ったが、東京都から150万円で出展した。3月末で期限が切れるのはお引き取り願いたいとなった。打って出る鳥取県で頑張っていきたい。

主な質疑応答
Q ペットボトルのキャップは、缶のプルトップ回収のような消費者の運動はないのか
A 運動して3年して、エコキャップ委員会が横浜市に出てきて、ワクチンと変えるようにした。1トンいくらの世界。空気を運んでいるようなもの。何個集めたからというボランティア活動は無理。売ってくれるメーカーとの対応になる。
Q 特許製品なのか
A パテントを取っている。販路は契約。
Q 行政の支援は
A グリーン商品に認定を受けている。設備への補助金はあっても、使おうという縛り、販売の補助金はない。ちょっと高くても、市場が出来ていない。キャップは1.5パーセントくらい。パナソニックから家電製品、出光からは塗料缶を購入している。運賃は九州から三重くらいまで運んでくる。
Q ポリプロピレンでご苦労は。 醤油などが残って塩害になるとか。
A 産廃は受け入れていない。企業から来ている品なので、それはない。ただ、エコマークは成分分析しないといけない。有害物質は出ない

 フジ化成の工場を見学しました。まずはEMパネルの工程です。
 原料のビデオテープです。回収したものではなく、工場で生産されたときに出たテープなので、選別作業もなく、そのまま使えます


 テープを破砕します。


 破砕したテープを加熱し、板状に並べます。


 圧力をかけて成形します。


 形を打ち抜きます。


 これで完成です。
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エネルギー・雇用促進調査特別委員会視察(第1日目②)和田浜工業団地②

2012年01月23日 | 日記
 和田浜工業団地では山陰クリエートも訪問しました。
 山陰クリートはエコマが販売する「エコマウッド」を生産しています。
 エコマウッドの原材料にはペットボトルのキャップも使われます。


 エコマウッドで作ったベンチです。エコマウッドは木材と同様に鋸で切って加工できます。

 
 同社の越生昭徳社長からもお話をお聞きしました。


・山陰クリエートの原料は全部リサイクル品
・発泡スチロールを油化し、熱源ボイラー用に重油や軽油の代替品として販売している
・エコマウッド
・廃石膏ボードは、石膏粉末を剥離処理して、固化剤として販売。河川の浚渫汚泥や軟弱地盤の改良に使われている。セメント系固化剤は六価クロムの心配があるが、中性で重金属を含んでいないので、その心配もない
・紙くず、木片、プラスチックで固形燃料のPRFを生産している。焼却するよりも、再利用だ


・RPFの原料は一般廃棄物80%、産業廃棄物20%。境港市、南部町、伯耆町、日吉津村、真庭市から委託を受けて処理しているが、米子市は焼却処理している。
・全国的に認知度があるのに地元の認知度はない。環境問題への行政、議会の理解がない。

 同社のRPF製造工程も見学させていただきました。
 原料の紙くずや木くずを受け入れます。


 プラスチックと共に破砕します。


 成形機です。中ではスクリューが回転しているため、摩擦熱が生じて廃プラスチックは溶けて紙を包み込むように成型されます。


 小さくカットされた製品はストックヤードで冷却し、出荷されます。

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エネルギー・雇用促進調査特別委員会視察(第1日目③完)境港管理組合 

2012年01月23日 | 日記
 調査1日目の最後は、境港管理組合を訪ね、境港リサイクルポートに指定されて1年経った現状をお聞きしました。説明は小倉誠一事務局長からお聞きしました。



・一昨年のリサイクルポート指定に続き、昨年11月11日に国際コンテナ、木材、外航クルーズの3つで日本海側の拠点港に指定された。
・境港はコンパクトな港。外航は昭和北地区=国際旅客ターミナル、昭和港地区=木材・国際コンテナ、竹内団地、江島地区=原木、リサイクル
・全体貨物は年間400万トンで推移していたが、リーマンショックで23%ダウン。国内貿易は回復が遅れている。外航コンテナは昨年1万4386本と過去最大を更新した。
・境港のメリット=①対岸と交易しやすい…1日~3日で韓国、ロシア、上海に行ける②地震・津波に対する高い安全性③高まる陸上輸送の優位性…無料の高速道路整備④強まる北東アジアとの連携⑤これまでの物流・人流の実績
・境港のセールスポート ①北東アジアへのゲートウェイ②トータル物流コストの削減③サービス・競争力の向上
 ①東アジアへのゲートウェイ=中国航路(週2便)、韓国中国航路(週1便)、韓国航路(週3便)、韓国ロシア航路(週1便)
 ②トータル物流コストの削減=時間コストの削減
 ③サービス・競争力の向上=CIQの迅速化

・リサイクルポート 昨年1月に指定
 ・静脈物流(金属くず、廃プラスチック、古紙)の海上輸送拠点ということ
 ・全国に23港が指定された。
 ・昭和南=汚泥炭化燃料、昭和北=金属くず、ゴムチップ、廃プラ、古紙、竹内=RPF 木くず燃料、江島=木くず、RPF
 ・2025年で30万トンの取扱を目標にした。思いを積み上げた。全体が3倍

・境港の目指す姿
 ・リサイクル企業の立地が進んだ地域
 ・トライアル輸送の取り組み
 ・対岸との取り組みはこれから
   RPFを韓国の工場で使ってもらうように働きかけている。
 ・潜在需要は韓国で多いが、木材はオンドルで使用して、足りない状況だ。

・バイオコークス

 ・原木を取り扱えば木皮が落ちて、山のようになっている。
 ・木皮を固めて燃料に再利用するのがバイオコークス
 ・石炭の代替となるバイオコークスの開発に産官学で取り組んでいる。
 ・共同研究先は近畿大

・リサイクルポート推進協議会
  産学官で構成。企業は13社。規制緩和の検討。セミナーの開催。


主な質疑応答
Q 境港まで高速道路がないが
A 今の交通量は人口減少で確実に減る。境港利用の増加分はどうなるか検討が必要。欲しいは欲しいです。
Q どんな木を輸入しているのか、その用途は
A 建築用合板で北米の木材。ロシア産は化粧用合板。
Q 産廃が集まってくることで、漁港への影響は
A ゴミを集めて回っているわけではない。有用な物を集めている。
Q バイオコークスの事業主体は。醤油など塩分のあるものが困っている。塩分は排除できるのか。
A 当然、塩分が着いたものとして実証実験をしている。民間はサンコウ。
Q 推進協議会が機能してもらわんといかんが
A ルール作りやトライアルをしてりしている。1社だと少ないが、集まりませんか。それを企業メリットにしたい。

 雪の降る中、境港の港湾施設を案内していただきました。
国際コンテナターミナルです。


 木材が荷揚げされていました。


 木材の荷揚げで生じた木皮の山です。

 これがバイオコークスの原料になります。

 金属くずです。

 金属くずの整理をする作業車です。


 北朝鮮に輸出しようとしたが、禁輸で出来なくなった冷蔵庫の山です。床に埋めて電気は使わず、保管庫として使うのだそうです。放置されたため、訴訟で撤去させることになったそうです。


 韓国に輸出されるRPFが野積みされていました。


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