すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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福祉生活病院常任委員会県外視察3日目① 高知県庁の工賃倍増計画

2012年01月13日 | 日記
 最終日の3日は高知県庁から調査を始めました。

 議会棟に入ると耐震のために工事した梁がありました。木で囲ったことで、いい感じです。いずれの官公庁も、しっかり耐震工事して長く使おうちというのが、基本です。なぜそういう発想にならないのか、鳥取市の方針は理解に苦しむばかりです。



 議会事務局の鍵山和司局長には鳥取県の友人からもらったという梨のバッジを付けて出迎えいただきました。
定数39ですが、35に減数となりそう。自民21人、共産5人、公明3人、民主党県民クラブ3人(民主1人、社民2人)、県政会3人(保守系)、南風2人、みどりの会1人の7会派。政策条例は14件提出され、11件可決し、3件否決。議会基本条例も作った。10人の新人も入ったので議会改革を進めている。

 工賃倍増計画については障がい者就労支援チームの小松仁視チーム長から説明していただきました。小松さんは女性でした。



 工賃は5年間で下がったり、上がったりで、トータルで微増。障がい者、その家族の意識は自立ではなく、居場所作りだったが、工賃は上げなくてはという意識の醸成はできた。
33施設に経営コンサルを派遣。これから実践したという施設には商品開発アドバイザーを派遣している。ニラの生産量は日本1。葉を整理、結束する人手がない。23年度から取り組みを始めた。17施設でやっている。
多くは学校などで福祉施設だからと買ってもらっている。一般企業よりも良い商品で勝負すべきなのに、冷凍のパン生地だったりとうまくいっていない。しかも、営業マンもなく販路開拓が出来ていない。そこで、全事業所に工賃倍増計画をつくってもらおうとしている。

 A型でも、許可を取って4万円の事業所もある。A型は工賃倍増計画に入っていないが、支援はしていきたい。22年度実績でB型は平均16000円、最高は48000円もある。11万円の人もいる。大手3社からもらっている。最低は4700円しか払えていない。ここは障がいが重い場合は多い。
 来年度策定する計画では、事業所は全部B型になる。どんな事業を提供していくのか。頑張る障がい者がいて、しっかりした経営者がいる。そんな事業所を応援したい。
ファーストステージ:経営コンサルを入れ、セミナーを入れ、施設長と就労支援員の意識を変えようとした。
ネクストステージ:企業とのパートナーシップを組む。可哀想だから買ってもらうのではなく、福祉施設は機具など補助金で設置。減価

 償却が必要ない分、価格に反映されて市場で評価されるようにしたい。ワークスの100円ケーキが人気。良い品を安くということで、市場で勝ち残ることが大事。来年度は6カ所程度売り場を確保して、ワークス以外にも広げたいと思う。しかし、トータルのプロデュースしてくれる人が必要となる。
 平成21年度から社会就労協議会に委託し、企業から下請けの仕事を取ってくるようにした。単発で、複数の仕事が組み合わさって出てくる。企業は何施設も当たらないといけなくなり、そこでストップしていた。受注窓口になり、作業を分割したりして企業の負担を軽減した。そして、検品まで担当している。その結果、信用を得て、通年の仕事、工賃のいい仕事が回ってくるようになった。
発達障がいは環境に配慮すれば働き続けることができるようになった。そこで、食品加工などで作業手作りに来年度から取り組む。高知大に発達障がいの研究プロジェクトチームがあり、連携している。

以下は質疑、意見交換です。
・77施設には生活介護になるのは5カ所もない。残りはB型へ移行する。
・利用料払っているところもあれば、払っていないところもある。授産会計で払うのでなく、積み立てて福利厚生に使っているところもある。
・官公庁からの発注を促進している。入札でも障がい者の雇用があれば配慮している。
・アドバイサー事業は150万円だったので、3人。全国から1本釣りでお願いしている。来年は1000万円の予算になる。
・農業もスピードが必要。農業で工賃を確保するのが大変。タマネギは種で作ればいいか、苗だと高い。専門家を派遣している。直売所は100億円規模。農作業が好きな障がい者もいる。
・県の農業普及員のOBを活用。日に5000円くらいでサポートしてもらっている。
・ハウス農業が中心。露地物で生産している。JAはハウスで東京へ出している。
・ニラを持って帰ると劣化する。作業もちょっと広くないといけない。で、自分でやろうということになった。
・ニラはコストが低く、年中できる。臭いが問題で若い農家は減っている。
・ニラは腰が痛くなる。トマトなど実のなるものが喜ばれる
・園芸で食べている県。苗で病気が出ると保障問題になると止められた。リスクが高すぎる。
・ショウガも日本1。踏み込んでいる農家もある。
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福祉生活病院常任委員会県外視察3日目② スウィーツ・ファクトリー

2012年01月13日 | 日記
 県庁からバスに乗って向かったのはNPO法人「ワークスみらい高知」
が経営する「ストロベリーフィールズ・スウィーツファクトリー」です。駐車場の奥に直営カフェ「ストロベリー・フィールズ」がありました。



とてもお洒落な外装です。中にはいると、ほぼ満員。女性ばかりです。

ショーケースの中にはケーキが並んでいます。中心の価格帯は、105円。でもとっても、美味しそう。見た目もなかなかです。



店内の看板には、スウィーツセット400円、スウィーツ・ビュッフェ980円とありました。安くて、美味しくて、それでいて、店の雰囲気がいい。満員の訳です。


代表の竹村利道さんが出迎えてくれました。以降、竹村代表が説明してくれました。



竹村代表によると、雇用している障がい者は120人。その中で最低賃金を払っているが90人中。30人は勤務時間の関係で労働局の 許可をとって、時給400円で働いてもらっているそうぇす。直営店はここの他8店舗あるそうです。
実はここの店舗はおまけなんだとか。ケーキなどお菓子の工場を作りたかった。うちのケーキも、どら焼きも、カフェも福祉っつぽさでは売らない。普通におしゃれにしたかった言われました。

直営カフェ「ストロベリー・フィールズ」と同じ建物の中に、直営スウィーツ工場「ストロベリーフィールズ・スウィーツファクトリー」もありました。

どら焼きの製造室です。


5000個のどら焼きを日産しているそうです。「この部屋だけで、機械に3500万円つぎ込んだ。障がいを根性でなくて、機械や設備でクリアーしたんです。あの機械は自動でどら焼きの皮を焼いてくれます。横の機械は足でペダルを踏めば正確に50グラムの餡が出てきます。障がいをお持ちの方が1枚1枚焼いていると、何十個のオーダーしか焼けません。それに、餡を正確に測ってなんてできませんよ。金属探知機で1個づつ検品しないないとスーパーマーケットは取り引きをしてくれません」。そう竹村代表が説明してくれました。

 次はケーキの製造室です。


 1000万円の機械がホールケーキをカットしていました。こに工場で働く健常者は工場長とパテシエだけだそうです。「ケーキのカットは難しい作業です。ならば訓練するよりも、機会で障害をクリアーすればいい。ここは居場所ではなく、自立していただく所」と竹村さんは言います。「行政の補助金は時間かかるし、書類作成の手間が半端じゃない。だから、機械は借金とリースで調達した。スーパーマーケットには、私がケーキを持って出て行って店頭販売をして、販路を広げた。売ってなんぼですよ。障がい者をタックスイーターでなく、タックスペイヤーにしたいんです。しっかり給料払えば、休日には街へ出て使ってくれますよ。そうしたらお金が回る。地域の経済だって良くなるんです。350万円の家賃を毎月払っていますが、それも地域に役立っていると思っています。ケーキのスポンジの間にクリーム塗る機械は900円。ケーキ関係は全部で4000万円の機械を準備しました」とも。
ケーキの原価は50円くらいだそうです。「少人数で少量を高く売った方が利潤は多いが、たくさん雇っていくためには、たくさん売れる仕組み作りをしたかった。それが機械の導入であり、1個100円という価格設定だった」という竹村代表。スーパーでの販売量が多いそうですが、昨年のクリスマスの売り上げは400万円。冷凍出荷もできるので、実はスウィーツファクトリーで製造したケーキを手作りのように売っているカフェもあるそうです。「もし、鳥取の福祉作業所で売りたい希望があれば出荷します。最後の飾り付けだけ、梨なんか鳥取の特産ですればいいんじゃないでしょうか」と提案もいただきました。商売はアイデア。そう実感しました。

「ストロベリー・フィールズ」を出ると、外のテーブルには膝掛けがありました。



「満員でお待ちいただくことが多いのですが、この寒さです。せめてもと思って…」とのこと。徹底した消費者サイドに立つ姿勢には頭が下がる思いがしました。
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福祉生活病院常任委員会県外視察3日目③ 土佐茶カフェ

2012年01月13日 | 日記
次は繁華街である帯屋町にある「土佐茶カフェ」です。2010年末の開店です。



「土佐茶をはじめとした地元素材にこだわり、土佐の魅力を観光客に新発見、県民には再発見」がコンセプトなんだとか。古民家を5000万円をかけ改修し、60席あります。内外装とも杉材をふんだんに使い、とても、お洒落です。「ここでも行政の金は一円も使っていない」と竹村代表は胸を張ります。

裏に回ると古民家であることが良く分かります。



日替わり膳を注文しました。



これで750円です。鯖の味噌煮、紅白ナマス、イカとセロリの炒め物、茄子の煮浸し、山東白菜のお浸し、鶏ごぼうご飯、ハンペンとワカメ大根の味噌汁、お漬物。味は素朴で胃に優しい感じがします。ここのところ、みのり福祉会のことなど胃の痛いことが多かったので、うれしく感じました。

無料で出されるお茶でなく、お金を出して味合う価値のあるお茶も、ここもコンセプトだそうです。日替わり膳でも、はぶ茶と水出し煎茶がついてきていて、美味しかったのですが、やはり、ここはコンセプトを確認しないといけないと思い、「本日土佐茶セット」を追加注文願しました。ストロベリー・フィールズで見たケーキが気になっていたので、食べたかったことも、追加注文の理由です。

食事をした人は250円でお願いできるのです。そして出てきたのが、このセットです。



お茶は吾川産てっぺん茶。湯呑、急須とお湯を入れて、器を温めると共に、お湯の温度を一番美味しくなる70度に下げるのです。そして、砂時計ひっくり返して待つこと60ビョウ。一杯目は甘く、2杯目、3杯目となると渋味も加わり、それそれに楽しめました。

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福祉生活病院常任委員会県外視察3日目④ 藁工ミュージアム

2012年01月13日 | 日記
今回の調査で最後に訪れたには、藁工ミュージアムです。藁工品を製作あうるための藁倉を全部で1億かけて改修し、昨年12月にオープンしたばかりです。

 

パリのアル・サン・ピエール美術館で開催された「ART BRUT JAPONAIS」の凱旋帰国展が、同ミュージアムの開館記念展として開催されていました。同展は障がい者の作品の作品を集めたものですが、専門の美術教育受けていない分、心の赴くままに表現がなされていると、パリに感動と衝撃を与えたと高く評価されたものです。
藁工ミュージアムには3人の学芸員が配置され、将来的には、アート作品のビジネスまでもっていきたいと期待は高まります。

ミュージアムショップは、展示作品絵はがきなど並んでいました。加えて、バックやTシャツなどのオリジナル商品も、多くなかなかでした。



併設の蛸蔵も、藁倉庫を改装したもので、映写機を設置。芝居やライブ、映画を楽しめる空間です。藁工ミュージアムと蛸蔵の間にあるの地元野菜を使った料理を味わえるレストラン「土佐パル」。芝居や展覧会を楽しんだ後、感動を語らいながらワインを飲んでもらいたいと、午後11時までの営業です。ここでも、障がいを持った方が皿洗いなどで働いておられました。

見学を終えた後、蛸蔵で竹村代表からいろいろと話を伺いました。以下はその要約です。

時間給料50円、一日8時間働いて月給が8000円、それで堂々と生きていくくとができますか。障がい者が仕事を残して帰った後、福祉施設の職員が残業すると1時間1500円。違和感があった。それで、40歳になってNPOを立ち上げた。
月給1万円にも満たない工賃から、利用料の自己負担や食費負担は払うと、手元に何も残らないのが事実。一般就労は1%に止まり、作業所での作業はほとんどが軽作業。時給は50円~100円で、月給は1000円か~10000円。そのあまりにも低すぎる賃金水準のままでいいのかと思った。障がい者の能力ではなく、そうした工賃レベルの生活しか提供できなかった施設の在り方が問題なのではないかと考えた。
障がい者1人に対し、支援費用は月額10万円~20万円が施設に支払われる。20人の定員なら年間4800万円になる。では、障がい者の賃金はというと、月額千円~3万円。年間でも1万円~36万円。そして、年間でも、障がい者が施設から普通の会社に就職できる割合は約1%しかない。支援者側は職員5人で4800万円、授産収入は障がい者20人で480万円が真実。だから、施設は支援費用をメインに運営した方が楽で、授産収入を増やそうと努力しない。
私たちの目標は645。高知県における法定最低賃金だ。人として働いて、生活できるようにしたい。「共に生きる」などという抽象的スローガンではなく、具体的な目標を掲げることが大事だ。最初は弁当屋から始めた。食品工場、カフェへ進んで、土佐茶カフェを開いた。ここまでくると障がい者でも、高い能力を持つようになった。たくさんの人が一緒に働きたいと希望されるようになったが、学校や病院出ていきなり働くのは無理。そこで、就労支援・研修センターを立ち上げた。毎日時間通りに出勤する。歯を磨き、お風呂に入る。そんなことろから慣れて、そして、職場に立ってもらう。夜間支援、文化支援も始めている。
 普通の生活とはどんな生活だろうか。
工賃数千円~1万円で、無料でサービスを受け、食費はただで生活することなのか。そうではないはずだ。まずは賃金8万円~10万円で、サービスに対する負担を堂々と支払い、食費も当然支払い、社会保険に加入して市民として生活することだ。さらには月給10万円~15万円で、社会保険に加入しつつ、税金を堂々と納め、市民として生活し、さらには家族を持つことではないのか。
私たちのNPOは、雇用している200人中120人が障がい者。でも、障がい者施設。どこの会社にも1人、2人の障がい者が働いている社会にしたい。いま、障がい者に毎月800万円の給与を払っているが、支援費はどこの施設でも一緒。月末はヒヤヒヤしている。私は捨て石になる覚悟だ。頑張っている所には、それだけ手厚く支援する差別的な支援があってもいいと思うが、冷たい公平な支援をするのが行政だ。

意見交換もしました。以下が主なやり取りです。
Q 借入金はどれくらい? 経営状況は?
A 頑張って返済してきたが、これまでの借入4000万円ある。ここの藁工ミュージアムで新たに4300万円を借り入れた。それで、毎月100万円返えしている。また、機械のリース代月150万円。食欲の落ちる盛夏の8月は売上額がガクッと落ちる。支援収入費は1億5千万円、売上収入は5億円くらいだ。
Q 公的資金で機械設備を調達できるので、売価を安く抑えられるのか。
A 県からの助成は、受けていない。工賃倍増計画は、100円を200円にするようなもの。チャンチャラ可笑しいと思う。
Q 経営コンサルや商品開発アドバイザーを使える制度が高知県にはあるが、利用したいか。
A 一番大切なのはどう売るか。機械入れても売り上げ立たない。民間同士の繋がりを大切にしている。「仕事を頂戴したい」などとは絶対言わない。「うちと商売しませんか」「いっしょに文化して、いっしょに盛り上がりましょうよ」と言うから信頼ができる。餡を購入している会社は、しっかり販路開拓に協力してくれる。それは、自分の売り上げに直結しているからだ。福祉と繋がっても未来はない。違和感があった。コンサルタントは私たちの仕事を知らない。仕事を知っていたとしても、一度来てもらっても、継続するポリシーや覚悟が施設側にないといけない。
Q 行政に期待することは
A 滋賀県は、うちみたいなことをしたいと言って来られた。そして、コンサルタントの一時は県ではなく、1人をずっと福祉作業所に放り込むような県単独事業されると言っている。県単事業でやろうという意気込みがあれば、作業所側も頑張ろうとなるのではないか。
Q 立ち上げ資金で苦労したのでは
A 今でこそ、日本財団などの支援を受けられるようになったが、新しく事業を立ち上げた当時は、貸してくれる金融金は皆無だった。結局、親父に借りた300万円で始めた。これでは新規参入は無理だ。昔、事業計画を発表して、それを評価して、本当にお金を貸してくれるTV番組があったが、そんなシステムがあったらうれしい。

 何か元気をもらった、鳥取で何か仕掛けたい。そう思える視察となりました。
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