すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

鳥取県9月補正予算に対する会派要望の全文です。人口減少社会や日照不足などに対する対策を求めました。

2014年09月03日 | 日記

 会派希望(のぞみ)は平成26年度9月補正予算に対する会派要望を8月20日に提出しました。全部で15項目ですが、人口減少社会対策や日照不足対策、スカイマークの路線存続へ向けての対応など、それぞれ対策をもとめるだけでなく、どうすべきなのか会派での調査や議論を踏まえて、具体策を提言させていただきました。政調会長として要望について平井知事に説明しましたが、「方向性は同じ」と前向きな発言をいただきました。長くなりますが、全文をアップしますので、時間のあるときに目を通していただければ、嬉しいです。議会内会派は政策集団であり、県政のシンクタンクであるべきだと思っていますので、会派要望には時間をかけ、丁寧に作成いたしております。統一地方選の改選まで、11月補正予算、新年度当初予算と2回、会派要望を作成しますので、県民の皆様の中で、県政の要望や提言、また、改善すべき点などございましたら、お気軽に私共の会派までお知らせ頂くようお願いを申し上げます。

平成26年度9月補正予算に対する「会派希望(のぞみ)」の会派要望

平成26年8月20日

会派希望(のぞみ)会長 横山隆義

 

 平成26年度9月補正予算の編成にあたり、「会派希望(のぞみ)」は以下のように会派要望を提出致します。【1】~【7】は、喫緊の課題として直ちに取り組んで頂きたい事項です。【8】以降は来年4月1日からのすぐに実施できるように、今から検討を開始し、債務負担行為の設定を含め準備を重ねて頂きたい事項です。検討いただき、県民の皆様がゆとり豊かさを実感できる鳥取県を実現していただくようお願いを申し上げます。

 

【1】人口減少対策の検討に十分な人員と予算を割いて頂きたい。

増田寛也元総務相らでつくる「日本創成会議」が2040年までに全国1800の地方自治体の内、896自治体が人口減少のために消滅する可能性があるとの衝撃的な試算を発表しました。鳥取県の将来ビジョンでも「鳥取県の人口は、自然減(出生者数<死亡者数)に加えて、社会減(県内への転入者数<県外への転出者数)が拡大しており、人口構成の変化も相まって、今後、地域社会の活力の減退が懸念されます。(中略)過疎・中山間地域では、少子・高齢化や人口・世帯数の減少に伴い、地域産業や生産活動が衰退し、地域コミュニティ(地域社会)を支える住民自治活動ができなくなるなど、日常生活を地域で支えることが困難となっている地域も見られます」と人口減少社会が鳥取県にとって大きな課題と指摘し、人口の減少傾向に歯止めをかけるため、各種施策・対策を総合的に展開することを宣言しました。

 将来ビジョンを実現するため、庁内横断的なプロジェクト・チームを立ち上げ、県単独の人口推計も実施することにしておられますが、この方向性については全面的に賛同致します。このプロジェクト・チームの成果は、鳥取県の将来の存立そのものを左右するものと言っても過言ではありませんが、実効性を持つ人口減少を食い止める政策を立案することは簡単ではありません。庁内の人材を集めるだけでなく、専従の職員も確保し、研究者や専門家からの聞き取り、各種資料の収集、先進地の調査などプロジェクト・チームが何の気兼ねなく行動できるようにしっかりと予算措置を講じるべきだと考えます。

【2】スカイマーク支援に力を入れ、大交流時代を実りあるものしていただきたい。

 米子―成田線を運休するとともに、羽田便、新千歳便を直行便から神戸経由便に変更するとスカイマークが発表しました。経営の立て直しを迫られている同社が不採算路線の整理を意図したものですが、スカイマークの米子空港6路線の開設は鳥取県の大交流時代の幕開けを告げると共に、県内の観光や産業の振興に寄与すると期待を集め、全日空運賃の引き下げをもたらしていただけに残念でなりません。これまでもスカイマークを支援すべきだと会派として要望してきましたが、残る3路線の維持と、経由便化された2路線の直行便と成田便の復活のために今こそ県は努力を惜しむべきではないと考えます。米子便で結ばれた5地域での観光PRや旅行代理店への旅行商品の働きかけなどの努力をなされていることは承知していますが、加えて、利用促進のための2点の提案を致しますので、検討の上、必要な予算を計上下さい。

 (1)米子便で結ばれた地域との交流をオール県庁で盛んにすること

    スポーツや文化、芸術などの市民活動に注目して、米子便で結ばれた各地域との交流戦や合同展覧会などを仕掛けていくほか、県内の小中高校に修学旅行等を各地域で実施するよう働きかけるなど、オール県庁で米子便を利用しなければならない事情を創造し、搭乗率の向上を実現すべきと考えます。

 (2)米子便を利用した外国人観光客の誘客を進めていただきたい。

 神戸空港はベイシャトルを利用すれば約30分で関西国際空港に行ける他、那覇空港はLCC専用ターミナルを持ち、航空会社15社(コードシェア便を含む)が4カ国7都市を結び国際線利用者は約60万人を数え、茨城空港は春秋航空が上海を結ぶ定期路線の他、ミャンマーの2空港とのチャーター便で年間約10万人の国際線の利用があります。新千歳空港も21社(同)が9カ国12都市を結び国際線の利用者は134万人を数えています。

 兵庫、沖縄、茨城、北海道の4道県と協力しつつ、LCCや就航国の旅行代理店に働きかけ、鳥取県への外国人旅行客を増やすよう努力していただきたいと存じます。特に神戸経由便が3路線になるため、関西国際空港を離発着する国際線で来日する外国人観光客の県内への誘客に力を入れていただきたいと思います。例えば、どの航空会社で日本を訪れても、全国国内線を1路線10,800円で訪問外国人旅客が利用できる全日空の「Experience JAPAN Fare」のような制度をスカイマークの米子便について設定してもらうのも一案ですし、ベイシャトルの利用支援制度も考えてみる必要があると考えます。

 【3】大規模県有施設に託児システムを導入していただきたい。

 お母さんコーラスなど、お母さんたちが主体となった大会が県有施設で開催される場合、お母さんたちが参加しやすいように無料、あるいは低額で託児を頼める「子育て王国とっとり」らしい制度を導入していただきたいと思います。

 「文化活動に意欲的に取り組み、全国大会に参加できる実力を養いながら、大会主催者が予算などの理由から託児する体制を設けることができなかったため、育児が大変という理由で参加を断ったグループがある。何とかして欲しい」とお母さんたちから当会派に要請文が届けられました。子育て王国推進局にお聞きすると、とりぎん文化会館や倉吉未来中心、米子コンベンションセンターには、親子室や畳敷の会議室はあるものの、託児のシステムはなく、託児をしてくれる民間団体を紹介しているとのことでした。確かにコンベンション協会から大会開催費の経費支援をしておられますが、県外から一定数の来場者が参加することになっており、いくら参加者が多くても県大会では女性を受けることができません。

 とりぎん文化会館など大規模県立施設には親子室などがあるのですから、民間団体や保育園等の協力を求め、数日前に申し込めば無料または低額で預かってくれる常設の託児制度の導入を検討して頂きたいと思います。当面、東中西部に1地点導入し、他施設の利用者もここを利用できるようにすれば、大会だけでなく練習時にも利用でき、お母さんたちの文化、スポーツ活動を支え、「子育て王国とっとり」を実現するための施策のひとつになると考えます。

 【4】お泊りデイのガイドライン実施のための支援制度を検討していただきたい

 県内の通所介護施設(デイサービス施設)で昼間利用した高齢者がそのまま宿泊する「お泊りデイ」問題を2月定例議会で質問したところ、平井知事から設備や運営に関するガイドライン(指針)を作成すると答弁いただきました。そして、早速、長寿社会課を中心にガイドライン(指針)案が策定され、現在、パブリックコメントが実施されています。この迅速な対応にまず、感謝申し上げます。

  ガイドラインは小規模多機能型居宅介護事業所の人員設備基準等に準拠することを基本に、準用できる項目がない場合はショートステイ等の基準を準用し、 併せて、消防法、建築基準法等の遵守を促すものとなっており、現時点では極めて妥当なものだと考えます。介護保険法が想定しなかったお泊りデイの普及は、終日、介護を受けさせたい、あるいは、夜間の介護が難しいなどの理由から、家族の要望に応える形で始まり、デイサービスの施設間競争の激化がお泊りデイを広げたと言われています。従って、経済基盤の弱いデイサービス施設では、ガイドラインを順守できない施設も出てくることが予想され、その結果、夜間介護が必要なお年寄りの介護が家族の肩だけに負わされることも危惧されます。ガイドラインを実行するために設備投資や職員の増員を図るための補助金や制度融資など支援策を検討していただくと共に、必要な予算の計上をお願いしたいと思います。

 【5】天候不順による農業被害を出さない取組みを進めて頂きたい

 8月に入り立て続きに襲来した台風を境に、県内では天候不順の日が多くなっております。日照不足と長雨に関する鳥取県気象情報 第1号(8月13日 鳥取地方気象台発表)によると、日照時間は、鳥取18%、米子21%、倉吉18%、境23%(いずれも対平年比、速報値)。降水量は、鳥取428%、米子552%、倉吉488%、境459%(いずれも対平年比、速報値)。非常に厳しい状況となっています。今後予想される農業被害を予防する取り組みを実施すると共に、農家への研修や情報提供に力を入れるとともに、万が一、被害が発生した場合には、被害を最小限に食い止めることができるように迅速に対応できるよう万全の体制を取れるよう知事から各部局に指示すると共に、必要な予算を計上して、一年の恵みを享受する収穫期を農家が安心して迎えられるようにしていただきたいと思います。

 【6】最低賃金の引き上げに備えると共に消費税増税による消費落ち込み対策として、中小企業支援制度の周知徹底を図られたい。

 厚生労働省中央最低賃金審議会は7月30日、国が定める最低賃金を16円引き上げるべきだとの答申をまとめました。鳥取県の最低賃金は現在664 円で、今回の答申ではDランク13円の引き上げが目安として示されています。今秋以降、鳥取県最低賃金審議会の議論を経て改正されることになります。最低賃金の引き上げは、労働者、特にパート労働者にとっては良報であり、個人消費の増加にも資すると評価したいと思いますが、その一方で、県内に多い中小企業は「賃金を改善したくとも、経営状態がそれを許さない」という厳しい現実を抱えており、2%近い賃金のアップを実現することは簡単ではありません。加えて、今年4~7月期は消費税増税と、直前の駆け込み消費の反動で、個人消費が冷え込み、企業の売上が落ち込み、特に中小企業の経営を圧迫しています。8月以降は持ち直すとの観測もあるが、それは大都市圏や大企業中心の動きであって、県内は厳しい経済状況が続くものと考えられます。

 鳥取県は県版経営革新計画に基づく各種助成金制度や中小企業を優遇した制度融資などのきめ細かな中小企業支援策を設けておられますが、その周知は商工会議所や商工会、業界団体等の団体に任せている部分が少なくなく、そうした団体の非加盟の企業および加盟していても関心を持たない企業に十分情報が行き届いていないのが現実のようです。法人事業税の納付時にこうした制度のPRをするなど、県内企業すべてに支援策を周知されるようご努力を願うと共に、必要なPR費の予算計上を図るよう望みます。

 【7】危険ドラッグの条例規制に包括禁止規定を導入していただきたい。

 危険ドラッグの蔓延が社会問題化している。2012年以降、少なくとも49人が危険ドラッグの使用により命を落とし、県内でも危険ドラッグの使用で5人が救急搬送されています。危険ドラッグは、麻薬が含まれていれば麻薬及び向精神薬取締法で、指定薬物が含まれていれば薬事法で取り締まることができ、厚生労働省も次々に有害性と化学構造を特定しては指定薬物に追加し、昨年度は176人が逮捕・書類送検されています。しかし、化学構造の一部を変えて新たな物質が次々に作られ、イタチごっこのような状況が続いています。

 鳥取県議会でも昨年3月、知事提案の「鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例」を可決成立させましたが、こうした状況を踏まえ、危険薬物であるとの情報を得れば、薬物の成分を特定できなくとも知事は製造、販売、所持、使用を罰則付きで禁止できるよう条例の改正案を9月議会に提案できるよう準備を進めているとお聞きしました。まず、迅速な対応に敬意を表します。今回の条例改正は、格段に指定するスピードが上がるので、一定の効果を生じるものと期待しています。しかしながら、やはり、問題の危険ドラッグがあって、規制するという構造は変わっておらず、全く新しい危険ドラッグが出現したときには、対応できません。そこで、知事が指定しなくとも、薬事法が禁止する「無承認医薬品の販売」を根拠に、興奮または覚醒、鎮静の意図を持って、医師や薬剤師の処方もなく、医薬品として承認されていない薬物を製造、販売、所持、使用することを罰則付きで禁止することを提案します。動機と行動を明確に構成要件の中に示しておけば、罪刑法定主義の明確性の原則にも反しないはずです。検討と必要な予算の計上を求めます。

 

【8】ヘイトスピーチの条例での禁止を検討していただきたい

 国連規約人権委員会が日本政府に対して7月24日、ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)の禁止を求め、法整備にも触れる勧告を出しました。この勧告は「加害者とされる者が処罰されることを保証するためのすべての必要な措置をとるべきだ」と極めて強い表現で、ヘイトスピーチの禁止を求めています。東京や大阪で、反中国や嫌韓を訴えるデモに出くわしたことがありますが、極めて侮蔑的な表現が多用され、規制の必要性を感じました。

 会派希望(のぞみ)は日本国憲法が定める通り、平和を希求し、諸国民との友好関係を大切にしたいと考え、こうした信条に基づいて行動していますが、県内の状況を取り上げるブログの中にも、我々の会派や所属議員を名指して侮蔑するものがあり、ブログ等のネットメディアを含め、ヘイトスピーチの条例による禁止を検討していただきたいと思います。ヘイトスピーチの禁止が表現内容に対する規制であることに鑑み、憲法が保障する表現の自由との関係で慎重な上にも慎重な対応が必要なことは言うまでもありませんから、調査研究にも時間をかけなければなりません。早急に調査研究を始めて頂くと共に、そのための必要な予算の計上を求めます。

 【9】県畜産試験場等の獣医師確保のための抜本的対策を検討していただきたい。

 獣医師の鳥取県職員は現在、98人在籍されていますが、51歳以上が31人に対し、20代はわずかに5人で、獣医師確保が課題になっています。農林水産部では、インターシップの積極的受け入れや鳥取大学での家畜衛生講座などの努力をなされていますが、十分が効果を生んでいません。獣医学部生が近年、ペット対象を対象とする小動物医師を志向する傾向が強いことが、その主な理由と考えられます。県内の畜産業を支えるためには県職員である獣医師の確保は不可欠であり、抜本的な改革が迫られています。獣医確保のための対策の見直しを求めるとともに、必要な予算の債務負担を設定し、4月1日から実施できるようにしていただきたいと思います。

 【10】難病助成制度の移行に伴う県内の患者動向を把握し、必要な対策を図られたい

 研究事業として56疾患に医療費助成してきた難病助成制度を根本から制度改革する難病医療法が今年5月に成立したことに伴い、厚生労働省は今月1日、来年1月から医療費助成を先行して始める113の疾患案を専門委員会に提示しました。来年夏までに約300疾患に増やす計画です。助成対象が拡張されることに加え、これまでは国と都道府県が半分ずつ負担するはずの制度設計でしたが、研究事業としての助成だったために国の予算が十分に確保されず、都道府県の持ち出しで制度が運営されていた現実がありましたが、今回、法律で定めたことで、財源が安定的に確保され、都道府県の持ち出しが解消されるものと期待しています。しかし、症状と所得によって助成額が変動するため、場合によっては今回の制度変更で自己負担が増える場合が出てくる他、研究事業という性格を引き続いたため、対象疾患は希少性(患者が人口の0.1%以下(12万人))であることが要件とされたため、例えば、全身が激しく痛む線維筋痛症は、原因も治療法も不明の難病でありながら、患者が200万人と多いため対象とはなりません。また、子供時代は助成が受けられるものの、成人後は助成から外される疾患があるという問題(トランジッション)などの課題が指摘されています。加えて、難病指定すべきと本議会でも議論になったポリフェリン症も、今回の113疾患からは外されました。

 医師会や県内の難病の各患者団体等からの聞き取り調査等を早急に実施され、新制度移行に伴って負担が増える患者さんたちがどれ位居られ、その負担が過重なものかどうか、また、新制度から救済が漏れた患者の皆さんの状況はどうか把握に務めていただくと共に、必要な予算の計上を求めます。また、調査の結果、必要ならば新年度予算から単県事業として始めることができるような制度設計もしていただきたいと思います。

 【11】県内企業のペレットを官公庁に優先的に導入していただきたい。

 鳥取県ではCO2の削減のため、ペレット・ストーブの導入を進めていますが、なかなか進まないのが現状で、補助制度も鳥取市、南部町、日野町にあるだけです。ペレット・ストーブは薪ストーブに比べ、扱いも簡便で経済的優位性もあるのですが、まだまだ認知度は低いようです。加えて、県内でペレットを生産している企業も、その販路拡大に苦慮しておられるようです。「隗より始めよ」です。ペレット・ボイラーを導入した西部総合事務所を手本として、ペレット・ボイラーやペレット・ストーブを導入可能な県施設を調査し、積極的に導入を図るとともに、使用するペレットは県内企業で生産されるものを優先的に購入するように検討して頂くと共に必要な予算を計上していただくよう望みます。

 【12】ふるさと納税制度の更なる充実を求めます。

 菅義偉官房長官が先月、「ふるさと納税制度で税金の控除が受けられる上限額を倍増させたい」と発言し、その意向に沿って総務省や財務省が検討しています。6月14日に境港市を訪問したとき、「ふるさと納税と特産品を合わせるのは素晴らしいやり方だ」と安倍総理も話し、ふるさと納税での控除は所得税よりも、住民税の方が大きく、国税に与える影響が少ないこともあって、新年度から実現しそうです。

 平成25年度の鳥取県のふるさと納税額は、前年度比7・9倍の約3億3600万円に達し、全国1です。急激に伸びた理由は、クレジットカードの即時決済を昨秋に導入したことに加え、松葉ガニやオレイン55など金額に対応して協力企業から送っている「お礼の品」の豊かであることに加え、その用途が「こども未来基金」に限定されていることも一因であると思われます。26年度から「お礼の品」が従来の51社61品目から80社144品目に拡大することに加え、金額の区分は5段階から7段階に細分化し、寄付額に対する「お礼」の比率を25~30%に増やすなどの拡充策が取られていますが、新年度から上限が倍増するのですから、協力企業の拡充、さらには県内への招待の新設など制度の更なる充実を目指して頂くと共に、大都市圏でのPRなどの必要経費の計上を望みます。

 【13】伝統芸能の悉皆調査と支援制度の見直しを検討していただきたい

 先にも述べましたが、増田寛也元総務相らでつくる「日本創成会議」の人口減少社会の未来図は衝撃的でした。人口減少は自治体の存在自体を脅かす段階にまで来ており、そのことは地域の伝統産業、民俗伝承、生活文化などの消滅を意味します。特に中国山地や山陰海岸には地域性の高い伝統芸能が数多く存在しますが、その多くも危機の危機に瀕しています。

 県内では国指定無形民俗文化財として3件、県指定無形民俗文化財として41件が指定され、国や県の文化財保存整備補助金に加え、県単独の制度として地域民俗芸能再生事業補助金制度や地域活性化事業補助金、文化芸術活動支援補助金などの支援制度で守られています。しかし、各制度は制度趣旨が微妙に違うところがあり、文化財として指定されている、あるいは総事業費の1割を入場料でまかなっているなど、それぞれの制度には要件があるため、貴重でありながら存続が危ぶまれている、また、地域住民が地域の宝として大切にしていこうとしているなどの状況にあっても、十分な支援は行き届いていない伝統芸能も少なくありません。例えば、湯梨浜町宇野の三ツ星盆踊りは、起源も古く、近隣にも類似の芸能があるなど広がりもあり、地域で保存会が結成されるなどの動きがありますが、無指定で、支援がなされていません。

 伝統芸能の調査は1993年に実施されて以降、20年以上実施されておりません。人口減少社会を迎えた今日、特に中山間地でどのような状況になっているのか、保護伝承させていく価値のある芸能であるのか、そして、保護伝承するためにはどのような支援が必要なのか、悉皆調査を実施して頂きたいと思います。そして、価値あるものを無形文化財に指定し、保護伝承のための制度を見直し、そのために必要な予算の計上をお願いしたいと思います。

 【14】戦時体験の聞き取り調査と資料の収集を始められたい。

 戦後、我が国は日本国憲法を制定し、1発の砲銃弾を打つこともなく、平和を堅持してきました。しかし、安倍政権の発足以来、軍事機密を守る特定秘密保護法の制定、武器輸出三原則をないがしろにする韓国軍への銃弾の貸与、集団的自衛権の行使容認の閣議決定などいつか来た道を歩んでいる危機感を多くの県民が募らせています。平和を希求するには過去に学ぶことが重要であり、来年、太平洋戦争の終結から70周年を迎えるにあたり、戦時体験の聞き取り調査と資料の収集を提案したいと思います。

 真珠湾攻撃で特殊潜航艇搭乗員として戦死した九軍神の横山薫範特務少尉、第十三方面司令官として名古屋空襲の米軍捕虜を処刑した責任で戦犯として処刑され、映画「明日への遺言」で描かれた岡田資中将、連合艦隊参謀長などを務めた福留繁中将ら、太平洋戦争で注目すべき県出身の軍人は多く、県内からも2万3000人の戦死者を出しています。また、日本人捕虜の集団脱走で234人が亡くなった豪・カウラ事件の生存者村上輝夫さんら、貴重な証言をしてくださる方も健在です。加えて、県内には旧帝国海軍の美保基地や鳥取連隊の兵舎などの戦争史跡も残っています。しかし、今、証言を記録し、資料を集めておかねば、後世に戦争の記憶を残すことは出来ないと考えます。県史編さん室や県立博物館を中心に、市町村の協力も求めてプロジェクト・チームを組み、戦時体験の聞き取り調査と資料の収集を進めていただくと共に、必要な予算の計上を求めます。

 【15】農道のミッシングリンクを調査し、地域道路網の整備を進めていただきたい。

 高速自動車道のミッシングリンクは知事はじめ、県のご努力で整備が進んだことにまず、敬意を表します。道路は高速自動車道、主要地方道から農道まで一体となった整備ができて、はじめて地域の道路として利便性が向上しますが、一定の整備がなされながら、様々な事情から工事が止まったままになっている道路を散見いたします。例えば、大山町羽田井から旧赤崎を経由して関金に至る農道は、ところどころ道路工事がなされないままで、ひとつの道路として整備がなされていません。農道であったとしても道路は繋がってこそ、利便性が向上します。市町村とも連携して農道等の整備計画の進捗状況を今一度調査され、地域住民ための道路網の整備を進めていただきたい。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日照不足が続く鳥取県。農作... | トップ | 桑田幸人画伯の版画展が智頭... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
戦争体験の聞き取り調査を進めるとの意見、賛成です (高畑康夫)
2014-09-06 23:26:36
 拝啓 県民生活の向上並びに鳥取県の発展について尽力される貴殿の活動を拝見を、感服しております。
 さて、補正予算に対する会派要望で戦争体験の聞き取り調査を進めることを主張されていらっしゃいますが、まったく同感です。戦争体験者、特に戦場体験者は年々減少し、一刻も早く調査を行う必要があります。一日経過するごとに、貴重な体験、情報を後世に伝えることができなくなります。今が調査することができる本当に最後の機会と思います。私は戦争を知らない世代ですが、だからこそ体験者のお話をできるだけたくさん聞き、子どもたちにその悲惨さを伝えたいと思います。子どもたちに身近なこととして受けとめさせるためにも、郷土の人々の体験をより多く調べ、記録していくことが重要です。体験者の有無、所在地の確認など、多くの時間、人手、経費を要する仕事になるものと推察しますが、今しかできないことですので、貴会派でその必要性を主張していただきたく、お願いしたします。
                                  敬具
 2014年9月6日          高畑 康夫          

砂場 隆浩 様               
返信する
高畑様、ありがとうございます! (すなば隆浩 )
2014-09-20 09:38:03
 高畑様、ありがとうございます。そして、議会中、バタバタしていて返信が遅れ済みません。
 仰る通りですし、私たちと思いを共有していだいていることを本当に嬉しく思います。私は元新聞記者ですが、記者生活を始めた25年前には、戦争体験者は探すことは容易いことでした。しかし、戦後69年となり、学徒出陣した皆さんでさえ、今は90歳前後です。今が最後のチャンスと思い、今回、会派要望させていただきました。
 会派会長の横山県議は、太平洋戦争劈頭の真珠湾攻撃で、特殊潜航艇搭乗員として戦死した横山薫範海軍特務少尉の親戚です。横山少尉は九軍神として奉られていますが、横山県議は高校の先生だということもあってか、「どんなことがあっても戦争はしてはいけない。そのためには教育こそ大事。しかし、教室でお話いただける方を探すのも今は大変だ。今こそ、記録しないといけない」と賛成いただき、今回の会派要望になりました。
 昨今の右傾化、好戦化する国内状況を見るにつけ、ワイツゼッカー元大統領の「過去に目を閉ざす者は、未来も見えなくなる」という言葉を噛みしめたいと改めて思います。今後も、ご意見を頂戴できれば幸甚です。
返信する

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事