すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

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会派希望(のぞみ)県外政務調査1日目(1) 福島県庁

2013年11月30日 | 日記

 会派希望(のぞみ)として、初めての県外政務調査を、11月20日から22日までの2泊3日の日程で、福島県と東京都で実施しました。テーマは「福島第一原子力発電所事故の影響と復興の状況」です。もちろん、県庁や町役場からも聞き取りを調査しますが、漁師さんや畜産農家、仮設住宅で暮らす住民、そして、第一線で取材に当たった記者たちから、じっくりと話しを聞くことにしています。早朝から夜まで動き回るハードな計画になりましたが、26日から定例県議会が開会するのでいたしかたありません。

 上京は朝の一便です。7時05分に鳥取空港離陸のため、空港集合は午前6時半です。琴浦町の横山県議、倉吉市の伊藤県議、智頭の国岡県議は5時前の起床だったそうです。羽田空港からモノレール、山手線を乗継ぎ、東京駅へ。新幹線に乗り換えて福島駅に着いたのは午前11時10分でした。東京から福島まで1時間半という移動時間を考えると、改めて鳥取にも新幹線が欲しいと感じました。福島駅ではレンタカーを借りました。福島市内、そして、郡山を経て福島第一原子力発電所周辺、さらにいわき市と動き回るので、レンタカーが最善だと考えました。レール&レンタカーを使うと、特急券も安くなるし、これが一番リーズナブルなようです。

 福島県庁では、議会事務局の水野政務調査課長=写真右、同課の佐藤主査=写真左=のお世話になり、お話は原子力安全対策課の菅野主幹=写真中央=からお聞きしました。以下は伺ったお話や意見交換の概要です。  

 廃炉に向けて県民会議を設けました。県が事務局で、避難、屋内退避を余儀なくされた13市町村から住民代表各1人、農協、漁協など関係15団体の各代表1人、それにコーディネイター役として学識経験者で構成しています。8月4日に立ち上げ、先週の15日の第二回の会合で配布した東電作成の資料が参考になると思い、お手元に配布しています。

 1号~4号機の安定化・廃止に向けたロードマップの進捗状況ですが、まず現状です。1号機は圧力容器から燃料は大部分が融け落ちて、格納容器の底部に溜まっています。2号機、3号機は圧力容器から燃料は一部が融け落ちて、格納容器の底部に溜まっています。4号機は圧力容器の中には燃料はなく、使用済み燃料プールにあるだけです。いずれも、現在、安定的に冷温停止状態(30度~60度)です。

  冷温停止を継続するために1~3号機は圧力容器の上からシャワーのように水をかけています。原子炉建屋、タービン建屋は一体になっていますが、そこに水が溜まっています。その水を取り出し、滞留水処理施設でセシウムや塩分を除去して、再度、原子炉の冷却水として再使用しています。1日400トンを冷却水に使っています。

 この循環だけなら問題ないのですが、新たに地下水の建屋への流入が400トンあり、これが余分で、取り出しています。ALPSで放射性物質を除去するが、トリチウムは取れないので、結局、貯蔵しています。

  燃料が溶け落ちて固まった燃料デブリをどう取り出すかが問題です。現時点では確立した技術はありません。11月から溶けていない燃料の取り出しを始めました。これが第一期です。2021年から燃料デブリを取り出す第三期を開始する計画で、そこまでに技術を開発しないといけません。

  建屋から海に流れる配管路から汚染水が海に流れる事故があり、海への流出口はすべて塞ぎました。すると流れる場所がなくなり、地下へ漏洩したと思われます。 それで、今取り組んでいるのが地下水のバイパスです。原子炉の前に12本の井戸を組み、汚染される前に地下水を組み上げて、海に流そうと計画したんですが、漁協との調整がつかず、まだ稼働はしていません。地下貯水槽は、汚染水を貯留していたのですがここでも漏水があり、その対応にも追われました。汚染水タンクは100トンから1000トンまで、様々な多くの場所にあります。タンクから漏水したのはH4エリア。300トン地下へ漏水しました。近いとこに井戸を掘ると、浸透していることが確認できました。それで、井戸を掘って、汚染水を汲み上げています。

 水ガラスで地盤改良していますが、地下水位が上昇しているので、ウエルポイントで地下水を組み上げています。来年9月を目指して、深さ30メートルの海側遮水壁を建設中で、現在、半分完成しています。陸側遮水壁は凍土壁を作る計画です。今年度中に実験して、来年度から着工したいということです。サブドレインを使って地下水の組み上げもしています。

 報道でも存じと思いますが、4号機の使用済み燃料プール内の燃料の取り出しを始めました。1533体もあるので、安定した場所で、保管する方が安全です。心配する声があがったのは承知していますが、慎重に作業してもらっています。

 現在でも汚染水が流れ出ていること事態は間違いないと思っています。総理は影響がないと言っておられうのは、湾内で止めているということだと理解しています。湾内や地下への漏出がないという意味ではないと思っています。むしろ、国が責任を持って対応するという決意表明と感謝しています。

 心配するのは作業ミス的な、初歩的なミスが起きていないかということです。ALPSの停止も、ハシゴを残したり、パッキンが詰まったりしたというものでした。作業が多岐にわたり、毎日、新しい作業が出てきて、手順書もない状態で皆さん努力されています。それがミスの下地になっています。ボルトの締め方ひとつでも、専門性を持つ作業員がするのと、そうでないのでは違いが出るのではないでしょうか。それが原因となっているのではないでしょうか。

 4号機の使用済み燃料は、共用プールに入れます。6000本入るが満杯に近い状態です。それで、古い燃料は温度が下がりますので、空冷の燃料に移して、別の場所で冷やそうとしています。

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会派希望(のぞみ)県外政務調査1日目(2) 福島県畜産振興会

2013年11月30日 | 日記

 福島県町を後にした私たちは、同市内にある福島県畜産振興協会を訪問しました。飼育を継続できなくなった牛たちを放畜する場面をテレビで見た酪農家でもある倉吉市在住の桑田幸人さんが、酪農家の悲しみを描いて県展で入賞。その作品を同協会へ寄贈されたそうです。しかも、福島県の畜産は種牛を鳥取が供給したこともあって、鳥取県と深い付き合いがあるのです。そこで、今回の訪問となりました。

 

 鈴木専務=写真右=と、西沢事務局長=写真左=からお話を伺いました。鈴木常務が「鳥取県の皆様のご支援に心から感謝しています。平成24年1月27日には、義援金と桑田さん制作の版画を贈っていただきました。版画は本宮市の家畜市場に飾らさせていただいています。そして、今年も昨年に続き、版画を贈っていただきました。本当にありがとうございます」と丁寧な言葉を頂きました。以下はお二人の話の概要です。

 発災以来、複雑な事象ばかりがありました。事故なのか、事件なのか分かりませんが、筆舌に尽くしがたい時間を過ごしています。福島県の畜産は安心安全のサイクルを復活できていません。拭いがたい風評被害が出ています。海岸線は180キロありますが、これを9.3メートルを超える大津波が襲っんです。地震と津波で、家畜にも大きな被害が出ました。余震が頻発しました。規模、回数は半端ではありませんでした。3月、4月だけで震度4以上の地震が81回も発生したんです。

 そして、福島第一原子力発電所の事故です。放射性物質への知識がない、検査機器などの資材がない、人材はないというないない尽くしの中での対応でした。最初の問題は原乳でした。牛乳工場が被災して、生産ができないようになりました。3月11日19時3分、原子力緊急事態が宣言されました。21時23分には半径3キロの避難の指示が出され、翌日午前5時36分に1回目の水素爆発が起こりました。20キロ範囲が避難指示となり、刻々と被害が拡大していきました。川俣町の原乳を16~18日にモニタリング調査しました。その後、全県で調査し、3月20日には知事名で出荷自粛要請が出されました。食肉、鶏卵なども緊急モニタリング調査をしました。原乳がストップしても、搾乳はしなくてはいけないんです。絞った乳の廃棄に頭を痛めました。乳には油成分があり、汚染の心配もあり、そのまま流して捨てるというわけにはいかないんです。会津、中通りの順でモニタリング調査をしつつ、出荷自粛は解除をしてきたわけですが、価格で問題が出てきています。

 肉牛は、国は飼料は500ベクレルまでは大丈夫という指示でした。藁は圃場で確保したものが、汚染稲藁となり、その結果、芝浦市場に出荷した精肉からキロあたり2300ベクレルが検出され、大きな問題となりましたが、現在は全量超調査していて、このような問題は生じていません。 

 生乳は県が週1回検査し、残る6日は自主検査していますので、全量検査となります。肉牛も全頭検査をしています。豚と鶏はモニタリング調査しています。飼料用米は全量を調査しています。

 浜通りは、福島県の肉用牛の飼育の中心地で785戸が1万8000頭飼育していましたが、現在は約100戸2500頭に減っています。飯舘村は有名だったが、壊滅的な状態です。福島県内の農業は米が46~7%、畜産は二十数%、果実は二十数%、米、畜産、果実が3本柱です。

 家畜を放す映像が流れましたが、こうした離れ畜は対応の中心ではありません。殺処分ではなく、弛緩剤や安定剤を投与する時間をかけた安楽死処分をしてきました。今回は法律による命令で家畜を処分したわけでなないのです。畜産農家の同意を得て、1頭1頭対応してきたんです。しかし、同意がないと処分できなんです。畜産農家の中には今も殺さず、買っている方もおられますが、出荷は難しいでしょう。それでも飼う。それが畜産農家なんです。宮崎は命令殺でした。牛も野生化すると、パトカーに向かってきたりする。放畜は難しいんです。

 意見交換もしました。畜産復興に向けて新しい牛の導入も始めているそうです。しかし、避難指示が解除されても、戻りたくないという人もいるそうです。家はかび臭く、病院がなく、スーパーもない。暮らせない地域になってしまったというですね。20キロ圏内は手付かずの状態だそうです。海岸線は地盤が20センチは沈降していて、潮がかぶるそうです。だから。そうした対応から始めないといけないんだそうです。家畜の検査は殺さずともできるそうです。血液と牛肉の関係が分かるので、血液の検査をして問題があれば、また、安全な飼料でしばらく飼育して検査すればいいのだそうです。だいたい70日~80日で放射性物質は体外へ排出されるそうです。加えて、飼養管理もチェックしているそうです。しかし、それでも福島産は販売がうまくいかないと苦渋の対応をずっと聴かせていただきました。

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会派希望(のぞみ)県外政務調査1日目(3) 朝日新聞福島総局

2013年11月30日 | 日記

 畜産農家の悲惨さをお聞きした私たちが次に訪れたのは朝日新聞福島総局です。原発を巡る一連の動きに関心を持った同じ会派の伊藤美都夫県議が私に「原発を巡る報道は朝日新聞と毎日新聞が群を抜いて多い。古巣の朝日新聞の第一線で取材に当っている、できれば若い記者の話を聞けないかな」と言われるので、連絡を取ってみたのです。福島総局のデスクは四倉記者で、昔一緒に取材をした後輩。趣旨を話すと快諾いただき、この訪問となりました。

 

 総局では四倉デスクが待っていてくれ、もう一人の金子デスク=写真左=、担当の小坪記者=写真中央=、藤原記者=写真右=を紹介していただきました。

私が松山総局に勤務していたときに、新入社員の新人記者としてやって来たのが小坪記者。とくかく元気で、とても正義感の強い若者で、一緒に働いていて気持ち良い人間でした。

 「何で、小坪がここにおるんや」と聞くと、「朝日新聞を辞めて議員になった砂場さんが朝日新聞の総局にいる方が珍しいことですよ」と返してきました。相変わらず元気そうで、それだけで嬉しくなりました。会議室で金子デスク、小坪記者、藤原記者から話を伺いました。

 以下は小坪記者の話の概要です。 

 福島第一原発には原子炉が6基あるが、1号機と3号機は水素爆発し、メルトダウンしました。5、6号機は今のとろこ、問題はありません。水素爆発してないが2号機はメルトダウン。4号機は原子炉は点検中でしたが、3号機から水素が建屋に流入し、爆発しました。事故のレベルは「レベル7」。チェルノブイリ事故と同じ最悪の事故となっています。放射性物質の飛散は、天候次第です。福島では広い範囲が汚染されてしまいました。その被害は5兆円との試算もあります。

 除染が今の最大の取り組みです。福島県内の避難指示の出た自治体は国の責任で除染は進めることになっています。除染は、土地の関係者を確認し、住民説明会をする。高圧の水を吹き付ける、ナプキンで拭き取る、土を剥ぎ取る、草木を伐採するなどの方法があります。そして、事後のモニタリング結果を報告することになっています。除染した水、ナプキン、土、草木など大量の廃棄物が出るのも問題です。燃やせるものは燃やして量を減らしています。灰は高濃度、低濃度に分けて保管場所に持っていきます。中間貯蔵施設にまずは持っていくことになっているが、まだ、ひとつもできていません。誰もが欲しいし、必要性は理解しているが、自分の隣地に作って欲しくないというのが人の常です。帰還の障がいになると心配する声もあります。仮置き場も、中間貯蔵施設が出来ないことから見えてこないと思います。そこで、現在は庭先などに一時保管として取り敢えず置くことになっています。

 除染はなかなか進んでいません。国の予定がどんどん伸びています。故郷に帰れる時間が長くなると、昔の故郷から心も体も離れていくようです。あとあとに非常にたくさんの長い期間解決していかなければならない問題を生じてしまいます。

 

 続いて話していただいたのは藤原記者です。

 福島県沖の漁業ですが、1キロ100ベクレル以下になったものは試験操業して、そこでも、その基準がクリアできれば、出荷しています。41種類が出荷制限されていて、27種類は試験操業しています。宮城県沖は漁できるのに、福島沖は漁ができません。海に線を引くようなものですが、海に線が引けるわけがなく、海は続いているので、そこに納得出来ない漁師さんはおられます。過去5年間の一番収入の高い年と低い年を除く、3年間の平均の漁業補償を受けておられますが、別の仕事を見つけ、陸に上がってしまう漁師もおられて、本格的に操業再開したときに、元にもどれるかどうか不安だという声をもあります。

 農産物に関しても、この段階で出荷して基準値を超えると、風評被害を招くので、南相馬市などは出荷を自粛しています。ですが、農産物は2年も作ってないと水路の管理など地域ですべき体制が整わないと再開できないんです。ですから再開は半数程度です。あんぽ柿は干し柿なので加工でセシウムが濃縮されて高くなる傾向があります。伊達市梁川町を加工再開モデル地区として今期から出荷を再開しましたが、周辺地域は行政区画で線引きしたため、育てても捨てざるをえない地区が出ています。線引きは農家でも大きな問題です。

 質疑応答もしてくれました。

Q 取材されていて、子育ての世代の声はどう聞かれましたか?

A 原発の避難指定区域と、自主避難での違いがあります。子育て支援の在り方が違うんです。自主的に避難する人の選択も重いし、選択肢ない人の選択も重い。本当にそう思います。お母さんたちの思いを聞くと、洗濯物を干すことだけで地域に喧嘩になったこそもあるそうで、難しい問題があります。

Q 行政の対応での問題点を取材の中で、どう感じておられますか。

A 情報発信に問題があると思います。簡単に言うと有事モードにシフトすることができなかった。平時モードでやってきたから、市民には不満が生まれたんだと思います。行政との住民の思いにギャップがあったように感じています。

Q 廃炉までのロードマップがはっきりしないままですね。放射性物質の最終処分地は福島で受け入れないと進まないのではないかという意見をお聞きしたんですが、どうですか。

A 地元でもそういう声はそう珍しくありません。まだまだ放射線量の高いところもありますし、なにより福島第一原子力発電所がそのままある。そうした地域を最終処分の場所と考えてはという意見です。ですが、まとまった声にはなっていません。

Q 官邸前のデモなどに連帯する動きはあるんですか。来てみて、反原発というような動きは思ったほど感じられないんですか。

A もちろん原発には賛同できない声がいっぱいあります。しかし、官邸前のデモなどには、「言うなら福島に来て言ってくれよ」という声もよく聞きます。白河から北の人は本当に我慢強いんです。反原発で盛り上がっているわけではありませんが、デモに賛同するわけでもないように思います。ただ、こうした動きに勇気づけられた人はいるかもしれません。

Q 甲状腺がんなど住民の健康被害はどうなんですか 

A 県民健康調査を県立医大がしています。様々な意見がありますが、今のところ、科学的な有意差といえるものは確認できていません。ただし、この間、検査データの記入漏れを本人に確認せずに記入していたということが発覚しました。誤入力という発表でしたが、これは改竄と批判されてもしかたありませんが、県は認めていません。

Q 県と市町村の関係で問題はありませんか。

A 2000年の地方分権一括法で、県と市は平等になったはずだったが、県が中抜になったように思います。原発への対応でも、そう思える場面がありました。

本当に丁寧に対応していただき、本当に感謝しております。福島総局を出ると外は真っ黒です。ですが、明日の行程を考え、この日のうちに郡山まで前進しました。いよいよ、明日は福島第一原子力発電所にできるところまで接近します。

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会派希望(のぞみ)県外政務調査2日目(1) 接近、福島第一原子力発電所

2013年11月27日 | 日記

 郡山のホテルを出た私たちはレンタカーで福島第一原子力発電所を目指しました。磐越自動車道をいわくジャンクションで常磐自動車道に乗り換えて北上、広野インターで降りると、すぎに線量計のアラームが鳴り出しました。閾値は0.3マイクロシーベルトに設定してありましたが、1マイクロシーベルトを超えていました。

不思議なことに一般道に入ってすぐ、アラームは止まりました。高速と一般道をつなぐ間の道路の両側は雑木林でしたので、「雑木林は除染がされていないが、一般道に入ると、除染が進んでいるのかな」などと話していました。町を走ると、やたらに警察車両が目につきます。

 警察官も時間線量とか確認しながらの警備だとは思いますが、大変なご苦労だなと思いました。

家々はカーテンが締まり、屋根にも重石が置かれたりしています。人影も、犬や猫もいません。

このお店も賑わっていたことでしょうが、今は駐車場にも雑草が生えています。

線量計は、1.47マイクロシーベルト。近づくだけ、段々上昇していきます。それも、道路などでは低く、側溝の蓋の上では高くなります。放射性物質が側溝に流れ込み、堆積しているのかもしれません。

 

福島第一原子力発電所から、カーナビで8.8キロの地点で通行止めになりました。これより先は許可証がないと入れません。検問をしていたのは兵庫県警のおまわりさん。全国から警察官が応援に駆けつけていることが分かります。最初は写真を撮っていたので、不審者として職務質問を受けたのですが、名刺を出し、「視察で来たんですよ」と話すと、いたく、「なえるほど。現場主義ですか。大変ですね」と感心されているようすでした。「お疲れ様です。頑張って下さい」と激励してお別れしました。この地点での線量計の値は4.75ミリシーベルト。一番高い値を示していました。

 

 除染で出た大量の放射性物質を含んだ巨大なバッグが、道路の左右に集められています。仮置きされているのですが、まだ、最終処分地どころか、中間処分地も決まっていないのです。これだけでも、福島第一原子力発電所の廃炉処理がいかに大変か分かります。

 

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会派希望(のぞみ)県外政務調査2日目(2) 復興商店街

2013年11月26日 | 日記

  福島第一原子力発電所の被害の深刻さを実感した私たちが次に向かったのは、いわき市の久之浜町商工会が被災直後の9月3日にオープンさせた「浜風商店街」です。久之浜商工会には135会員が加盟していましたが、うち31事業者が津波被害により全壊。壊滅的な打撃を受けました。しかし、中小企業基盤整備機構の支援も受けて、逸早く復興プロジェクトを立ち上げたのでそうです。

 入店しているのは久之浜商工会事務所や久之浜ふれあい情報館を含め、11テナント。家電、衣類クリーニング、菓子販売小売、生鮮、酒、理容、食堂などのお店が並んでいます。食堂に入り、親子丼、五目ラーメン、カレー、焼き飯、餃子などを注文しましたが、いずれも美味しかったですよ。

情報館には被災時の写真がたくさん掲示してありました。地震、津波、そして、火災、原発事故と次々に悲劇が襲います。最後は空き巣被害。災害の上の犯罪ではたまったものではありません。

被災前の久之浜の模型もありました。海岸にそって商店街や住宅が並んでおり、津波の直撃を受けたのだなあと改めて感じます。

説明をいただいた久之浜商工会の復興支援員宮本有倫さんです。紹介しているのが「復興の花」です。布製バッグの中には花の種が土と鉢に入っていて、水をやるとそれだけで花開くのだそうです。その写真を送ってもらうと。それを3月11日の鎮魂のイベントで飾るというんです。みんな復興の手助けがしたいと思っています。それを形にするいいアイデアだと思いました。

でも、一番元気なのは「オバちゃん」たち。お母さんたちの笑顔が、落ち込んでいた僕に少しだけ、明るさをくれました。

 

 

 

 

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会派希望(のぞみ)県外政務調査2日目(3) 福島県漁連といわき市漁協

2013年11月26日 | 日記

 次に訪れたのは、いわき市にある福島県水産会館です。ここで福島県漁業協同組合連合会といわき市漁協から聞き取り調査をしました。

 福島県漁連の野崎会長にご挨拶した後、新妻専務理事らから説明を受けました。

 右からいわき市漁協の吉田理事、矢吹組合長、左から鈴木常務理事、新妻専務理事です。

 まず新妻常務が、震災への鳥取県からの支援への御礼を丁寧に述べられ、「平成23年に鳥取で開催された「豊かな海づくり大会」への出席は諦めていたが、『是非に』と招いていただき、レセプションでは両陛下との懇談までさせてセットして頂き、本当にありがとうございました」と話されました。鳥取県の支援が福島の皆様から、このように評価していただき、ありがたいことだと思いました。以下は皆さんからお聞きした話の概要です。 

 震災時、会長は東京で全国会長会議の最中。急いで帰ってもらうよう連絡した。14日に県水産課長と操業自粛を協議し、15日に各組合長と電話協議し、当面の自粛を決定した。23年12月頃、水産庁から復興支援事業を活用するために復興協議会の設立の打診があり、翌24年3月に第一回協議会を開催した。

 相馬双葉漁協より、漁業存続のためには操業を再開する方策を探って欲しいと求められた。相馬港のすぐ北は宮城県。そこでは操業がなされているのに、隣接する自分たちは操業できなというもどかしさが募った。そこで、どのような形であれば消費者に受け入れられるかを協議会で協議した。そこで、試験操業・試験流通販売計画を立てた。この計画を水産庁、県、大学の研究者、流通業者、水産加工組合、漁業者らで構成された委員が審議して、計画に了承を与え、それを県下の漁協組合長会で承認するというスキームを作った。

 1週間に1回、14艘で創業している。149種類の水産物のモニタリング調査をしている。100ベクレルを超えたのはアイナメなど4種類だ。放射性物質は90日で魚の体外に出るという。

 地下水の漏洩は昨年末から指摘があったが、東電は7月22日に認めた。漁業者は東電の話はまるきり信用していない。現場の人の話を聞くと、作業員は少なくて、もっと人がいれば進むのにと聞いた。東電にやる気はあるのだろうかと疑問だ。世界のフクシマになっている。 

 沿岸漁業は自粛集だが、2013年の8月から沖合は再開。しかし、築地の評価は讃々たるもの。小名浜を経由して流通は価格が低い。流通は止まると再開できない。細くてもいいから、と量販店などへつないでいる。「ゼロなら出すよ」と言ってもらった。風評があっても、出し続ける。小名浜のコンテナヤードから水産物を出していたが、小名浜は、福島県小名浜産となるので、だめ。東京港経由で出している漁船がほとんどだ。

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会派希望(のぞみ)県外政務調査2日目(4) 仮設住宅自治会

2013年11月26日 | 日記

県外視察2日目の最後の調査は、いわき市内にある楢葉町の仮設住宅です。

 対応して下さったのは、(右から)楢葉町いわき出張所の永山生活支援課長、楢葉町高久第10応急仮設住宅自治会の木会長、同課の半谷主幹の3人です。

 まず永山課長から緊急避難の現状について説明を受けました。

 3月11日の発災後、災害時相互支援協定を結んでいる会津美里町へ、まず195人を移送し、同町へは計7回1000人を移送、25日には楢葉町災害対策本部を移転した。ところが、復旧作業などでいわき市へ町民が移りたいとの希望が多くなり、4月25日には災害対策本部のいわき出張所を解説した。現在、楢葉町は避難指示解除準備区域なので、昼間は家屋に立ち入りが認められているが、夜間は立ち入り禁止で、住むことはできない。今年4月1日現在で、町民7623人のうち、99.9%にあたる7615人の所在確認ができている。いわき市に5734人、会津美里町に307人、郡山市に126人、会津若松市に118人など福島県内で6517人が避難生活を継続しており、県外にも1098人が出ている。町内の放射線量は0.58~0.17マイクロシーベルト/毎時。復旧対策の中心は除染と仮設住宅で暮らす町民の生活支援だ。

 木会長は県職員から楢葉町職員に転職、建設課長、総務課長などを歴任して退職されたそうです。原発誘致のころから関わってきたので、様々な思いが錯綜するのだそうです。以下は木会長の話の概要です。

 住民の意識調査では、23年8月には70%が「楢葉町に戻りたい」と答えていたのが、次の24年4月には46%に減り、同年9月には「帰町したい」と「できれば帰町したい」を合わせて39%となり、25年2月には「帰町できるようになった場合、楢葉町に帰るか」と聞いたところ、「町にすぐ帰る」が10%、「条件が整えば帰る」が33%だった。避難後、空き巣と泥棒が横行した。時間が経つと、畳にはきのこが生え、大規模なリフォームが必要となってきた。うつ病、不眠症、アルコール依存症の人も、明日が分からない仮設住宅の暮らしの中で増えている。こうした現状が、帰町したいという思いを奪っている。ウソで固めた後出しの情報に、住民は不信感を募らせている。東電も、国も責任を取らない。国の文科省が設けたモニタリングポストは鉛で遮蔽されており、数値は信用出来ないなどお粗末過ぎる対応が相次いだ。除染で出た汚染水などは収集せず、川に流していた。これが事実だ。町民の親戚や友人がたくさんこうした事業に従事しているし、福島第一原発で働いているので、そこで何が行われているかは、町民はみんな知っている。

 以下は質疑の主な内容です。

 Q 仮設住宅の概要は

 A 1人用は4畳半1K(6㎡)、2~3人用が2DK(9㎡)、4人以上用は3K(12㎡)です。いわき市では23年7月から入居が始まり、最終は25年2月21日です。これで希望者は全員収容できました。

 Q 仮設住宅への誘導は

 A 発災後、町民はまず避難所へ逃れ、それから二次避難所、そして、仮設住宅へはポイント制で、高齢者、病人、年少者から入居してもらった。

 Q 仮設住宅で暮らす上での問題は

 A 入居時と今では設備状況が大きく違う。当初は部屋3つあっても、エアコンは1つ。テレビもケーブルの受け口が1口だけ。風呂は追い焚きがない。トイレも便座シャワーもない。物干し場にはひさしがない。しかも、雨漏りもした。これらは町が県につないで改善して大分もらった。カーペットを畳に変え、二重サッシを入れ、不要に部屋を狭くしていた壁を取り除いた。濡れ縁を付け、風呂を追い焚きに変え、物置きを置き、舗装工事もした。

 Q 現在の問題は

 A 棟続きは隣の話し声が聞こえてしまう。対応年数は2年。丸太の上に建てていたため、ぐらつきも出ている。お風呂場で倒れる事件が2件あった。高久第10は200世帯が暮らしているが、子どもは20人くらい。多くが借り上げ住宅に入っており、果たして楢葉町に戻ってくれるかどうかはわからない。広野町は解除されても、20%しか帰還していない。福島第一原発から放射能は出ている。汚染水も出ている。全く止められていない。私はそう思っている。しかも、国は楢葉町に中間貯蔵施設をつくろうとしている。除染で出た指定廃棄物を運搬するだkで2年かかる。楢葉をどうするか、来年の3月に判断しなkればならない。

 Q 農地が綺麗だった。昼間、農家の皆さんが手入れをされているのなら、帰られるのではないか

 A 1億かけて農地の雑草の刈り取りをしている。農地は表土が大事なのに5センチ取って捨てて反転させる。これでいいのだろうかと思う。見せかけだけの政策と批判されるかもしれないが、農家のモチベーションを保つには、農地が生きているぞと見て頂くことが大事だ。

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会派希望(のぞみ)県外政務調査3日目(1) 全漁連

2013年11月26日 | 日記

 会派の県外政務調査も最終日の3日目を迎えました。まず向かった先は内神田のコープビルにあるJF全漁連(全国漁業協同組合連合会)です。

大森常務理事=写真中央=と、高浜漁政部長=写真右=のお二人からお話をお伺いしました。以下はその概要です。

 東電はイレギュラーなケースを除いて汚染水は漏出してないとずっと言ってきた。それだけに、東電が汚染水問題を認めたときは裏切られたという思いがした。その結果、東電の言われることは信用しないというのが前提のようになり、以降は官邸に直接に様々なことを言うようになった。これだけ裏切られるとそうなるのはしかたない。東電が漏水を認めた7月以降、国が前面に立って処理することになって、予算措置も取っていただいた。

 諸外国から「モニタリングは東電や国がしても客観性がない」とクレームがあった。来年からIAEAと共同調査をすることにした。汚染水は1日も早く、止めることが肝要だ。地下水路の中には1万5千トンの汚染水が残っている。まずトレンチを遮断して、海に流れ出ないようした。次は、そこの汚染水を抜いて工事を進めると国は言っているので、そこを早くするようにお願いしている。ALPSで冷却水を処理しているがトリチウムは除去できない。それが一番の問題と認識している。

 韓国政府が青森から千葉までの水産物の輸入を全面禁止した。韓国大使館、韓国水産業共同組合中央会、韓国水産会へ早期解除へ協力要請の文書を発信した。韓国側の言い分は「汚染水問題で、韓国内の水産物も3割販売量が減った」と言う。朴大統領と韓国水産庁の姿勢が厳しいように感じている。水産物から0.4ベクレル以上の放射能が検出されるとストロンチウムの検査をすることになっているが、ストロンチウムの検査は1ヶ月かかり、事実上の輸入禁止になる。天然の物でも1ベクレルを超えることがある。原発の影響だけではなく。それでタイの輸入が止まっている。このため、国内のタイの魚価に影響が出ている。

 「モニタリング情報の提供が十分にできてない」という指摘もあるが、水産庁はホームページで6ヶ国語で公表している。100ベクレルを超える水産物は福島沖でも1.7%まで低下。それ以外は0.6%だ。海外でも、国内でも、汚染水が漏れている事実と、周辺は安全という事実が混同されている。福島第一原発の港内の魚は1匹残らず、捕獲する方針だ。高い値が出ているのはここの魚だ。

 先が見えない中でも、漁師さんたちのモチベーションを下げないようにしている。福島の組合長会議には毎回参加させてもらっているのは、皆さんの声を大切にしたいからだ。しかし、福島沖でモニタリングで操業しても、サンプル以外は放流している。そんれに汚染水が本当に止まってコントロールできるなんで考えられない。モチベーションを保つのは大変だ。

 食品の価格はここ5年間は下がっていないのに水産物だけ5%下がっている。これが日本水産業の最大の問題だ。私たちは旬を大切にする漁業に取り組みたいと思っている。ブランド化に成功したら、通年、その魚を出荷して欲しいというスーパがある。魚の美味さは季節によって違うことを消費者に知ってももらいたい。

 輸出はこれから考えていきたい分野。そのためにも魚市場の高度衛生処理(HACCP対応)は必要だが、基本、施設設備ではなく、ソフトで対応したいと思っている。

 東日本大震災では養殖の銀ジャケに大きな被害が出たため、品薄になると見た商社がチリ銀を入れたら、価格が暴落した。キロ250円まで落ちた。そこで、お互い、適正な生産と乱高下する価格は止めましょうとチリまで言って話しあってきた。現在は輸入は抑え、450円くらうになった。これで収支がやっとあう水準だ。ノルウェー産のシャケは生で食べる。価格は倍くらいにもなる。養殖の銀シャケは生で食べられるのを強調していくことで、魚価を上げたい。

 TPPは情報が一切出てこないのが問題だ。報告会に行っても情報がない。JFグループは、漁業補助金の継続と二国間協定でも関税を撤廃してない水産物は聖域と位置づけて保護することを求めている。水産物の関税は加重平均で4.1%。高いのは海苔で1枚1.5円(28~9%)。昆布15%、主要水産物は10%だ。そのため、水産業は2500億円の影響と言われているが、これは参加12カ国での推計値。実際にはもっと大きくなるのではないか。

 伊藤議員が元鳥取県漁連の組合長だったことから、全漁連の皆さんは顔見知り。率直な意見交換もしましたが、やはり、福島の海を考えると、島根原発の対応を慎重な上にも慎重にしべきだと改めて感じました。

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会派希望(のぞみ)県外政務調査3日目(2) 農林水産省、桑田幸人さんの版画

2013年11月25日 | 日記

 全漁連を出た私たちは、農林水産省の食料安全保障課を尋ねました。太田豊彦課長と中村真紀原子力災害対策専門官のお二人にお話を伺いました。以下は伺ったお話の概要です。

 除染は、復興大臣の指揮の下、環境省と連携して進めている。農水省は効果的、効率的な技術開発を担当している。

 除染はセシウム濃度の減少を目指し、反転耕、表土削り、固化剤を用いた表土削り、水を用いた土壌撹拌が柱になっている。表土削りではセシウム農土が8~9割減少した効果を確認した。

 ため池など農業用水対策にも取り組んでいる。まず取水位置を変更して表層水を取水するようんして、底質に沈下した放射物質の混入を防ぎ、恒久対策として、底質の除去に取り組む。

 汚染(8000Bq/kg)された稲藁、堆肥は指定廃棄物として国が管理。それ以下は市町村が処理する。厳格な管理・保管が必要で、共同または農家ごとに農家の庭先にラッピングして保管している。26年度末を目途として中間貯蔵施設の確保を目指している。

 農林畜産物の放射性物質の低減対策にも取り組んでいる。米はカリウムを与えてセシウムの吸収を抑制する。果樹じゃ粗皮削り、高圧水による樹体船上を実施している。きのこは原木は50ベクレル/kg、菌床用培養地は200ベクレル/kgの指標値を設定した。

 これらの対策の結果、23年度末の結果と比べ、セシウム濃度は低くなり、基準超過の比率も大幅に低下した。 

 営農再開への支援をしている。これからはこれが柱。「除染⇒条件整備⇒営農再開」というのが流れ。以下の三段階で進める。営農再開支援事業費として、平成24度補正予算に232億円を計上した。

 第1段階 除染後の農地管理(営農再開までの農地の除草など保全管理を支援。鳥獣害被害防止緊急対策や放れ畜対策も支援する)

 第2段階 作付実証(基準値を下回る農産物生産の確認する。帰還しない農家の農地を管理する人への支援や収穫後の汚染防止対策も実施する)

 第3段階 新たな農業への転換(大規模化や施設園芸等への転換のために必要な支援)

 特に稲作については丁寧な対応をする。。避難指示解除準備区域は25年産から作付準備を開始する。

 公的主体が森林整備と放射性物質対策を一体的に推進する。

 福島沖の操業自粛は長期化。漁業再開に向けた試験操業を支援する。

 「食べて応援しよう!」 被災地産食品の利用販売を推進する。

 損害賠償は、5795億円の請求に対して4999億円を支払い(86%)。14%は平均3ヶ月のタイムラグが主因。

などの説明を受け、意見交換も致しました。

 この後、上野公園の東京都美術館を訪れました。日本版画展に出品されている倉吉市在住の版画家桑田幸人さんの作品を鑑賞するためです。

震災後、放れ畜など、福島の畜産農家の苦悩を描いてこられましたが、今年は復興への祈りを込めた作品なのだそうです。、

 

 

 

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急がれる米国食品安全強化法への対応。ジェトロで同法を調査しました。

2013年11月13日 | 日記

午前中は、JETRO(日本貿易振興機構)に行ってきました。日本の人口が減少する中、鳥取の第一次産業の振興を考えると、農林水産物とその加工品の輸出は大きな活路になると思うからです。ところが、アメリカは2011年、食品安全強化法を制定しました。70年ぶりとなる食品行政の大転換ですが、カナダや中国にも追従する動きがあり、そうした情勢をしっかり把握しようと思ったからです。


ジェトロは赤坂のアークヒルズにありました。

 強化法のポイントは103条(加工品)、105条(農産物)、301条(チェック体制)、307条(第三者監視制度)の解釈だとうことは何となく分かったのですが、私の語学力ではそこまで、ジェトロで後はお聞きしたと思っていました。対応していただいたのは、農林水産・食品調査課長の長谷川直行さん、同課の高松晃子さん、そして、鳥取貿易情報センターの景本篤史さんの3人です。

 正直、自分の疑問をぶつけると「ふわっと書いてある。どう読み込むのか、ジェトロでも苦慮している。通関するときに、ストップすると、農林水産物はダメになってしまいますから大問題です」と話してくれました。どの基準を用いるかを明確に把握しようと努力されているそうですが、HACCPに準じてとしているものの、HACCPは基準そのものではないというのです。判例法の国独特の難しさを感じました。現在、施行細則のパブリックコメント中ですが、今月11日最終決め切り。来年いっぱいか、あるいは再来年早々に決まり、この法制度は動き出しそうなので、それまでに対応をしっかり詰める必要があるようです。

 食品安全法の枠組みの丁寧な説明を受け、実際に検査と情報把握が体制が強化されたことを教えていただきました。アメリカに食品を輸入しようとする企業は、どこの工場で生産された食品か登録することが義務付けられました。問題は登録するのは輸入会社であっても可能で、日本国内の販売店で食品を買ってアメリカ国内に持ち込もうとして輸入会社が登録すると、工場が知らない間に登録されていることになるそうで、それを心配しているそうです。2011年の制定以降、米国食品医薬品局からメールが届き、現実に検査官が日本に来訪していることも教えていただきました。製造フローの説明を求められ、工場の外周や内部を検査し、様々書類審査がなされたそうです。検査を拒否すれば、輸出することはできません。検査で不備が指摘されれば軽微なものはその場で修正し、重大な不備が発覚した場合は検査指摘書が発行されます。その後、適時、修正を報告することになるそうです。現在は、この段階まで解決しているのですが、同法は不備が極めて重大であった場合、あるいは修正で解決できないときは、警告書が出され、再検査になります。この再検査がやっかいで、高額の手数料を請求されるからです。検査官がワシントンの事務所を出てから帰るまで、1時間あたり302ドルを請求されます。かりに訪日に1日、検査に1日、帰米に1日とすると、約170万円にもなります。

 バイオテロ法との関係、義務付けられる食品安全計画、外国供給業者検証プログラム、第三者監督制度など同法の問題点も、お聞きしました。ジェトロではパブリックコメントを提出し、情報収集にも努力しているそうです。鳥取にも貿易情報センターがあるので、情報提供をお願いしてジェトロを後にしました。アメリカにカナダやEU、さらには中国などで米国に追従する動きもあり、この問題は注視していく必要があるそうです。

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