○母&母系解説(Family Story)
欧州トップマイラーを祖母に持つ快速血統
母マイノチカラは、栗東・森秀行厩舎の所属馬として中央でデビューするも3戦して勝ち上が
れず、地方競馬に転厩。名古屋競馬場のダート1400m戦で初勝利をあげました。その後、再び
森厩舎に戻り、主に芝の短距離戦を使われ、1000万下条件の仲秋特別など2勝をマーク。6歳
まで走って通算19戦3勝の成績を残しました。2008年にタニノギムレットとの間に産まれた初仔
パドルボードは地方で4勝。2年続けてタニノギムレットをつけて産まれた第2仔ミスエコパワー
も、中央でデビューを果たしています。そして第3仔にあたる牡駒が、父にキングカメハメハを持
つマイノチカラ11です。キングカメハメハ×サンデーサイレンスという配合は、ローズキングダムや
トゥザグローリーでお馴染みの黄金配合で、特にクラシックディスタンスで力を発揮する傾向が
あります。さらにヌレエフの4×4というインブリードによって強化されたスピードも魅力的です。
母系は、祖母シャンクシーがムーランドロンシャン賞2着、ジャックルマロワ賞3着2回など、欧 州のマイルG1で活躍。日本に輸入されたシャンクシーは母としてもNHKマイルC4着のオリー ビンを筆頭に、いずれの産駒も複数の勝ち星をあげており、繁殖としてのレベルは申し分あり ません。4代母は伊オークス馬で、一族にも重賞馬が多数。このマイノチカラ11も、重賞戦線で 十分に存在感を示してくれそうです。 |
○松田博資調教師インタビュー(2013/4)
――見た目の印象、もしくは初めて見た時の印象はどうでしたか? 小柄ながら綺麗な骨格をしていて、バランスのいい馬だと思いました。 ――どのような路線を想定していますか? 母馬は1200mで活躍した馬ですし、スピードは十分に受け継いでいるでしょう。 父のキングカメハメハが自在性のある種牡馬なので、母方の高いスピード能力とうまくマッチすれば、距離の幅は広がるでしょう。 芝の2000m前後での活躍をイメージしています。 ――この馬の現状でのセールスポイント、課題などが分かれば教えて下さい。 牡馬としては大きすぎず、ちょうどいいサイズに成長してくれています。 少しピリッとしたところのある気性で、それが競走馬としていい方向に出てくれれば本当に楽しみ。 ――本馬への期待、抱負の程をお願いします。 血統からも先々まで楽しみな馬ですから、じっくりと育てていきたいと思います。 精一杯努力しますので、ご声援よろしくお願いします。 |
○配合診断
オリービンの甥で、母の母シャンクシーは芝マイルの仏G2勝ち馬。 シャンクシーは中央に出走した産駒がすべて2勝以上をあげているクズを出さない繁殖牝馬でもあります。 配合的にはキングカメハメハ×サンデーサイレンスでNureyev 4×4ですから、トゥザグローリー(キングカメハメハ×サンデーサイレンスでNureyev 4×3)を思わせる配合パターン。 ただこちらのほうがマイラーっぽい体型で、これはラストタイクーン(BCマイル)とZilzal(6戦5勝の名マイラー)の血脈構成が重なる部分が多いため、両者のマイラー資質を強く受け継いだからでしょう。 ただし、NureyevのクロスにVaguely NobleやGraustarkも入りますからおそらく体質はHyperion的で、一気に差し切るような鋭い瞬発力はないものの、前で受けて競り合う形になると頑張りをみせるタイプ。 やはりイメージとしてはオリービンに近いものになります。 |
○馬体解説
現役時代のマイノチカラは母シャンクシーの血が濃く出ていて小顔で品の良さがありました。 一見して本馬の顔は母系でコンパクト。 キングカメハメハ産駒にしては全体に体が薄い反面、牡馬でも後駆は下腿骨が細長く、管骨も細めで後脚に重さがありません。 腱や靱帯がまだ弱い2歳早期には後脚が軽いタイプの方が前脚との回転のズレが生じにくく、仕上がりが早い利点があります。 歩きもリズミカルで脚元にかかる負担が少ないのが分かります。 芝適性が高く、上体が軽いのでスタミナを温存でき、中距離以上をこなせる資質があります。 |
2012年11月
2013年3月