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嵐の生涯を読み終えて

2016-07-17 07:08:25 | 日記
 ドイツで航空機を設計、製造したハインケルの自伝「嵐の生涯」を読み終えました。前も書きましたが、ハインケルはナチ嫌いと言われ、航空機の採用にも影響したという話があります。読み終えて、ナチ嫌いうんぬんよりも、ナチの航空機に対する組織体制の欠陥がよくわかりました。

 ナチ体制下では中央集権的で、ヒトラーの一声でなんでも決まるという感じがすると思いますし、組織体制が整っていたように思われるかもしれません。私がこれまでで知る範囲でも、ナチの体制は似たような目的の組織が複数あって、お互いが主導権を握ろうとしたりして足を引っ張り合ったり、適材適所の人員は一ではなくて、無能な人間が責任者に居座ったりと、一党独裁体制とはいいながら非効率な組織でした。

 それが航空機をつかさどる航空省や空軍でもおんなじで、トツプはゲーリングなのですが最新の技術はわからないが権力だけは離さないし、空軍も新技術について理解できる人が対応するという態勢になく、もし新技術で失敗すると自分の責任になるので責任回避の姿勢に終始します。

 航空機、特に戦時においてはその技術的な進歩のテンポは速くなければなりません。そうでなければ敵国に先を越されたら不利になることは明確なので、敵よりも一歩進んでいかなければなりません。そのためには、新技術の開発をリスクをとっても遂行しようという強い意志をもった人間が必要です。ところが、航空省や空軍にそれなりの人材はいたのかもしれませんが、そのような人が新技術を担当することがありませんでした。

 ですから、ハインケルがジェットエンジンを開発し、世界で初めてジェット機を飛ばしたにもかかわらず、その技術の可能性を正しく評価できる人物がいなかったということが悲劇で、もしハインケルにジエット機の開発を続けさせていたら、Me262が実用化される一年前にはジェット戦闘機が戦力化できていと思われます。

 似たようなことは夜間戦闘機のHe219にも言えまして、優秀な成績を治めたにもかかわらず、新規開発の機体の量産が軌道に乗るまで時間がかかると考えたのでしょう。それより旧型機であれば数だけはそろえられるという責任回避が影響して、画期的な夜間戦闘機は極少数しか生産されませんでした。

 というような具合に、ハインケルは最先端の技術を追求し、次々と具現化していたにも関わらず、責任回避の役人たちに排除されてしまったという結果となりました。ハインケルの技術が取り入れられた航空機がちゃんと造られたとしても、戦争そのものを勝利できたかといえば疑問ですが、もうすこしましな結果になっていたかもしれません。

 ハインケルの新しい技術にチャレンジする姿勢には感動しましたし、ナチス体制の欠陥もよくわかる一冊でした。

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