寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

都道府県別日本の中世城館調査報告書集成は東洋書林から。

2012年01月17日 18時57分31秒 | オンライン古書店
住み慣れた郷土の歴史を紐解くのは楽しい。最近では週末ともなれば、ガイドブック片手に史跡巡りを楽しんでいる中高年のグループをよく見掛ける。旧きを訪ね歩くことで、ささやかでも新しい何かを発見して、それが自身の生き方の後押しともなれば喜びも一入、またそうなれば普段、何気なくボンヤリ見ている故郷の風景がにわかに光彩を放ち始める。年末から再延長で借りっぱなしにしていた書籍も、たいして読まないうちに明日にはまた図書館へ返さなくてならない。久し振りで面白い本に出逢ったので、最近書かなくなった日記を開いてみたところ。


『都道府県別日本の中世城館調査報告書集成9 中部地方の中世城館3 静岡県』
随分と長いタイトルだが、本書は、静岡県教育委員会文化課が編集して、静岡県文化財保存協会が昭和56年3月31日に発行した『静岡県の中世城館跡』を底本とし、「東洋書林」が全都道府県版の第7回配本として2001年11月30日、写真製版により複製発刊した。発売元は都内新宿区上落合の「海路書院」とある。定価表示がないので検索すると、31,500円だった。内容については、軍事機能の高いとされる山城から防備の薄い平地の屋敷跡まで様々、各市町村別に掲載している。また次章では、50音順に各城館がどのような文献資料(古文書)に記載があるか、また、その文献の年月日、文書題名、所収刊本名、巻、頁等迄、判明できるものの掲載がある。要はこれ一冊で県下中世城館の手引き案内の書と成り得る。たとえ重厚な石垣や天を衝くような立派な天守閣など無くても良い。今は住宅地と化したのこの場所に、かって領主や武家の屋敷があり、厳然として暮らしの営みがあり、そういうものの上に今日を生きる私たちの暮らしがあるという繋がりに気づいただけでも人生は豊かなになるのではないか。


●菊判上製本(クロス張り表紙・丸背タイトバック)551頁+索引15頁、付録地図1枚(20万分の1中世城館分布図)、本書は写真製版による縮刷版なので、当初のB5版から菊版(224×148)に改めた為、本文中掲載の25,000分の1の地形図はスケール読みできないという不便さがある。また重量1,3Kgではフィールドワークには向かない。一家に一冊とは大袈裟だが、「歴史好き」には是非とも手元に置いておきたい・・・(我が家の財政では残念ながら手も足もでない)せっせと図書館通いをするしかないのだがー。
●目次
[序章]
1)調査にいたる経緯
2)調査の経緯
3)調査の方法
4)城館等一覧
[第1章]中世社会と城館
1)中世の農村
2)静岡県城館跡の時代による特色
3)戦国大名による縄張の特徴
4)地名・地籍図による城館等の復原
5)中世遺物の概要
・東部地区の中世遺物
・中部地区の中世遺物
・西部地区の中世遺物
[第2章]城館跡概説
1)東駿及び伊豆地区
2)中駿地区
3)西駿等地区
4)東遠地区
5)中遠地区
6)西遠地区
7)湖北地区
8)北遠地区
[第3章]文献所載城館等名一覧及び文献調査概要
1)文献所載城館等名一覧
凡例
・名称付城
・城A
・城B
・国府
・役所、代官所
・館
・名称付屋敷
・屋敷
・陣
・補遺
[第4章]持論
・深沢城跡
・葛山城館跡
・長久保城跡
・山中城跡
・阿部城跡
・潮城跡
・田中城跡
・高天神城跡
・二俣の三城跡
・犬居城跡
[あとがき]
・城館等名称索引
・附 静岡県主要中世城館跡等分布図(別袋)

<追記>
我が町、柿田川湧水のある清水町では8箇所の城館等記載があった。
・岩崎屋敷 / 清水町八幡字内屋敷
・泉頭城 /〃伏見字泉頭
・杉山屋敷 /〃道庭字札ノ辻
・藤泉院土居 /〃戸田字寺中
・殿ノ前 /〃的場字殿ノ前
・湯川砦 /〃湯川字辻ノ前
・戸倉城、太鼓櫓 /〃下徳倉字和田他(本城山、徳倉城、城山)
・出城山 /〃上徳倉字出城山

中部地方の中世城館〈3〉静岡 (都道府県別日本の中世城館調査報告書集成)
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