BALIぴあNote

Pianoと納豆と、そしてBALI

童話

2012-06-01 17:44:21 | 
子供のころ、毎晩お布団に入ってから寝付くまでの間、母が本を読んでくれていた。

一番よく読んでくれたのは、佐藤さとるの「誰も知らない小さな国」、
そして、次が小川未明の童話だった。

小川未明の童話は、今でも私の宝物だ。

特に好きだったのが、「月とあざらし」。そして、「月夜とめがね」。
「月とあざらし」は、とても悲しいお話。
行方のわからない子供を持つ母あざらしが、毎夜、月に向かって泣いていると、月が優しくあざらしに語りかけてやる、
その会話と、情景の描写がとても悲しく、寂しさに満ちていて、私は、このお話を聞くのが大好きだった。
「月夜とめがね」は、春の暖かい朧月夜に照らされる田舎の一軒家に一人で住むおばあさんに起こった一夜の出来事で、これは、その不思議な結末に胸が躍ったものだ。

この人の代表作には「赤い蝋燭と人魚」があるけれど、私はどちらかというと、あまり好きではなく(たぶんとても残酷な感じがしたので)、
上に上げた2つの作品が大のお気に入りであった。

ほかに、戦争をする2つの国の国境を守る2人の兵士の友情と別れを描いた「野ばら」、これは母のお気に入りだったように記憶している。

どの作品も、情景の描写が静かで美しく、悲しみや寂しさが絡む音のない流れが底に秘められているといった風で、なんともいえず私の心に合っていた。

夕焼けの寂しさと似ているのかも。