情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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匿名にしたい事情~権力者に都合の悪いことを隠した例

2006-02-02 08:51:12 | 匿名発表問題(警察→メディア)
匿名発表化を進める背景に,次のような警察と権力者との癒着があることはしっかり見据えなければならない。毎日新聞の記事を引用します。

■■引用開始■■

医師や看護師に大麻を譲り渡したとして鹿児島県警に逮捕され、大麻取締法違反の罪で起訴された男について、同県警は31日夜、被告の氏名を明かさず事件の概要を発表した。男は、霧島市議会の西村新一郎議長(58)の二男の無職、太被告(30)で、発表は起訴の5日後だった。県警は(1)大麻の入手先の捜査で事件の公表を控える必要があった(2)起訴され身柄が警察から離れた--ことを匿名発表の理由としているが、不透明な発表方法に識者からも疑問の声が出ている。

 西村被告を逮捕した鹿児島西署によると、西村被告は昨年9月30日、霧島市内で同県加治木町の女性看護師(27)を介して男性医師(30)に大麻約5グラムを4万円で譲り渡した疑いで、先月5日に逮捕された。鹿児島地検は同26日、同法違反(譲渡)の罪で西村被告を鹿児島地裁に起訴したが、鹿児島地検はその際公表せず、同署は西村被告が保釈された31日夜、3人の氏名をいずれも匿名として発表した。

 医師と看護師が起訴猶予処分となった理由について、同署は「所持していた大麻が微量だったため」としているが、地検は「捜査上の事柄であり、言えない」としている。西村被告は「大麻の種子を昨年初めに大阪で入手し、山林で栽培した」と供述しているといい、同署は同法違反(栽培)容疑で追送検する方針。

 西村議長は1日朝、「息子が逮捕されたことで、警察に匿名とするよう働きかけたことは一切ない。自身の責任の取り方についてはしっかり考えたい」と語った。

 西村議長は霧島市の前身の旧国分市議を5期務め、02年5月に同市議会議長に就任。昨年11月に周辺6町と合併後の霧島市議選に当選し、同12月から初代議長を務めている。【内田久光、大塚仁】

 ▽木山修次・鹿児島西署副署長の話 大麻捜査は事件終結後の発表が原則だ。違法栽培について、追送検の予定があり、捜査終結後に実名発表するつもりだった。しかし、裁判所が保釈を決定したので、追送検後に発表すると、なぜ保釈時点で発表しなかったかと追及されると考え、発表した。ただ、その時点ではすでに保釈されていたので実名では発表できなかった。

 ◇恣意的発表の印象

 服部孝章・立教大社会学部教授(メディア法)の話 事件の広がりを考え発表時に匿名にすることはあるが、このケースはそれにあたらない。軽微な事件ではなく、捜査や公判維持に何ら問題がないのに、保釈を理由に匿名にするのはおかしい。薬物事犯は多くが実名発表されており、これまでの鹿児島県警の発表と比較しても、恣意(しい)的な発表という印象があるのではないか。親に直接の責任はなくとも、市議会議長となれば道義的責任は問われるケースだ。

■■引用終了■■

もちろん,被害者の匿名発表の問題と直接リンクするわけではないが,こんなことを考える集団だからこそ,メディアのアクセスを確保しておかないといけないっていうことです。


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