情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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広島県警が身内を庇って発表控える~しかも発表しなかった理由は嘘

2006-02-14 07:15:24 | 匿名発表問題(警察→メディア)
広島県警が県警本部職員の関係者が勤務先のパチンコ店で1億円横領した事件を発表しないまま,処理し,しかも,発表しなかった理由を「公表するなら被害届は出さないと言われ,被害届がなければ起訴できないと思い,当時の署長の判断で派記者発表しなかった」としていたという。

まずは,中国新聞を引用します。

【広島県警が、逮捕した容疑者の名前や容疑事実などを報道機関に知らせないまま、内密で処理していたことが分かった。

 被害総額が約一億四千八百万円に上る着服事件。普通なら当然、公表されていただろう。ところが、捜査した広島中央署の当時の署長が、発表しないと約束して被害届の受理を決めたため、異例の経緯をたどったという。

 しかも、この事件で被害に遭った広島市中区のパチンコ店経営会社の社長は、警察と協力関係にある県暴力監視追放防犯連合会長などを務めていた。「被害が公になれば店の信用に傷がつく」というのが公表しないように頼んだ理由である。これでは気脈を通じ合った恣意(しい)的な事件処理と批判されても仕方がない。

 弁護士会などからも「今回の例は特別扱いに当たり、公正な捜査とはかけ離れている」と厳しい指摘が出ている。県警は県民の信頼をどれほど損なったか、あらためて肝に銘ずる必要がある。

 同社の経理担当社員だった被告(41)は、窃盗や業務上横領などの罪で起訴され、広島地裁で公判中。「ホストクラブでの飲食代やホストへのプレゼント代欲しさの犯行」として懲役七年を求刑されている。

 着服事件は、強制わいせつ罪などのように被害者の告訴がないと起訴できない親告罪ではなかった。逮捕、送検して起訴されれば、記者が裁判を傍聴する機会もある。事件を内密に処理し通すことは難しかったはずである。

 元中央署長らは被害者を説得すべきだった。「不可解な事件処理」と首をかしげざるを得ない。

 一方で、一署長の判断ミスと断じるには疑問も残る。事件処理などの判断基準に甘さが出ているのではないかと思えるからだ。同じような不明朗な事件処理がほかにもあるのではないか。そうした疑念もわく。

 犯罪被害者保護の観点から、ここ数年、事件の報道発表で匿名が目立つようになっている。

 今年四月には犯罪被害者基本法が施行。その理念に基づき、八月には「犯罪被害者を実名にするか、匿名にするかは警察の判断に委ねる」とする政府の犯罪被害者等基本計画案も出された。

 日本新聞協会は、この項目の削除を求める意見書を内閣府に提出。警察の判断に任せる危うさに警鐘を鳴らしてきた。

 被害通報に基づき、中央署が今回の着服事件の捜査を始めたのは一月のことだった。不適切な事件処理は、こうした一連の流れと無縁ではないだろう。

 捜査情報が適正に公開されないのでは、多額の税金を投じて進められる捜査や容疑者逮捕の是非などの検証もままならない。

 個人情報保護法の全面施行に伴い、医療機関などでも公表する情報を絞る傾向が顕著になっている。

 しかし、住民が警察を信頼できるのは、「公正さ」の保証があるからだ。廿日市市で起きた女子高生刺殺事件など、安全を脅かす未解決事件の捜査でも、警察への信頼があって初めて親身の協力が得られる。組織の透明性の確保が不可欠だ。】


放送レポート3月号によれば,パチンコ業界,警察情報に詳しい者が「被告の父親は,広島県警本部の職員だった。すでに定年で引退していたが,一般職員として相当上の方まで昇進した人だ。こういったことも発表されなかった理由の一つではないか」と話しているという。

しかもその人物は,「横領・詐欺の金額も,最初は4億円で立件する動きだったとも聞いた」というのだ。

それにもかかわらず,きちんと検証したのは中国新聞のみだという。どうした,全国紙!


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