情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

実名発表が望ましい~長崎の園児誘拐殺害被害者の父の手記

2006-03-11 08:05:50 | 匿名発表問題(警察→メディア)
少年によって誘拐され,命を奪われた駿くんの父が民事訴訟を提起するにあたって手記を発表した。そのうち,メディアへの発表について以下のようなコメントを寄せています。

■■引用開始■■

過去の少年事件で被害者となられた方が残された手記では、警察の捜査がずさんであったり、偏った情報操作がなされるなどして、被害者側が必要以上に苦しめられたり、名誉を傷つけられるなどしたこともあったことが記されていました。もし、警察の判断により被害者氏名が匿名で発表された場合、報道機関による事実の検証が難しくなり、このような正義に反することがあったとしても結果的に隠蔽(いんぺい)される可能性があります。そういう危険性が少しでも残るのであれば、氏名を実名・匿名いずれかで発表するかの判断は警察ではなく報道機関に委ねられるべきだと考えます。今回、犯罪被害者等基本計画を策定する中では、報道集中による犯罪被害者への二次被害を少なくする観点からこの決定がなされましたが、私たちの場合で言えば、確かに最初は報道関係者が何度も家を訪ねてきて本当に辟易(へきえき)することがありましたが、私たちが報道自粛をお願いしてからは、真摯(しんし)に対応していただいたと感じています。また、これからもそのような被害者のことを配慮した対応が続くものと信じています。報道のあるべき姿についてはいろいろな考えを持たれた方がおられると思いますが、事実を検証しそれを伝え、誤りがあればそれを正すという報道機関の役割は軽視されるべきではないと思います。

■■引用終了■■

引用部分の前に,【犯罪被害を経験した当事者である私たちとしては、この氏名の取り扱いの判断は、警察ではなく報道機関でなされるべきだと感じています。もちろん、被害者の意思が第一に尊重されるべきであり、被害者側が匿名発表を望めば、そうされるべきと考えます。私たちの経験から言えば、事件直後は息子を失ったショックで錯乱状態であり、警察から発表される息子や私たちの名前が実名であるべきか匿名であるべきか、この判断をすることは到底不可能だったと思います。結果的に私たちの事件では警察より実名が発表され、その後の報道も実名でなされました。今、冷静になって考えてみても、事件の真実や重大性を報道によって多くの人に知ってもらい、それについてよく考えてもらうためには、実名でなければ難しい面が多いように思います。】というコメントはあるものの,報道機関の権力チェックについて理解を示されていることに注目したい。


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