子供の頃から、音大受験まで習ったピアノの先生。
大学は声楽専攻だったので、レッスンは行かなくなったが、
その後は年を重ねる毎、先生とは師弟関係というよりは、
大学の先輩後輩の様な(実際そうなのだが)関係になりつつある。
女同士ならではの話題で盛り上がる時、年の差が縮まっているのがわかる。
不思議だ。子供の頃、先生の前では怖くて喋れないくらいだったのに。
先生は、カシワ・デ・シャンソンの時は必ずいらしてくださる。
そして愛情こもったお手紙を必ずくださる。
そこには私の歌への感想や、先生のお友達の反応、
先生として、先輩として、そして同じ女としての気持ちが、
飾り気のない言葉で綴られている。
離ればなれ、音信不通になる人も多いというのに、
もう何十年も親しくさせて頂けてることに感謝。
そして今の私を見て(聴いて)頂けることに感謝。
その先生からのお誘いで、全日空コンチネンタル。
一緒にお泊まりのご予定だったお嬢様が都合悪くなり、
「ともみちゃん、よかったらいらっしゃらない?」
急きょ私がお邪魔することに。
先生は東京湾の花火を、ご子息宅で楽しまれた後ホテルに向かう、
とのことなので、待ち合わせは夜の9時過ぎ。
ホテルのバー。ちょっと早めに行き、ワイン飲みながら先生を待つ。
ピアノとダブルベースのステージが2回終わって、先生がみえた。
「私お酒飲めないのよ」
相変わらずお目目が大きい。綺麗な先生。
しばらく喋って、部屋へ行く。
先生と、こうして寝間着すっぴんで、話せる時が来るなど
思いもよらなかった。机の上にメモ。先生の字で
「今夜の女子会のテーマ:
明るく 希望のある 話と夢を語る会」
好きだなぁ。先生。チャーミング。
ベッドで喋りながら、お互いウトウト。いつの間にか眠ってしまった。
翌朝はビュッフェで盛りだくさんの朝食。
お喋りしながらゆっくりいただく。
12時チェックアウトだから、お部屋でのんびり。
先生のリクエストでTV『題名のない音楽会』をつけると、
おお。なんと、昨夜話題にしていた辻井伸行さん。
しかも弾いているのは、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。
先生と私は顔を見合わせて大喝采。
そう、何を隠そうこの曲こそが、私がピアノを習いに行くきっかけ。
しかも、それを弾いてるのが我々の大学の後輩。
なんというタイミング。引き寄せ。うわぁ。感動。
「ともみちゃん、やっぱり私たちは縁があるのよ」
ご縁に感謝。
つかの間の旅気分。濃厚だった。
先生、ありがとうございます。
音楽に目覚めた時のことを思い出した。
また旅しましょう。
その時はきっと。もっと。