父の初盆である。
去年の夏に逝った父。
サルスベリ。百日紅って書くんだね。
夏が来れば思い出す・・のは、遥かな尾瀬ではなく、
百日紅狂おしく咲き乱れ、ゆらゆら陽炎。
立ち上る熱気の中で感じた、父の気配。
空が青ければ青い程、太陽が熱ければ熱い程、
心は静かで、悲しくて、
汗がぽたぽた、涙のようにこぼれ落ちる。
そんなとき咲いているのは百日紅。
青空によく映えて、風に揺れる花。
生前父が釣った大きな大きな黒鯛を、母が焼いてくれた。
父の魚専用の、マイナス何十度かの冷凍庫に保存されていた。
「美味しいよ。パパ」
嬉しそうな父の顔が目に浮かぶ。
一緒にビール飲んで、ワインも飲もう。
我が家の庭は、キュウリが豊作だよ。
サルスベリもこんなに咲いてるよ。
夏が来れば、百日紅。
百日紅は父の花。