女社長のブログ《伴海日記》

おかげさまで今年は10周年を迎えます
伴海エンタープライズ株式会社の社長であり歌手
浜砂伴海の日記

朝比奈峠・蝉時雨

2012-08-20 | 美風景

清水末子先生(私の声楽の先生)の命日。鎌倉霊園まで。

先生のお誕生日は5月末、命日は8月。

いずれにせよここに来ると、太陽が熱く、私の肌を焼く。

今日も例外なく。空青く、太陽ぎらぎら。風の音。トンビの声。

「先生。しばらくです」

去年、来なかった。何故だろう。来なかった。

「先生、すみません」

いつものように、チーズケーキとレモンティー。

先生の大好物と、ワインの小瓶は自分のため。

「先生、何処までお話ししましたっけ」

ぶつぶつと、ほんの少しのご報告。そして後は、ただ黙って座っていた。

うなじを、肩を、腕を、太陽がじりじりと焦がしてゆく。

私はじいっとしていた。

峠を渡る風の中、しぃんと、しみじみ、先生を感じる。

帰りのバス停。蝉時雨。

 

カナカナカナカナ・・・ カナカナカナカナ・・・

 

ヒグラシが、季節の終わりを告げる。

カナカナカナカナ・・・

人間は、私は、昔、蝉だったのかしら。

何故にこんなに、狂おしく鳴くその声を、

他人事とは思えない。懐かしくて愛しくて、体が震える。

 

カナカナカナカナ・・・

ヒグラシ。その命儚くとも、その声は永遠なり。

先生の命日。そしてハナエさんの誕生日。

大事な大事な、夏の日よ。

短い人生と知っていたなら、私は何を歌うのだろう。

 

カナカナカナカナ・・・

カナカナカナカナ・・・・・・

 

私は馬鹿みたいに空を見ていた。

峠を渡る風に、心身を洗う。

先生。また来ます。

ありがとうございました。

 

 


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