エロスとは何か。
それはギリシャ神話の「愛の神」の名前。
アフロディテの子。
ローマ神話でいうところの、キューピッド。ヴィーナスの子。
翼を持ち、弓矢を持っている。
などと書いたが、唐突に何故エロスかというと、
逢ってしまったの。
「金子國義」氏の絵に。
そして、金子國義さん、そのひとに!
彼の公式サイトのタイトルが、
《華麗なるエロス》 なのである。
「エロス」と言うと、性的な響きがあるけれど、
意味を決めつけて、薄っぺらなものにはしたくない。
なんと言ったら良いのかなぁ。。。うーむ。
私思うに、
「エロス」無しには、芸術は有り得ない。
ということなのではないかしら。
(それは、辻村寿三郎さんのお人形を見ても、いつも思う)
美しいものへの愛情、情熱、こだわり・・・
こうやって書くと平べったくなって嫌なんだけど。
エロスというもののなかに、根源的な命、エネルギー、血、熱を感じる。
銀座の、ある小さなクラブの壁に、この絵はあった。
ドアを開けたとたん目に飛び込んで来た。
別の壁には、美しい舞妓さん、芸妓さんの、墨絵があった。
私が馬鹿みたいにこの絵の前に突っ立っていると、
「あの方が、この店の絵を描いた方ですよ」と教えられる。
「えっ!?どの絵ですか?」
「全部です」
えええええええええっ!じゃぁ、
「金子國義さんですか!?」
あとは、あたふたしてしまい、
私は女学生の様に頬を染めた(ような気分であった)。
壁の絵を写真に撮って良いかとお訪ねすると、
「一緒に撮りましょう」
ああ、こんなことならちゃんとお化粧して来るべきだったぁ~(涙)
さらに、ポストカードにサインもくださり、感謝感激。
私の青春の時代に、とても好きだった、憧れの女性、
「安井かずみ」さん。
彼女の詩も、エッセィも、顔姿、センス、ライフスタイルも、
そう全てが、かっこ良かった。 成功した女性。
彼女の当時のご主人「加藤和彦」氏の
“あの頃、マリー・ローランサン” というアルバムを好きで好きで、
どれだけ聴いたかわからない。
全曲、安井かずみ作詞。加藤和彦作曲。
そして、レコードのジャケットが、金子國義氏の絵であった。
あの頃のほろ苦い思い出と、音と、歌詞と、そして金子氏の絵が、
私の心の中には一緒くたになっているのだ。
私が安井かずみさん、加藤和彦さんの名前を出したら、
見せてくださったのがこれ。どんぴしゃ。
婦人画報の7月号(即、買いました)の記事「安井かずみがいた時代」
「彼女とはソウルメイト」とおっしゃる金子氏がインタビューに答えている。
貴重な、お二人のツーショットも載っている。
金子國義さんに逢って、なにかが蘇ったみたい。
今よりずっと若くて細くて、未来も何も見えなくて、
夢見がちであると同時に冷めてもいた、扱いにくい私を、
人生の意味もわからなかった頃の私を、
思い出し思い出し、家路についた。
人生の意味なんて、いまだにわからないけれど、
あの頃の私が、確実に今の自分の芯の部分にいることだけは、わかる。
あの日、あの時間、あの店に行かなかったら、逢えなかった。
金子國義さん、そしてあの日あった全ての方に、感謝します。