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ときぶーの時間

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放れ牛を。

2012-11-09 08:08:50 | 日記
NO-264
第三の柵の水遣りと餌やりを終えた松村代表は、牛を探しに僕らを連れて行った。そして彼は「今、この20km圏内に放れ牛が今300頭いる」と言った。

農水省の人から聞いたのだと思うが、僕は少しだけ嬉しくなった。牛たちは農水省の殺処分から逃がれ一日でも長く生きられるのだから。 それでも彼が連れて行ってくれたのは林の中だった。これは意外だった。


こんなところに牛たちは隠れていると彼は言い、前へ前へと進んで行き、僕たちもつられるようにそのあとを追った。


牛たちが歩いたところは道のようになっていた。


僕も歩いて幾つかの牛の糞を確認。そのたびに新しいか古いのか僕は彼に聞いた。彼は木の枝を使い牛の糞の硬さを調べていた。その硬さで彼は何日のものか分かるみたいだ。


この日はとにかく天気がよく、いきなり夕方の暗さを体感するような林の中で彼は早い足取りで進み、僕らは着いていくのがやっとであった。それでも牛の糞が複数あり、ここに隠れている予感がした。


林を抜けて明るい場所に出たら住宅地の前で、彼の向く方向には荒れ草で覆われた一面の田んぼがあったが、2m位の高い雑草のせいで牛の姿は見えなかった。

それでも「夜、この林に餌を撒けば必ず牛たちはやって来る」と彼は言った。僕は彼の大変さを知っていたが、餌を撒いて捕獲して欲しいと思った。

今年の9月に農水省の人から彼に「離れ牛は捕獲後、全頭殺処分する」と言ってきたと聞いたが、あのまだ暑いさなか昼は汗びっしょりになり、夜になっても牛を探し続け、ある友人に疲れたと言った彼の辛さが本当に分かった。


車で富岡町を走っていると、こんなはぐれ牛や十数頭の群れに出くわすことが多かった。これは今年の6月の写真だが、殺処分の魔の手から逃れて生きている牛がいると思うと、やはり気持ちが温かくなった。

彼に牛を預けた半谷のじっちゃんが、同じ強制避難区域の大熊を通って来た時に、大熊町で牛の群れに遭遇したと言っていたから、本当にこの双葉郡の強制避難区域には、まだ300頭くらいの牛が逃げ延びて生きていると実感した。

この秋までは草が生い茂り牛の姿が見えないが、冬になって草が枯れ牛たちの姿が見えるようになったら捕獲されて殺処分されてしまう。このことを考えると牛たちには、山でも林にでも逃げていてくれ!と思った。

畜主さんである半谷さんが「東電と国のせいでこんな事になったんだ。牛たちは何も悪くねえ。東電と国が永久飼養するべきだ。」と語気を強めて語った事を僕は忘れない。


牛の殺処分に反対して避難命令が出たあとも富岡に留まり牛の世話をしていたが、去年の7月に松村代表に牛を預け避難した畜主の半谷さん。

この責任を取らない政府と東電よ!原発事故は人災です。家畜たちを避難させないでいたのは国の責任だ!家畜法でも緊急時に避難させる事とあるが何故避難させずにいたのだ。

やろうと思えば簡単に出来たはずだ。殺処分!これが政府の責任の取り方なのかと思うといつも絶望感だけを感じてしまう。今からでも遅くないぞ!何とか目を覚ましてくれ!









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