私もほんとにそう思うのでご紹介 琉球新報 9.8
[大弦小弦]〈こんな子に育てた覚えない涙〉…
▼わが子に向かって「こんな子に…」は禁句だが、時に自身の子育てを顧みて、そっと反省と後悔の涙をこぼすこともあろう。そして、わが子の行く末を常に案じているのが親である
▼その記事を読み、冒頭の一句を涙でなく、ため息をつきながら口にした方も多かったのではないか。玄葉光一郎外相が私案として米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、自民党との連携に言及したという(7日付1面)
▼「最低でも県外」の公約を信じて民主党に一票を投じた県民を「親」とするなら、2年前に誕生した政権は「子」だろう。思い通りにいかないのが子育てだとしても、せめて約束だけは守る人になってほしいと願うのが親心である
▼外相発言は、約束を反故(ほご)にして決めた「辺野古移設案」の推進に向け、政敵とも手を組み沖縄説得への包囲網を敷こうというものである。「親の心子知らず」とはいうが、これほど親不孝の子がいるだろうか
▼嘆く親に対し、子は何と答えるだろう。開き直って「産んでくれと頼んだ覚えはない」と悪態をつくのだろうか。親の願いは一つ。一票を返せなどとは言わない、せめて親の「声」にいま一度耳を傾けて、と。(稲嶺幸弘)