通常国会が18日、閉会する。「加計(かけ)学園」の獣医学部新設問題や「森友学園」への国有地売却問題で疑いのまなざしを向けられ、「共謀罪」法の審議で厳しい追及を受けた政府は、「認めない」「調べない」「謝らない」答弁を連発した。会期150日間の答弁に、批判や疑問を正面から受け止めない姿が浮かぶ。

 三つの「ない」がはっきり表れたのが、共謀罪法案が審議されていた4月19日の衆院法務委員会だった。

 民進党山尾志桜里氏が、法案の処罰対象になるのは「最初から犯罪を目的としている集団」に限られるのか、「捜査当局に犯罪集団に一変したとみなされた団体」も含むのか、安倍晋三首相にたずねた。

 国会冒頭で首相が「(処罰対象は)『そもそも』犯罪を目的としている集団でなければならない」と述べたのに、その3週間後、政府が市民団体も「犯罪集団に一変したら対象になる」と説明を変えたからだ。

 ログイン前の続き共謀罪法案の要件に関する根源的な問題で、変化を突かれた首相はメモを手に、「『そもそも』の意味は辞書で調べてみたが、『基本的に』という意味もある。山尾委員はご存じないかもしれないが」と答弁。政府の説明の一貫性を主張しようとした。

 ところがその後、「そもそも」の意味を「基本的に」と説明する国語辞典が存在しないことが判明。それでも政府は5月12日、「三省堂発行『大辞林』には『そもそも』について『(物事の)どだい』等と記述され、『どだい』について『基本』等と記述されている」との答弁書を閣議決定。「そもそも=どだい=基本」の三段論法で、答弁を正当化しようとした。

 誤りを認めず、謝らず――。さらに、首相が大辞林を調べていなかったことも判明した。

 首相や妻昭恵氏の関与の有無が問われた加計学園森友学園の問題では、国有地売却や国家戦略特区の指定の行政過程の不透明さを指摘する証言が出ても、証言や証拠の真偽を調べたりしなかった。

 山尾氏は「政府の姿勢は、『無理が通れば道理が引っ込む』だ。放置するとウソが真実のようになってしまうので、誤りの指摘から始めなければならず、審議が深まらなかった」。首長経験者の自民議員も「こんな強引なやり方を続けると、政治の議論や行政のモラルが壊れてしまう」と心配する。(南彰)



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