安倍政権は24日午前の閣議で、来年度の政府予算案を決めた。一般会計の総額は過去最大の95兆8823億円とした。来春の消費増税で税収は増えるが、増税分を充てる年金や医療などの社会保障だけでなく、公共事業や防衛、農業など主な項目が軒並み増え、歳出の膨張に「歯止め」がかからなかった。

 17年ぶりの消費増税を控えた来年度予算案は、家計に負担増を求める一方、どこまで予算のムダを削り、約1千兆円の借金を抱える財政を立て直す姿勢を示せるかが焦点だった。

 総額は今年度当初より3・5%(3・3兆円)増えた。歳出は、社会保障費が初めて30兆円を突破した。高齢化が進むことに伴う自然増に加え、消費増税分の一部を子育て支援の拡充などに充てるため、4・8%増の30・5兆円となった。第1次安倍政権の2007年度当初予算では21・1兆円。この7年で、10兆円近く膨らんでいる。

 さらに、民主党政権が削減した公共事業費は、「国土強靱(きょうじん)化」を名目に2年連続で増やす。特別会計の廃止に伴う見かけ上の増額分も含め、12・9%増の6兆円とした。安倍晋三首相の方針で防衛費も2・8%増の4・9兆円とした。普天間基地の移設問題を抱える沖縄関連の予算は、今年度より500億円増やした。

 歳入は、消費増税と景気の回復傾向を受け、税収が今年度より16%増の50兆円を見込む。50兆円台に達すれば、リーマン・ショック前の07年度以来、7年ぶりだ。新たな借金となる新規国債の発行額は41・3兆円で、今年度より1・6兆円減らし3・7%減となる。だが、総額の4割超を借金で賄う「赤字体質」は変わらず、国の借金残高は来年度末までに30兆円余り増える見通し。

 政策にかかる予算を、借金に頼らずに賄えるかを示す「基礎的財政収支」は18兆円の赤字。消費増税の効果で、今年度より5・2兆円改善した。政府が8月に決めた中期財政計画の「4兆円削減」という目標は上回るが、この目標自体が甘い設定だったと言える。

 安倍晋三首相は24日の経済財政諮問会議で「経済再生と財政健全化の好循環が見えてきた。来年が正念場だ」と語った。予算案は、来年1月の通常国会に提出。3月末までの成立をめざす。

 

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