写真・図版

■視点

 ほぼ20年間止まっている高速増殖原型炉もんじゅに、やっと「廃炉」の方向性が示された。遅すぎた決定だが、「何があっても変わらない」と言われてきた日本の原子力政策が初めて変わる。一つの前進だ。

 問題はこの後だ。

 もんじゅが廃炉の方向に動けば、核燃料サイクルをめざす路線も大きく変わることになる。

 しかし、政府は高速炉開発会議を新設して「核燃料サイクルを推進する」と明らかにした。あたかも、従来路線を継承すれば、何も問題が発生しないかのような方針だ。

 これはとても認められない。もんじゅの開発当初からは約1兆円が投じられたのに、約20年間も停止した。時間とお金を浪費し、原発開発の路線をゆがめた責任はだれに、どんなシステムにあるのか。まず、これらの総括が必要だろう。

 そしてはっきりさせなければならないのは、核燃サイクルには、安全性など技術的な問題があるだけでなく、経済性がないということだ。

 再処理で取り出したプルトニウムを使うサイクルは、ウラン燃料を使う普通の原発より高くつき、割に合わない。今や多くの国でプルトニウムは「有用な資源」というより、「やっかいなもの」になり、「捨てる研究」さえ行われている。

 高速増殖炉ができても、サイクルは歓迎されない割高のシステムといえる。

 政府に求められているのは、過去半世紀の原子力の歴史を振り返ることで「核燃サイクルの時代は来なかった」と認め、そのうえで政策をつくることだ。

 福島第一原発事故を経た日本社会では、原発はほとんど動いていない。社会の意思は「原発をできるだけ少なく」だろう。民意に沿う方向に原子力政策を変える。今回の決定をそのきっかけにしたい。(竹内敬二)

 中国新聞にはこんな記事が

安く使えばええということではなくて、きちんと専門家を育てていかないとこういった事件は減ってはいかないでしょう。

こんな記事も載っています。大変な時代です、しっかりせんとあきません。