差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100) 辛 淑玉,野中 広務 角川グループパブリッシング このアイテムの詳細を見る |
乳母車を押してゆっくりゆっくりと広島駅まで歩いてきたら疲れてしまって30分ほど昼寝をしました。おかげで夜寝床に入っても眠れず、2時間ほどかけて 前から読みたいと思っていたこの本を読みました。
【目次】
第1章 差別は何を生むか(昭和という時代と差別/出身の男とは ほか)/
第2章 差別といかに闘うか(関東大震災における虐殺/軍隊と差別 ほか)/
第3章 国政と差別(阪神淡路大震災と差別/オウム真理教事件と破防法 ほか)/
第4章 これからの政治と差別(ハンセン病訴訟で国が控訴を断念/人権擁護法案 ほか)
【著者情報】
野中広務(ノナカヒロム)
1925年、京都府船井郡園部町(現在の京都府南丹市園部町)に生まれる。51年に園部町議に初当選。以後、園部町長、京都府議、副知事を歴任し、83年、衆議院議員に初当選。98年、小渕政権の官房長官、2000年、森政権誕生とともに自民党幹事長に就任(同年12月辞任)。03年、議員を引退。現在は社会福祉法人京都太陽の園の理事長として福祉事業に取り組んでいる
辛淑玉(シンスゴ)
1959年、東京都生まれ。85年に(株)香科舎を設立し、人材育成コンサルタントとして活躍中。年間百数十本の研修・講演を行うかたわら、新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどあらゆるメディアで論説活動を展開し、構造的弱者支援のための活動をさまざまに実践している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
この本のあとがきで 野中広務さんはこう書いています。
「差別問題は将来的に無くなるかと問われれば、無くなってほしいという願いは抱いている。ただ、率直にそう簡単ではないと思っている。
たとえば、つい70年ほど前に「鬼畜米英」「八紘一宇」といったスローガンを掲げて、まっしぐらに戦争に突入した民族である。政治家だけでなく、マスコミや国民も一丸となって、一つの方向に走っていく怖さを身をもって体験した。それも理屈ではなく感情によって、雪崩を打つように行動する国民性を知っているだけに、差別がなくなることに楽観的ではない。
もう一つ引っかかっているのは、この本で何度も指摘した「戦後未処理問題」である。この問題を解決していかなければいけないという責任感が国家にも政治家にもない。過去、自分たちが迷惑をかけたことを忘れて、国際貢献の名のもとにソマリアに自衛隊を派遣したり、竹島問題や尖閣列島の問題が出たら、欲求不満を爆発させるかのようにワーッと騒ぐ。また、北朝鮮がミサイル発射問題などで騒ぎを起こすとたちまち、戦争ごっこみたいに自衛隊の軍備を拡大しようとする声が上がる。
街では非正規雇用の人たちが餓死寸前になっているというのに、そういうところには気前よく税金を投入する。政治家の目はどこを向いているのかといいたくなる。弱者や虐げられた人に対する政治家の『鈍さ』は、差別と根っこでつながっていると思うのだ
先日「春の叙勲」の発表(広島)を新聞で見ていてびっくりしました。
私の先輩のお名前が2人もあったのです。
長年 人間の格付けや差別に反対して運動してこられた人たちです。
もちろんご本人が望まれたのではないかもしれません、高齢になられた方へ周りの方々が気を使われたのかもしれませんが、さみしくなりました。