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パンデミックの跫音が聞こえる

2021年01月06日 | 未分類
 昨日、一昨日、転載したアーネスト・スタングラスは不評だったようだ。
 しかし、スタングラス論文は、私の反原発運動の原点なので、これを再確認することと、日本の大半の人々が、とてつもなく被曝を甘く考えているので、どうしても繰り返し掲載せざるをえない。

 まさか、フクイチ事故の放射能で、全世界で億という単位の胎児(周産期以前も含む)・新生児が殺されている現実があると理解できている人は、ほぼいない。反原発活動家のなかでさえ、それを認識している人は、わずかしかいない。
 この真実を最初に学問的に明らかにしたのがスタングラスである。だから、どんなに評判が悪くとも、私はスタングラスに立ち返るしかないのである。

 私は、スタングラスの指摘どおり、通常稼働の原発が、どれほどたくさんの市民を殺戮してきたか明らかにしてきた。だが、反応は、絶望的に少ない。まだ、みんな半信半疑なのだ。
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1361.html
 私は、みんなが信じようとしない被曝被害の真実を、執拗に書き続けることが責務だと思っている。別に嘘つきと思われてもかまわない。
 真実は一つ、放射能は、誰も気づかないうちに無数の命を奪っている!

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 正月早々、鬱病的、自閉的な心の停滞があって、新しい文章を書けないでいた。
 何もかも気が乗らない。筆が進まない(キーボードが打てない)。こんなときは、風呂に入って全身の血流を活性化させれば、多少は、いろいろな思索が湧いてくるはずだった……。
 だが、たいした効果はなさそうだ。

 年末は、乗鞍高原温泉に二日間ほど滞在したのだが、どこもかしこも消毒とマスク、人と人との距離感で、どうにも落ち着けなかった。水虫のような真菌症が一発で治るほどの強烈な酸性硫化水素泉だが、マスクやら消毒やらの手続きが多すぎるのだ。硫黄泉なのに消毒薬の臭いがする。
 酸性硫化水素泉の殺菌力は、アルコールなみに強烈なんだから、消毒なんていらないんだが、何か過剰反応に追い回されているような気がする。

 普段歩いてる公園(高峰湖遊歩道)も、入り口にバリケードが置かれて、立入自粛という張り紙が鎮座している。
 おいおい、利用者の少ない山の公園遊歩道なんか三密になりようがないだろう。立入禁止にするよりも、日光を浴びながら森林浴した方が、コロナ対策としては何百倍も有効じゃないか?

 なんで、こんな不合理な過剰反応ができるんだ?
 無視して歩いていても気が滅入ってくる。降り積もった雪の上にアベックの足跡があった。「ああ、主体性を持って行動できる人もいるんだ……」と、多少は憂鬱が晴れる。 でも、去年まで、たびたび見かけたカモシカ・熊・猪の足跡は、今年は一度も見ていない。そういえば、昨年後半、公園全体に大規模な整備、手入れが入っていた。

 去年まで、獣道のような遊歩道で笹をかき分けて歩いていたのに、今年は車でも通行できそうなほどの整備された「道路」になってしまった。だから、動物たちも怖がって近寄らない。
 それなのに、市民に対して「入るな」と看板を立てている。いったい、この矛盾は何なのだ?

 私は、こうした行政の混乱や不作為は、たぶん竹中平蔵が小泉政権時代に持ち込んだ「格差主義」から来ていると思う。
 正規職員と派遣労働者の区分と差別は、市役所職員全体に大きな差別意識をもたらすのが明らかだ。市役所窓口業務や市道・公園管理などの(正規採用がやりたがらない職場)現場実業の大半が、今や派遣労働者に押しつけられているという。

 正規職員は、市民から見えない奥の部屋で管理職業務を行っているようだが、人間同士の格差・差別がある職場では、雇用や労働条件が守られるのは、正規職員だけで、派遣採用は、派遣元企業(竹中平蔵が会長を務めるパソナのような)の社員でありながら、その待遇は「ルンペン・プロレタリアート」にすぎない。
 竹中自身が「クビを切れない社員がいては困る」と述べているように、会社の都合で、いつでもクビを切られ、何の保証もない、その日暮らしの生活を強いられている。

 こうした二種類の、一方だけ恵まれ、他方は奴隷のような待遇を強いられる差別のある組織で何が起きるかと言えば、それは正規職員の「事なかれ主義」と、非正規職員の「無責任、アリバイ証明的勤務」である。

 そこには、かつて 日本の自治体職員が平等であったときのような「三人寄れば文殊の知恵」イノベーションシステムも成立しないし、労働者から人生の喜び、労働の喜び、笑顔が消えてゆくのだ。
 人は対等であってこそ、本来の実力を発揮できるようにプログラムされているのだ。

 組織というものは、差別のない、思いやりのある、笑顔に溢れた組織のなかで、人々は、人間同士の触れあいを喜びとして、生き生きと活動することができる。
 だが、その職場が不条理な差別と抑圧、事なかれ主義に貫かれていたなら、誰がイノベーションを生み出すものか?
 毎日、言われた通りのことだけをやり、差別の冷たい視線に耐え、安い奴隷労働で最低の生活しか保証されない環境のなかで、誰がやる気を出すというのだ? 

 差別は、すべての組織をダメにする。すべての人々から笑顔を奪う。すべての人々からイノベーション、主体性を奪ってゆく。
 差別・格差こそ、この世の諸悪の根源なのだ。
 みんなが、相手の笑顔に癒やされて、毎日が楽しくて仕方ない生活を保証することが、この世の、あらゆる合理性、善、快適を生み出してゆく根源なのだ。

 差別意識があるから、私に対して、心の底からドロドロに腐ったような誹謗中傷する輩が出てくる。しかも信じられないほど執拗なのが共通点だ。
 彼らは、自分が他人より優れていると勘違いしてしまいながら、心の底では、健全な心を持っている人に強烈な劣等感を持っている。それが妬みの根源だ。
 そして、他人に対する妬みの感情だけに動かされて生きている。ここまで愚かな人間を生み出したのは、差別・格差の社会である。
  http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-1350.html

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 新型コロナは、日本をどのように変えてゆくのか?

 菅義偉政権の超愚策=GOTOイートという世紀の愚策によって、あまりにも必然的に、新型コロナの正真正銘のパンデミックに突入した。
 これは、すでに昨年3月段階から、そうなるだろうと分かりきっていたことだ。
 理由は、菅義偉政権も、厚労省の官僚たちも、科学的にものごとを判断できる人材が皆無に等しかったからで、彼らの視野に入るものといえば、「メンツと利権」だけしかなかったからだ。

 PCR検査のローラー作戦が必須だったのに、厚労省は、いまだに、感染群だけにこだわった官僚のメンツを最優先させて絨毯爆撃検査を妨害している。これは、昨年はじめに児玉龍彦が、そうなると指摘していた通りだ。
 未だに、絶対に必要な、コロナ専門大病院も計画さえしていない。彼らが、どれほど愚かで甘い見通ししか持てていないかを如実に示すものだ。

 安倍晋三・麻生太郎以来、トップにバカしかいない日本では、このような小学生でも俯瞰できる感染症パンデミックの対策がまるでできないのだ。
 私は、これまで当ブログで繰り返し指摘してきた。
 昨年12月には、爆発的拡大が起きること。そして多重感染が猛毒変異種をもたらすこと。医薬品・ワクチン対策も、厚労省の利権とメンツに阻まれて、まともに実現できないこと。

 最初から特効的作用が明らかだった、アビガン・イベルメクチンも、厚労省の偏狭なメンツから、いまだに認可されておらず、逆に、致死的副作用(腎障害)が指摘されている、米国防省推薦のレムデシビルだけが認可された。
 外国で勲章までもらっている日本製PCR自動化検査機械も、自分たちの間違いを認めたくない厚労省の嫌がらせを受け続け、国内では利用できなくされている。
 客観的な必然性に関しては、羽鳥モーニングショーで、玉川徹が主張してきた通りだ。

 こんなバカしかいない政府役人が、この凄まじい新型コロナ抑制に成功するかといえば、100%失敗が約束されている。結局、100年前のスペイン風邪の二の舞になるしかない。
 100年前に起きたことは、ほぼ全人類に感染が行き渡り、多重複合感染になった高密度居住区で、パンデミック二年目に死亡率が10%に達する猛毒変異種が蔓延し、まるで中世のペストのように、次から次へと、バタバタと人々が倒れて死んでいった。
 大半の死亡が肺炎であり、恐ろしい間質性肺炎の後遺症が残った。
 生き残った人、無症状の人も、致死的後遺症に晒されたのだ。

 だが、RNAウイルス独特の変異性により、三年目には軽毒化、消滅プロセスに入り、ただの風邪へと変化していった。2022年には、嘘のような平和を取り戻す可能性が強い。
 スペイン風邪では、過疎地方の集落が全滅したようなケースがあり、私の祖母は、人口減少に危機感を抱いた地方首長の招請に応えて、三重県の豊かな海岸集落から岐阜県の山奥に家族ぐるみで移住した。

 一家の大黒柱が死亡し、弱者だけが取り残された家庭が無数に出た。こうなれば、一夫一婦制家族を単位とした集落生活は成立しなくなる。
 小さな集落で互助的な共同体を作って、「助け合い集団」によって生き延びてゆく以外の道はない。
 今回の新型コロナ禍も、そうした孤立家族社会に大きな変革をもたらすことになるだろう。

 人々は、個人的蓄財の空しさを思い知るだろう。どんなに大きな土地、大きな家を所有しても、高級車を保有しても、どんなに巨額の財産を溜め込んでも、死という大津波の襲来に抗うことはできない。
 そんなものより、身近な生活のつきあい、助け合い、思いやり、目の前にいる人の笑顔が、どれほど大きな価値か思い知ることになる。
 私は、新型コロナ禍に肯定的な意味が産まれるとするなら、きっとこのことだろうと思っている。

 むしろ、天は、大切な価値を忘れてしまった人々に、それを思い出させるコロナ禍を与えたのではないのか?
 コロナ禍の前には、学歴も地位も、財産も役に立たない。
 必要なものは、病気に負けない健全な免疫であり、問題の本質を見抜く心である。
 


 アーネスト・スターングラス博士 

2021年01月05日 | 未分類
 以下のスターングラス論文を20年ほど前に読んで、私は反原発の志を人生の基礎とする決意を持った。
 以下に指摘されていることのなかで、とりわけ重大なことは

① ストロンチウム90は、原子価がカルシウムと同じ系列で、人体は、これを弁別することができないため容易に吸収され、しかも、生物半減期が50年以上と長く、ひとたび人体に入ったなら死ぬまで排泄されない。

 ストロンチウム90は、人体内でイットリウム90という娘核種に転換し、地球最強クラスのベータ線を細胞に放射する。ストロンチウム90は、骨や膵臓に集まる性質があり、白血病や骨癌・膵臓癌・糖尿病を引き起こす。
 日本で糖尿病が激増している本当の理由は、福島第一原発が環境汚染したストロンチウム90に基因する可能性が強い。

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② 放射線被曝は、低線量であるほど細胞へのダメージが強くなる(ペトカウ効果)
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A6%E5%8A%B9%E6%9E%9C#:~:text=%E3%83%9A%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A6%E5%8A%B9%E6%9E%9C%EF%BC%88%E3%83%9A%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%81%93%E3%81%86%E3%81%8B%E3%80%81%E8%8B%B1%E8%AA%9E,%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E7%8F%BE%E8%B1%A1%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

 ③ ストロンチウム90の内部被曝は、脳を破壊し、精神を崩壊させる。

 ④ 原子力発電所の設備は、そっくり天然ガス発電所として利用可能である。
 設備の8割を、そのまま利用できる。天然ガスボイラーを設置し、配管で接続するだけだ。すでにアメリカのBWR原子炉で成功している。

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 「僕と核」 (2006) スターングラス博士インタビューより転載
 http://www.e22.com/atom/page08.htm

スタングラス博士
 「まずはじめに、日本には55基もの原子炉が運転しているのを知ってるよね。」

 「それに、ほとんどが海岸沿いの国土の2割程度の面積に人口が集中していて、原発も割と近くに配置されている。だから、日本政府が2003年度に発行した、過去100年の日本人の死因の推移を見たとき、あまり驚かなかった。」

 「日本では、戦後の50年で、がんの死亡がずっと増え続けている。
 1900年台の前半は、がんはそこまで存在しなかった。日本に原爆が落とされて、アメリカ製の原子力発電所が導入されてから、一気に増え始めたのだ。今でも日本にある原発の八割がアメリカ製だ。」

 「そして、本場のアメリカで分かって来たことが、原子力発電所というのは、公に発表されているよりも、ずっと大量の放射性物質を放出しているということだ。大半は、細かい分子になった、核の分裂によって産まれる物質で、大気や海に放出されている。核分裂生成物というやつだ。」

 「そもそも自然放射線というのは、海抜0メートル付近では、0.8 から1mSV(ミリシーベルト)が普通であって、それ以上はラドンなどごく特定の地域しか関係のないものや、0.15mSVほどのカリウムなどを大げさに数えている場合が多い。
 しかも、ほとんどの自然放射線が外部被ばくを起こすガンマ線で、体の中の特定な器官に蓄積して内部被ばくを起こすものじゃない。
 ストロンチウム90やヨウ素131などの放射性物質は、体の中に入り込むのと、それと同じ量を地面にばらまいたのでは、威力が全然違うのだ。」

 「ヨウ素131は、ほとんどが一週間の半減期だが、これは首にある甲状腺に集中する。甲状腺というのは、体全体の新陳代謝をコントロールしていて、多くの器官が甲状腺のホルモンによって動いている。
 だから甲状腺が壊れると、大人だと、甲状腺に異常が生じたり、がんになることがある。

 また、ストロンチウム90は骨に集中する。これはカルシウムと似ているためで、カルシウムは、骨をつくったり、神経の伝達にも欠かせない。要するに、脳みその働き、考える力に貢献している。よって、ストロンチウム90が引き起こす問題というのは、あまり知られていないのが、カルシウムと同じように骨だけじゃなく、脳にも入り込んで、神経にダメージを与えるため、特に脳の発達に支障をきたすようになる。」

 「赤ちゃんもそうだし、お母さんのお腹の中いる胎児のときからだ。それに、脳みそは10代まで発達し続ける。だからそこに問題が生じると、普通の読み書き、理解する力、計算する力、全体的に影響を受けてしまう訳だ。健康な脳みそをつくる過程でだよ。」

 「これは、本当に伝えなければいけないことだ。繰り返すが、ストロンチウム90やヨウ素131は自然には存在しないもので、ウランやプルトニウムが核分裂を起こしたときのみ、産まれるのだ。原子炉の中で起きていることは、原爆の核分裂が起こす環境破壊と同じなのだ。つまり、核実験などが広めた汚染を、原子力発電所がそのまま引き継いだに過ぎないのだ。」

 「これは数年前にJournal of American Medical Associationで発表されたばかりなんだが、妊婦が歯科医でX線を数回受けただけでも、散ったX線が、ヨウ素131のように甲状腺に影響を与えて、それが早産につながる確率が数割高くなることが分かった。こうした未熟児は、現在の医学ではほとんどを救うことができるのだが、X線のせいですでに脳の発達に影響が出てしまっている。
 それが思考力や、集中力の欠如に表れる。脳の発達に支障をもった未熟児は、自閉症になる可能性も出てくるのだ。」

 器官に集中する放射性物質は、どのようにダメージを与えているんですか?

 「ヨウ素131の場合、ガンマ線というのは、X線と一緒で、とても強いエネルギーを持った光を出す。そして、ベータ線は電子なんだが、数ミリしか飛ばなくても、臓器に埋め込まれると周りの細胞を破壊する訳だ。変異を起こしたり、遺伝子を傷つけてしまう。そして、フリーラジカルが産まれる。

 フリーラジカルとは、マイナスの力を帯びた酸素分子で、寿命も一瞬なんだが、これがプラスを帯びた細胞の粘膜に引き寄せられて、穴を空けてしまうので、大変なことだ。これらのことは、60年代の後半から70年代にかけて分かったことで、原子力発電を始めたずっと後の話だよ。」

 「初めての原発が1942年のシカゴだったから、そのおよそ30年後に分かったことだよ。もう一つ興味深い発見だったのは、X線などの強くて短い刺激がつくる多くのフリーラジカルは、実はお互いとぶつかり合って、そこまでダメージを引き起こせないんだ。

 これを、私は『混んだナイトクラブ効果』と呼んでいる。分かるだろう、狭い空間に人が入りすぎて、身動きが取れないのだ。これで分かったことが、X線などが与える、自然放射線の一年分に値する1mSVほどの一度の衝撃は、思ったほど効果がなく、同じ量を一週間、一ヶ月の間に分けて微量を受けた方が、細胞あたりのフリーラジカルが少ないために、ずっと大きなダメージを与えるのだ。」

 「このことは、衝撃だった。つまり、X線や原子爆弾のように、集中された強い放射線よりも、永続的な低レベルの放射線の方が、ダメージは100倍から1000倍も大きいことが分かったのだよ。」

 「我々はヒロシマやナガサキで集めたデータを信じきってしまったのだ。原爆は、主にガンマ線と中性子線を一瞬で放出したから、本当に強くて大量のエネルギーを放出した。ましてや、その頃はフォールアウト(『死の灰』と訳される)のことも良く分かっていなかった。要するに、長期的な低レベル放射能の影響を、今日でも、完全に間違って計算しているのだ。

 2003年にイギリスのクリス・バズビー (Chris Busby) 氏らが、ヨーロッパのECRR機構(European Commission on Radiation Risk) に頼まれて、原子力発電所のリスクについて過去50年の様々な論文やケースを完全に洗い直したところ、同じ結論にたどり着いたのだ。我々は、低レベルの内部被ばくによる影響を、少なくとも100倍から1000倍、過小評価して見積もっているのだ。」

 「もう一つ言いたいのが、ストロンチウム90は骨に入って、強い電子を放出する。骨髄では赤血球と白血球もつくられているから、ここで異常が起きると、白血病を起こす。また、白血球というのは、体のありとあらゆる病源と戦っているから、白血球がちゃんとつくられないと、これは大都市で警察のストを起こすと犯罪率が一気に高くなるようなものだ。
 分かるね。ストロンチウム90が白血球を壊せば、体中にがんが起きても止めることができない。ストロンチウム89の半減期は50日で、ストロンチウム90の半減期は28年だから、体に蓄積されていくものだ。」

 「さきほどの低レベルの放射能の話に戻るが、人々が間違いを犯した原因のひとつに、放射線によるがんの治療による。これは動物実験で、一週間おきに集中した放射線をあてれば、健全な細胞は元に戻るということから、放射量を細かく分ければ、体には影響が少ないと信じられていたのだ。

 ところが、内部被ばくの場合は、少ない量でも常に体の中にある訳だから、慢性被ばくと言っても良い。これが何十年間と蓄積されると、ストロンチウム90のように白血球が壊されていけば、肺炎やさまざまな感染が起き易く、免疫力が激しく低下することに繋がるのだよ。」

 原子力発電所は、すべての排出物をモニタして、環境もモニタして、すべては安全だと言います。何がいけないのでしょうか?

 「何回も言うが、0.1~0.2mSVほどのX線の影響と、核分裂生成物を比べて、影響を少なく見積もりすぎているから、誤った安全の基準を適用しているところが間違っている。2005年に発行されたUS Academyの論文には、『どんな微量の放射能でも、必ず何らかのダメージを与えている。無害ということなどない』と書かれているくらいだ。

 一時期、『微量なら健康に良い』と信じられていたのもまったくの間違いで、『一定値以下なら安全』と信じられていたことも、間違いだった。これはようやく最近、世界中で発表されている論文で認められてきたことだ。更に、1000倍もダメージを少なく見積もってものだから、0.1mSVだったものが、実質的には100mSVと同じダメージを加えているのだ。」

 核分裂生成物は、化学的にフィルタすることってできるんですか?

 「完全には無理だ。中空糸フィルタやイオン交換樹脂など、どんなにテクノロジーが進化しようと、完璧なフィルタなど存在しない。例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの希ガスは、化学的にフィルタすることはできない。
 トリチウムなども水分と同じような性質なので、なかなかフィルタできない。モニタリングは、結局、役割を果たしていないのだ。
 自然界はストロンチウム90やヨウ素131をつくらないから、自然放射能と比べるのはおかしい。更に、X線などは刺激が短か過ぎる。だから、安全だと思っていた放出量が、実はそうではなかったということだ。」

 「基本的に原子力発電所が自ら検出して発表しているデータはそこまで信用しない方が良い。
 電力の生産があがるほど、放射性物質の排出はぜったいに免れられないのだ。それに、原子力発電所がどのくらい排出しているかを心配したり論議するよりも、人間にどのくらい入って来ているのかを検出する方がずっと早いのだ。

 私たちの90年代の研究で分かったことは、アメリカで原子力発電所の近くに住んでいる子供たちの乳歯から検出されたストロンチウム90は、かつての核実験の時代と同じくらい高くなってきているということだ。これは原子力発電所が放射性物質を出し続けている確固たる証拠だ。
 このプロジェクトもアメリカの政府がデータを公表しなくなったために、独自で始めたのだ。ストロンチウム90の値は、すでに胎内で蓄積されていることが分かることと、ストロンチウム以外の放射性物質も入って来ていることを裏付けるから大事な訳だ。これらはすべて、いわゆる通常の運転で起きていることだよ。」

 「繰り返すが、日本の八割はアメリカ製の原子力発電所であるからして、まず間違いないだろう。原子力発電所の放射性ガスや放射性物質の粒子は、日本の美しい山脈に降り注ぎ、それがきれいな湧き水に混入して、田んぼや畑、飲み水に入って行ってしまうのだよ。

 風がどっちに吹いていようが関係なく、これがいちばん起こりうる被ばくの方法で、私はこれが日本でがんが急増している要因のひとつだと考えている。ちなみに、ロレン・モレーが日本で集めた乳歯のサンプルからもストロンチウム90が充分なレベル検出されている。

 これはどこで産まれたか、どこで育ったかによって大きく異なるし、もっと大規模な研究が必要だが、アメリカと同じような状況であると予想される。
 小児がんを主に、健康な発育が妨げられる確率が数割は高くなるということだ。もちろん、放射性物質による害は成人にもあてはまることだ。」

 「ついでに、もう一つ重大な話をしよう。ストロンチウム90から出来るのが、イットリウム90だ。これは骨じゃなくて、すい臓に集中する。すい臓というのは、糖尿をおさえるホルモン、インスリンを分泌しているから、ここに異常が出ると糖尿病になる。世界中で、糖尿病が急増しているのは知ってるね。

 日本は、すでに人口の割合から言えば、アメリカの二倍もいる。そのアメリカだって、イギリスより率が高いのだ。日本では、戦後から現在にかけて、すい臓がんが12倍にもふくれあがっている。

 50年代の終わりにドイツの動物実験で発見されたのが、ストロンチウム90が電子を放出してイットリウム90になると、骨から肺、心臓、生殖器などに移動するのだが、すい臓に最も高い集中見られたのだ。
 インスリンがうまく生産されないようになって、血糖値が上がってしまうのだ。今までは放射能が糖尿病と繋がっているなんてまったく認知されていないのだ。
 これで分かっただろう、国際放射線防護委員会(ICRP)は、当初、放射能の影響として、特定のがんと奇形児くらいしか認めなかったのだ。未熟児、乳児の死亡や、肺、心臓、すい臓、これらの部位への影響はすべて無視されてきたのだ。」

 「民間エネルギーの最初の原子力発電所は、ピッツバーグに57年に、私が15年間勤めたWestinghouse社によって建てられた。
 私たちは、汚い石炭の発電所よりも、安くて、きれいなエネルギーだと思っていた。微量の放射性物質が逃げても、大したことないと思っていたのだが、それは大間違いだった。これと同じ原子炉が、今でも日本でたくさん稼働している。70年代にカナダのエイブラム・ペトカウ (Abram Petkau) 博士が発見した、低レベル放射能によるフリーラジカルの影響を、未だに反映できていないのだ。

 フリーラジカルの性質を分かっていなかったのと、放射線量と人体への影響が比例的な関係だと勘違いしていたのだ。低レベルで起きる様々なことは、ヒロシマとナガサキの生存者を調べただけでは、まったく予期できなかったのは当然のことだ。」

 「だから、原爆の生存者や、X線のデータによって計算された国際的な許容量はまったく間違っている。
 これは、原子力発電所が大規模に建てられるようになって、何十年も後に分かったことだが、誰もその過ちを認めることが出来ずに、今日まで来てしまった。
 その理由の一つとして、すでにウラン鉱山に巨額の投資がされてしまっていたことがあるだろう。

 だから、ウランの利益を受けている人たちは、過ちを認めないどころか、それを絶対に隠したいのだ。ウランは核分裂以外には役割がないから、それがただの粉末のゴミになることを本気で危惧しているのだ。世界中の政府や企業、イギリスの皇室などが所有しているウランは、原子力発電所が他の燃料で動くようになったら困るのだ。」

 「天然ガスだ。天然ガス発電に切り替えれば、なんと、設備投資の7~8割は無駄にならない。
 天然ガスはあと数十年は持つと言われているから、その間に自然エネルギーを開発すれば良いのだ。コロラド州のフォート・セイント・ブレイン (Fort St. Vrain) は、すでにこの成功例だ。

 原子炉だけを閉じて、天然ガス用のボイラーを横につくって、タービンの建物など、ほかのものはそっくりそのまま使えたのだ。そう、原子力はお湯を沸かしているだけだからね。原子炉の中の水も放射能を持っているために、配管が錆びて出てくる鉄、マンガン、コバルトなどにも中性子がぶつかって、普通の元素まで放射性になって大気に飛び出てしまうのだよ。これが体内にも必要な物質の場合、放射性の鉄分だって血液に入ってしまう訳だ。」

 「そうだ。その証拠にコロラド州は、あらゆるがん、小児がんの率が全米でいちばん低いのだ。解体すれば、新しい核分裂や放射性ガスを止めれば、燃料自体は、まだ残っているが隔離することはできる。それが素晴らしい点だ。もちろん、完全に廃棄するにはたいへんなコストがかかるよ。

 これはもっと大変な問題だ。だから、原子力産業は、古くなった発電所を解体する巨額のコストを考えていなくて、将来のコストを少なく見積もりすぎているのが、大問題だ。でも、運転を止めることさえすれば、せめて新しい放射性ガスが発生することは抑えられるのだからね。」

 「とりあえずは、だ。その代わり、何万年、何億年と放射能を持つ核廃棄物をどうするのかを、まだ誰も解決できていない。何故かというと、長い時間が経つと、地下に埋めようが、山に埋めようが、放射線が缶から漏れ始めることが分かっているからだ。缶が空気中のバクテリアに侵されて行くからだ。そうすれば、今度は地下水が汚染される。」

 「環境的な問題はそれにとどまらない。日本のロッカショで起きようとしていることは、全国の55基分の廃棄物を集めるから、どうがんばっても大量の放射性物質を大気と海に捨てることになるだろう。
 そうすれば魚も死ぬし、近辺の入江に生息する貝や生物が放射性物質を吸い込んで、人間と同じように免疫力が低下して行って、死んでしまうのだ。60年代に核実験が盛んに行われていた時期も、北大西洋では、魚が激減して、核実験が終わったあと、一気に元に戻った。

 決して乱獲のせいなどではなかったのだ。このことは、今でも世界中の原子力発電所の近くで起きている。クジラやイルカも、川に流した放射性物質によって、みんな影響されているのだ。」

 「だから、そんなフィルタがあれば、固形の廃棄物の心配だけで済むから嬉しいよ。でも現実的には、一部の放射性物質しか取り除けないことは、実績で分かっているのだ。
 しかも、事故や人為的ミスの可能性も計算にいれてなくても、この状況だ。過去には放出しなくて済んだ放射性物質も、大量にあった訳だ。

 スリーマイル、チェルノブイリ、これらは、世界中に多大なるインパクトを与えたのだ。我々はチェルノブイリが起きた翌年のアメリカでも、統計データとEPAによるストロンチウム、ヨウ素、セシウムの測定量から、数万人規模で過剰な死者が出たと考えている。」

 「特に日本の場合は、地震国だということを忘れては行けない。日本の面積にあれだけの原子炉が集中していることと、ロッカショの再処理工場の最大の問題点は、さきほど言ったように全国の燃料棒を集めてプールにいれていることだ。
 これらは、本当に強い、本当に高レベルの廃棄物で、なんかの拍子に、このプールの冷却水にもしものことがあったら、大惨事では済まないことになるだろう。」

 「自然の中で人間が経験してきた放射性物質は、カリウム40だけだ。これは体内に入っても、骨など、どこにも集中しないし、放射線量はストロンチウム90より多くても、体に蓄積もされないから、割とかんたんに体から抜けて行くのだ。地球ができたときに、ウランやたくさんの放射性物質ができたが、どれもストロンチウム90のようにカルシウムに化けて、核分裂生成物が体内に蓄積されるようなことはなかった。

 一部のアフリカの地下の鉱山の例外をのぞいて、核分裂の連鎖反応は自然ではぜったい起きないのだ。」
(註:20億年前に西アフリカにあるガボンのウラン鉱山で自然核分裂があったとされる)

 「例えば、普通の水の中にある水素は、宇宙線の影響でトリチウムになることがある。トリチウムも、特定の部位で濃縮されない。人間は、自然放射線の中で進化してきたが、これらも体に蓄積はされなかったし、フリーラジカルを長い期間にわたって体内に取り込むこともなかったのだ。
 海の中に微量に存在するウランも同じことだ。1938年に人間が核分裂を発見してから、すべてが変わってしまったのだ。」

 「海を守ることは、とても大事なトピックだ。我々が予測できなかったエピソードをもう一つ、教えてあげよう。
 昔、科学肥料が海に流れ込んで、藻が異常発生すると、魚貝類の酸素を奪ってしまうと疑われていた。その結果、酸欠になった魚や貝が死んでしまう訳だ。ミシシッピ川が流れ込むメキシコ湾で藻が大量発生したときは、窒素、つまり酸化窒素を含む化学肥料が原因だと思われていた。

 でも最近、新たに分かったことは、キセノンやクリプトンなどの放射性ガスのエネルギーが、大気の酸素と窒素を反応させて、酸化窒素をつくることが分かったのだ。雨が海に運んでくる土砂が化学肥料と同じ役割を果たして、間接的に魚の酸素を奪ってしまうのだよ。この容量で、原子力発電所は、酸化窒素だけでなく、酸素原子が三つくっついたオゾンもつくっている。つまり、原子力発電所が藻の激増に繋がっていることも、誰も予想できなかったことの一例だ。」

 「だから、発電所が出す液体廃棄物は、始めは誰もが海は広いし、とても深いので、人間社会にはまったく影響がないと計算していた。しかし、先ほどから言っているように、微量だから大丈夫ということは決して有り得ない。

 また、Busby氏らの発見が論文で細かく発表されたように、海に放出した放射性物質は、必ず波に乗って浜に返ってくる。イギリス、ウェールズ、スコットランドの原子力発電所付近の砂浜でも、このことが確認されたのだ。日本でもきっと同じことが起きているだろう。海水で薄まると期待していた放射性物質が、波に運ばれて返って来て、それが雨にも混ざって、また土の中にも入ってくるのだ。」

 「だから、まずそれは安全値がニ、三桁ずれたままだからだよ。もちろん遠洋の魚の方が、放射線を受ける量が少ないし、日本は遠洋漁業が多いから、まだ安全な方かもしれない。それでも、50年前の安全基準が残っていることが問題だ。
 たいていのガイガー・カウンターは分かり易いガンマ線を計っているだけで、アルファ線やベータ線のことは計れないので、これにはもっと複雑な機械が必要なのだ。」

 「ガイガー・カウンターは、砂浜にたまったガンマ線を読むことはできるが、魚のアルファ線やベータ線などの正確に計るには、魚の肉や骨をとって、化学的に調べる必要がある。これには大変な技術と計算力が必要になるのだよ。
 化学的に分離させた液体を、放射線検出用のシンチレーション計数管に通すのだから。つまり、骨にたまるストロンチウム90のように、いちばん強力で、いちばん厄介な放射性物質ほど、かんたんな計器では探知できないのだ。」

 「分かったかい?原子力発電所ができてから30年後に、ペトカウ氏が発表して初めて分かったことがあったように、知らなかったことが多過ぎたのだ。ひとつの細胞が放射線を受けると、周りの細胞が影響を受ける『隣人効果 (Neighboring Effect) 』のことも知らなかったし、いろいろなことだよ。

 我々は、世界を壊してしまうような原子爆弾をつくってしまった償いとして、原子力発電を急ぎすぎたのだ。」

 「核分裂が発見されたとき、多くの物理学者は大学の研究室を出て、マンハッタン・プロジェクトに参加した。当時はヒットラーが世界的な脅威だったからだ。ドイツに原爆を渡してはいけない、と。
 同じことがイギリス、フランス、ロシアでも起きた。そのうちに、スターリンが出て来て、今度は冷戦が始まって、多くの物理学者は核戦争を避けるためにと、核爆弾の開発に一生を捧げたのだよ。

 と同時に、そんな軍事目的に利用されただけで死ぬのは良心が耐えられなかったのだろう、アイゼンハワー大統領が提唱した『平和な核利用』のアイディアに皆が飛びついたんだ。アイゼンハワーは、『クリーンな原子力』をつくる原子力発電所を世界中に売り込もうと躍起になって、物理学者はそれを喜んでその手助けをした。ヒロシマとナガサキで起きたことや、人類を滅亡させる核兵器をつくってしまったことへの罪悪感のためにね。」

 「そのときは、本当に経験とデータが少なかった。いろいろな不幸が重なって、今の状況をつくってしまったのだよ。多くの人は、核爆弾がないと不安でしょうがなかった。
 私の孫みたいに、お気に入りの布団がないと眠れないのと一緒でね。共産主義が世界を食い尽くしてまうのを止めるには、核爆弾が必要だと本気で思ってたのだ。

 これが核の軍拡の原因であり、それに乗っかって、アイゼンハワーがきれいなエネルギー政策と称して原子力を勧めたものだから、誰もが信じきってしまった。日本の場合は、国民がたいへん丁寧できれい好きだから、モクモクと汚い煙が出る発電所と違って原子力は魅力的だったに違いない。」

 「これが実は難しいのだ。何故かと言うと、大学の研究室などのリサーチのほとんどは、政府の補助金で成り立っているからだ。その政府が、原子力発電はクリーンだと信じ切っていたものだから、今になって過ちを認めたくないのだ。例えば最近でも、コネチカット州の原子力発電所で問題があったのが分かっているにも関わらず、微量だから問題ない、と繰り返すだけだ。EPA(米環境庁)も、原子力産業を守ろうと、必死になっているのだ。

 石炭による発電が産むスモッグや水銀と違って、クリーンなエネルギーだと言う、昔の謳い文句そのままだ。でも水銀では、爆弾はつくれない。分かるかい。」

 「それはいつの時代も言われてることだが、でも、本当は、ウラン鉱山の採掘、ウランの運搬、ウランの濃縮、多くのエネルギーを使って、石炭を使ってウランも濃縮すれば、世界のCO2排出量は、原子力発電所を増やすことで解決できないことは、誰の目にも明らかだ。

 その上に、今知られているウランの埋蔵量もたった数十年でなくなってしまうことを、誰も気にとめていないようだ。現在では、石炭が排出するガスを地中に送り返して岩に変えることによって、CO2の排出を防ぐ方法も出て来ているのだ。」

 「その他にも海洋エネルギーや、地熱エネルギー、風力、太陽、沢山方法はあるし、水素だけでもさまざまな活用法がある。これを原子力産業がひた隠しにしているのだ。ウランに莫大な投資している人たちが、新しい発電方法の浸透を防いでいるばかりか、健康への害も隠している。私が何十年も経験して来たことだが、体質的にモラルを忘れた産業だと言わざるを得ない。」

 「アメリカでは記録を公表することも止めてしまったので忘れられてしまっているのだが、原子力発電所付近の農場がつくった牛乳は、まず飲まない方が良いだろう。また飲み水は、逆浸透装置を使えば、ほとんどの重い放射性物質はフィルタすることができる。本当は行政がやれば良いことなのだが、コストが高過ぎるのだ。」

 アーネスト・J・スターングラス博士 (Dr. Ernest J. Sternglass)
1923年、ベルリン産まれ。
14才の時に家族とアメリカへ移住。若き頃に、既に世界的権威だったアインシュタインと議論を交わし、科学の志を新たにする。1960年から1967年は、ウェスティングハウス社の研究室でアポロ月面科学ステーションプログラムの局長を務める傍ら、アメリカの大気圏核実験に反対するようになる。
 彼が国会で発表した研究の成果は、ケネディ大統領が'63年にまとめた部分的核実験条約(PTBT)の締結に大きく貢献した。(ケネディはその僅か三ヶ月後に暗殺されてしまう)

 70年代に入って、今度はそれまで安全だと信じていた原子力発電所の危険も公に問うようになる。'81年に出版した「Secret Fallout: Low-level Radiation from Hiroshima to Three Mile Island」 (邦題:赤ん坊を襲う放射能)は、低レベル放射線研究の代表的な本となった。1983年よりピッツバーグ医大、放射線医学名誉教授を務める。過去にスタンフォード大学、インディアナ大学、フランスのアンリ・ポアンカレ大学、ジョージ・ワシントン大学、コーネル大学で放射線医学と物理学の教壇に立つ。1995年より、Radiation and Public Health Project (放射能と公共健康プロジェクト)局長。
(photo by Leuren Moret, Februray 2006, Japan)

 スターングラス博士のインタビューの内容を、まとめたいと思います。

 「自然放射線と、人工放射線は、人体への影響は違う」
 人工の放射線は、今までに地球に存在しない放射性同位体をつくります。

 ウランの核分裂生成物の中には、食物や水、空気を通して体内に取り込まれると、ふつうの栄養素と勘違いされて、数%は骨や内臓などの局部に蓄えられて、そこで濃縮されながら長期的に放射線を出すものがあります。
 なぜ勘違いされるかというと、周期表で同じ縦の列に並んでいる元素は電子構造が似ているため、体内で似たような化学反応をしてしまうのです。

 例をあげると、ストロンチウム90はカルシウムと間違えられて、骨や血、脳に送られます。セシウム137はカリウムと間違えられて、細胞内の電解質として取り入れられます。また、ヨウ素131は、甲状腺に蓄えられます。これらの元素が体に入ることよりも、それぞれ放射性の同位体であることが問題なのです。

「短期間で高レベルの外部被ばくと、長期間で低レベルの内部被ばくは、放射線の被ばく量による人体への影響が、比例しない」

 これはどういう意味かと言うと、100の衝撃を一度に受けた人間が100のダメージを受けたとして、1の衝撃を100回に分けて受けた人間へのダメージが、合計で100以上になる可能性が強いということです。従来の教育では、「線量率効果」と言って、100のダメージを100回に分ければ、その間に体は回復するので総合的なダメージは100以下である、よって低レベルは無害である、と考えていたのです。

 「百人の人に一度に蹴られてボコボコにされる」のと、
「一人の人に百日間つきまとわれて、毎日一回蹴られる」のでは、

どっちがダメージを受けるでしょう?もちろん、どちらも嫌です。でも、一度のケガは治るかもしれないけど、何日間も蹴られる方がしんどい、と思う人も多いでしょう。これが放射線にも言えることなのです。

 「同じ日に百人の異性とデートをして、豪遊する」のと、「憧れの人につきそってもらって、百日間愛情をもらい続ける」のと、どちらが良いですか?両方ってのは駄目です。たいていの人は、冷静に考えれば後者を選ぶでしょう。

 「胎児や乳児が放射線によって受けるダメージは、健康な成人が受けるダメージより更に何百倍、何千倍も拡大される」

 ということです。これは、当たり前のことですが、胎児や乳児というのは、脳や心肺機能など、大事な器官の細胞がもの凄い勢いで成長しているため、正常な細胞の増殖を妨げる因子があると、発育や知能の障害など、その子の一生に渡って支障をきたしてしまう可能性があります。

 赤ちゃんは妊婦さん共々、環境から来るマイナスのインパクトからもっとも守るべき存在です。健康な成人を許容量の対象にしていては、赤ちゃんにはとうてい迷惑なのです。つまり、産まれてくる赤ちゃんの健康状態というのは、その時代の環境のバロメータでもあるのです。これは、免疫力が下がっている成人や老人が受けるダメージにも同じことが言えるでしょう。

 これらのことを踏まえて、あらゆる放射線は、現在の「安全値」では、思っているより100倍から1000倍のダメージを体に与えている、ということです。

 博士は、原子力産業の歴史も説明してくれました。歴史というものは、本当に多くを物語っています。要約すると、

 「民間の原子力発電は、軍需産業をサポートするために始められ、リスクを完全に把握する前に広められた未熟なテクノロジーであったため、これまで世界中で何度も事故を起こして来た」
 ということを、この50年の実績が充分に証明しています。

 今の原子力発電の技術は完成度も高く、特に日本は危機管理も厳しく、安全装置が何重にも設計されています。しかしながら、発電という目的を達成している以上、「微量」の放出を正当化しているのが原子力産業の真の姿ではないでしょうか。

 (ちなみに、原子力発電所からどれくらいのストロンチウムやヨウ素の放出があるのかがどうしても気になったので、東京電力の人に詳しく聞こうとメールでやり取りしていたら、最後には「フィルタやホールドアップ装置など、原子力発電所における各種設備の設計上の性能や実際の性能については,当社の知的財産となっており,お教えすることができませんのでご了承願います」と言われました。「実際の」ってどういう意味でしょうか。)

 失敗しながら学ぶのは人間の性です。これが他のテクノロジーであれば、これまでの大事故も、まだ大火災で済んだでしょうし、簡単な誤作動や停電で大きな心配をする必要もありません。
 原子力発電所のように、その確率が何%であろうが、天災を含め、大事故が起きれば何百万人規模、何百世代と後遺症を残すようなリスクは、有史上、類を見ぬスケールであることは否めません。被害を抑える作業のためだけで、何万人もの人間が命を切り捨てなければいけないのです。

 ウランの核分裂が出すエネルギーは、化学反応による燃焼とは次元も桁も違います。通常の汚染とはっきり区別しなければいけないところは、やはりここに由来すると思います。原子力発電も、いつかは必ずなくなります。
 しかし、その時が先延ばしになればなる程、処理場に困った核廃棄物は増え続ける一方です。電力は一瞬で消費しますが、廃棄物は永遠に残ります。地球市民は、どちらを選ぶでべきしょうか。その話し合いの場を持って、核を捨てる選択をした国は沢山あります。そして日本は、核の道を選んでいるのです。


アーネスト・スターングラスによる核実験・原発放射能による「胎児・乳児死亡」の説明

2021年01月04日 | 未分類
 追記 講演内容とスライド画像が完全に遺されているサイトを発見しました
 http://fujiwaratoshikazu.com/2011disaster/index.html

 (私=東海アマが、東電・福島第一原発・放射能事故で数千万人(全地球上で数億)という命が奪われたと主張してきた真実を証拠立てる講演です)

●2006年アーネスト・スターングラス博士の青森講演〔提供:森田玄〕2011-03-23
 :原子力発電が壊す持続可能な社会 https://ameblo.jp/2taou/entry-10839435976.html
スターングラス博士講演 http://gallery.harmonicslife.net/main.php?g2_itemId=87
 青森市での講演記録

  私が原子力発電所からの放射線拡散に興味を持つことになったのは、最初の子どもが生まれた時です。ピッツバーグで、ちょうど家を建てていました。
  当時は冷戦最中で、死の灰から身を守るために核シェルターを作らなければならないと言われていました。私はアメリカ科学者同盟のメンバーでしたが、ずっと前から私たちは米ソ軍備競争は止めなければならないと警告していました。

 当時、政府が、核爆発を何回行いその放射性降下物(死の灰:Fall Out)がどこに行ったのかという報告書を初めて出したので、私たちはそれを調査していました。

 議会で公聴会が開かれ、その際イギリスのアリス・スチュワート博士の論文が報告されました。スチュワート博士はオクスフォード大学で、イギリスの子どものガンや白血病が急増している原因について研究していました。

 彼女はガンや白血病になった子のお母さんのグループと健康なこどものお母さんのグループに100の質問アンケートを送りました。
 アンケートを回収すると驚いたことに、10歳未満のガンや白血病の子どものお母さんたちが妊娠中にエックス線を浴びていたことがわかりました。

 それが、わずかな放射線でも人体には影響を与えることの初めてヒントになりました。 スチュワート博士が発見したのは、数回のエックス線照射でガン発生率が倍増することです。
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 この際、1回のエックス線の放射線量とは自然界の環境放射線の約2年分に相当します。この放射線量というのは、大人にガンを発生させる量に比べるとその10分の1から100分の1に相当します。
 赤ちゃんや胎児は100倍も影響を受けるのです。また妊娠3ヶ月未満にエックス線を浴びたお母さんの子どもの幾人かは、ほかのお母さんのこどもより10~15倍ガンの発生率が高かったのです。

  政府は(核戦争があっても)核シェルターから出てきてもまったく安全だと言いましたが、それは1000ラドの放射線量の環境に出てくるわけです。
 それはエックス線を数千回浴びることに相当するわけですから子どもたちが生き延びることは不可能です。
 ですから、このような人類の惨禍を防ぐために核兵器を廃絶しなければなりません。それで、私は、核実験の後のアメリカの子どもたちにどのような影響があるのか調べ始めました。

 この図は、乳児1000人に対する死亡率を示しています。年ごとに始めは下降していきますが、途中で急に下降が止まります。それはネバダの核実験が始まったときです。

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 それ以降、核実験のたびに乳児死亡率も合わせて上昇しています。これは米ソ英による大気核実験停止条約が締結される1963年まで続きます。しかし、中国とフランスは核実験をつづけました。1961年に北シベリアでソ連が5000万トンのTNT爆弾に相当する巨大な原爆実験をしました。広島原爆は1万キロトンTNTでした。広島の5千倍の威力の原爆です。

 これは北半球に住む人間全員に腹部エックス線照射をしたことになります。これから世界中の子どもたちにガンや白血病が発生することが予想されます。そしてその後、実際にそうなりました。私は核実験を止めないと世界中の子どもたちにガンや白血病が発生することになるとサイエンス誌で警告しました。

 幸いなことに当時、ソ連のフルシチョフ首相と核実験停止条約を結ぼうとしていたケネディ大統領のもとで働いていた友人がホワイトハウスにいました。
 しかし、条約が締結されるには議会の上院での承認が必要です。そこでケネディ大統領はテレビとラジオで演説し、われわれの子どもたちの骨に含まれるストロンチウム90や血液中の白血病細胞をなくすために核実験をやめなければいけないと国民に呼び掛けました。するとたくさんの女性が乳母車でホワイトハウスを囲んだのです。また上院議員たちに手紙を書き、電話をしました。

 私は議会で証言する必要があると言われました。それから約1ヶ月後の8月にワシントンに行って議会で証言するようにという手紙を受け取りました。
 幸いにも、ハーバード大学のブライアン・マクマーン博士がスチュワート博士と同じ研究をアメリカ国内で行っていて同様な結果を得ていました。
 エドワード・テラー博士が、核実験は継続するべきだと証言しましたが、合衆国上院は条約批准賛成の投票をしました。すると幸いなことに、その後乳児死亡率が下がったのです。しかし、すべての州でベースライン(核実験がなかった場合に予想される乳児死亡率)に戻ったわけではありませんでした。

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 多くの州では乳児死亡率の下降が止まってしまいました。ベースラインとの差がまだありました。

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 乳児の死亡の主な原因は、多くの場合出産時の体重が平均よりも低体重(2キロ以下)であることが考えられます。乳児の低体重率は条約締結後低下し、そのまま降下するはずでした。
 しかし、2つのことが起こりました。ペンシルバニアでスリーマイル島事故と呼ばれる大きな災害が起こりました。ハリスバーグ近辺の原子力発電所の原子炉事故です。
 その後しばらくして乳児低体重率の下降が止まり上昇し始めました。それから1986年のチェルノブイリ原発事故です。それによって放射性降下物質が世界中に広がりました。低体重率はその後上昇し、大気核実験が行われていた時期と同じレベルに戻ってしまいました。
 このころから明らかになったことは、放射性降下物(Nuclear Fallout)が、原子炉事故と原子力発電所の通常運転による放出にとって替わられたと考えられることです。

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 低体重で生まれた子は、深刻な知的およびほかの肉体的な問題を抱えています。とくに初期の学習能力障害や後期の精神障害などです。
 この表はたくさんの原子炉がある州(ニューヨーク、ニュージャージー、イリノイ、フロリダ、カリフォルニア)とない州との(乳幼児死亡率)比較です。
 ご覧のように核実験中は下降が停止して横ばいになっていますが、(核実験が終わっても)もとのベースラインに戻ることはありません。ところが原子力発電所がないネバダでは核実験が終わるとベースラインに戻っています。
 ほかの原子炉がないニューメキシコ、ケンタッキー、ワイオミングなどの州も同様です。これは原子力発電所の原子炉が関係していることを示す非常に明確な証拠です。

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 低体重で生まれた子は、深刻な知的およびほかの肉体的な問題を抱えています。とくに初期の学習能力障害や後期の精神障害などです。
 この表はたくさんの原子炉がある州(ニューヨーク、ニュージャージー、イリノイ、フロリダ、カリフォルニア)とない州との(乳幼児死亡率)比較です。

 ご覧のように核実験中は下降が停止して横ばいになっていますが、(核実験が終わっても)もとのベースラインに戻ることはありません。
 ところが原子力発電所がないネバダでは核実験が終わるとベースラインに戻っています。ほかの原子炉がないニューメキシコ、ケンタッキー、ワイオミングなどの州も同様です。これは原子力発電所の原子炉が関係していることを示す非常に明確な証拠です。

 スライド 06(消失)
 われわれはこのことを確証するために他の証拠を探しました。1935年から乳幼児死亡率は年率約4%ほどで下がって行きます。
 それはベースラインにそって下がっていくはずだったのですが、上昇し始め、核実験期間中に1958年にピークになり、その後下がって行きますがベースラインまでに戻ることはありませんでした。
 その結果、なにもなければという想定数値に比べ100万の乳児が死んだことになります。

 スライド 07(消失)
 重要なことはアメリカ国民全員が被曝している事実です。
 この図は7、8歳になったこどもから取れた乳歯に含まれているストロンチウム90の値で、骨に蓄積していることがわかります。この表から60年代前半に、乳歯中のストロンチウム90が環境中のストロンチウム90の値を反映していることがわかります。

 核実験が終わると下降しますが、その後下降が止まり横ばい状態になります。ちょうどこの頃アメリカでは大規模な原子力発電所が操業開始しました。それは日本も同じです。それ以降80年代中頃になっても横ばいが続きます。そして最近になってまた上昇し始めました。
 
 このことからも、一見何も無いような平和的な原子力発電所の日常運転による放出も、核実験中と同様に、ストロンチウム90の原因であるという重大な事実がわかります。
 86~89年に少し減少しているのは原子力発電所の稼働率減少や閉鎖されたことによる影響でしょう。重要なことはその後数年にわたって上昇しつづけていることです。また、ガンになった子どもにはガンにならないこどもの倍のストロンチウム90があることが分かりました。

 スライド 08 (消失)
 これまでに、私たちはほぼ5000本の乳歯を調査しました。この表からも、どうしてこのようなことが起きているのかを理解することができます。これは政府が発表したミルク中のストロンチウム90の値です。コネチカットのミルストーン原発からの距離との関係を示しています。

 この原発から数マイル(1マイル=1.6キロ)以内に住んでいる人たちのレベルは、大気核実験中の時の最高値よりも高くなっています。それと同じ原子力発電所がある日本では、なにも危険なものは出していないと言われています。

 これはジェネラルエレクトリックの原子炉です。表から、100マイル(160キロ)離れていてもミルク中には高いレベルのストロンチウム90が含まれていることがわかります。多くの原子炉を抱える日本ではその周囲が非常に放射能汚染されていることが予想されます。

 スライド 09(消失)

 この表から、1970年から1975年にかけて、ガン死亡率が原発からの距離に比例して低くなっていることがわかります。原子炉があるところではわずか5年間で58%死亡率が上昇しました。
 これから、ガンが原子炉からの核物質放出を明瞭に反映するインジケーター(指標)であることがわかります。しかし今だに原子力発電はクリーンだと宣伝されています。放射能は見えない、臭わない、味もしないからです。理想的な毒です。

  スライド 10(消失)
 コネチカットでは1935年からの甲状腺がんのデータがあります。甲状腺がんに罹ったひとは政府に報告する義務がありました。これは死亡率ではなくガン発生率です。

 1935年?1945年では変化がなく、むしろ減少経過があります。そして医療の向上や改善によってさらに減少するはずでした。しかし1945年からわずか5年間で3倍にもなります。
 そして大気核実験のピークから5年たった1965年に再び上昇します。また、大きなミルストーン原子力発電所が稼働し始めてから5年後に急激な上昇がはじまります。

 チェルノブイリの事故から5年後に大きな上昇が起こります。ここで重要なことは、甲状腺ガン発生率の増大が医療の向上を反映していない事実です。ガン発生率が0.8から4.5に5倍も増大したことは統計的にも小さな変化ではあり得ません。

 スライド 11(消失)
 これは同地域の乳がん発生率です。同じように1935年から1945年までガンの発生率は上昇していません。実際、多少減少傾向にあります。そして核実験中に上昇し、1967年にコネチカットで最初のハダムネック原子炉が稼働すると急激に上昇します。 1970年にミルストーン原子炉が稼働するとその5?8年後に大きく上昇します。 
 日本でも同じような研究をすべきでしょう。

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 政府は、肺がんやその他の病気は喫煙が原因だとみなさんに信じてほしいと思っています。
 大規模な核実験が終わった1961?62年から1990年までに、18歳以上の女性の肺がん死亡率は5倍以上になっています。実際には女性の喫煙率はどんどん落ちているのです。

 スライド 13(消失)
 世界中の政府や国際原子力安全委員会などは、放射能による影響はガンと子どもの先天性障害だけだとみなさんに信じ込ませようとしています。しかし実はさまざまな面で健康に影響を及ぼしているのです。

 乳児死亡率や低体重児出産のほかに糖尿病があります。1981年から2002年の間にアメリカの糖尿病罹患者は5.8x百万から13.3x百万に増加しました。それと同時に原子力発電所の稼働率は40?50%から92%に増大しています。(注:アメリカ国内の原子力発電所の建設は1978年以来ないので稼働率が発電量を反映する)

 原子炉の検査やメンテナンスや修理の時間がより減少してきたことがあります。その結果、振動によってひび割れや放射能漏れが起きています。

 1959年ドイツのスポーディ博士などのグループがストロンチウム90をたくさんの実験動物に与えました。それらは当初カルシウムのように骨に蓄積すると予想されていたのですが、実験室がイットリウム90のガスで充満していることを発見しました。

 イットリウム90は、ストロンチウム90の核から電子がはじき出されると生成する元素です。このようにストロンチウム90からイットリウム90に変換します。そこで実験動物の内蔵を調べた結果、ほかの臓器にくらべ膵臓にもっともイットリウム90が蓄積していることが判明しました。

 また、肺にも蓄積されていましたが、それはラットの肺から排出された空気中のイットリウム90をまた吸い込んだためだと考えられます。膵臓はそのβ細胞からインシュリンを分泌する重要な臓器です。
 それがダメージを受けるとタイプ2の糖尿病になり、血糖値を増大させます。膵臓が完全に破壊されるとタイプ1の糖尿病になり、つねにインシュリン注射が必要になります。おもに若年層の糖尿病の5?10%はタイプ1です。アメリカと日本に共通していることですが、ともに膵臓がんの数が非常に増加しています。

 スライド 14(消失)
 アメリカの普通死亡率推移(1900?1999)。これは乳幼児死亡率、肺がん、膵臓がん、乳がんなどすべてのガン、糖尿病などのすべての死亡率(1000人中)の総計です。1900年から1945年までは年率約2%で死亡率が下がって行きました。

 唯一の例外は1918年に世界的に流行したインフルエンザの時です。このときはアメリカも日本も世界中が影響を受けました。この間ずっと、化学物質や喫煙率も増えているのにもかかわらず死亡率は減少しています。

 それはネバダの核実験が始まる1951年ころまで続きます。そして核実験が終わって少し下がりますが、やがてほとんど下がらずに横ばい状態が続きます。予想死亡率減少ラインから上の実際の死亡率ラインとの比較から、アメリカでこの間2000万人が余計に死んだことになります。広島や長崎で死んだ人の数よりはるかに多くの数です。

 スライド 15
 
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 これは日本の膵臓がん死亡率のチャートです。前述したように、1930年から1945年ころまでは低くまったく変化がありません。しかし、1962?63年ころまでには12倍に増加しています。

 これは東北大学医学部環境衛生の瀬木三雄博士たちの1965年のデータです。これからお話しすることは本当に信じられないことです。この12倍になった死亡率が、2003年までにはさらにその3倍から4倍になったのです。
 ストロンチウム90やイットリウムが環境に放出されることがなければ膵臓がんの死亡率は減少していたでしょう。アメリカでは約2倍になっています。

 スライド 16 (消失)
 これは同じ東北大学のデータで日本の5~9歳男の子のガン死亡率チャートです。1935年から1947年までは実際に死亡率が減少しています。それ以降、ソ連の核実験やアメリカの太平洋での核実験が度重なるにつれ、6倍に上昇しています。

 そしてこれ以降もさらに増加していることがわかっています。これらのデータは政府刊行物である「人口動態統計」からとりました。このような詳細にわたる統計は世界でもいままで見たことがありません。

 スライド 17(消失)
 同様に東北大学のデータです。これはアメリカ(非白人)と日本の男性のガン死亡率を比べたものです。1920年から1945年まで、この間喫煙率や化学物質の量が増加し、また石油、ガス、石炭の消費量増加による大気汚染も増加しているにもかかわらず、日本ではほとんどガンの増加はありません。

 非常に重要なのは、このことを理解しないと放射能を理解することができません。1945年以降ガン死亡率が急に上昇し、1962年にまでに42%増加します。それ以前にアメリカと日本で少し減少したところがありますが、これは核実験を一時停止した時期です。

 これらは核降下物の低レベル放射線が原因であることの強力な証拠です。しかし、政府は、その量があまりにも低すぎて検出できないと主張しています。

 スライド 18(消失)
 これは1970年以降の日本の原子力エネルギー生産量を示したものです。一時増加が止まった時期もありますが、最近では急激に上昇しています。これは原子炉の稼働率をなるべき上げるようにしているからです。アメリカも同じです。

 スライド 19(消失)
 1950年から2003年までの、さまざまなガンによる男女別死亡率の推移です。これを見るとわかるように、1970年ころから急に上昇し始めますが、1950年ころからすでに上昇し始めています。もっとも増加したのは男女とも肺がんです。大腸がんは女性の方がやや高いですが、やはり急激に上昇しています。

 膵臓がんは1962年までにすでに12倍に増えていますが、さらに大幅に上昇しつづけています。このことから日本になぜアメリカの倍の糖尿病があるのかという説明になります。
 
 スライド 20(消失)
 1899年から2003年までの主要死因別死亡率の推移です。これは男性女性を合わせたものです。1900年代初頭は世界的な疫病が流行し、1918年に肺炎死亡率がピークになってやがて降下していきます。抗生物質の出現で肺炎を含む感染性疾患は1990年ころまでに減少します。ではガンはどうでしょう。現在日本中の最大の死亡原因はガンです。

 東北大学の瀬木博士が指摘しているように、1962年ころまではガンの大きな増加はありません。それまでの感染症(伝染病)が増加した20?30年間にガンは多少増加していますが、これはガン全体の20%がバクテリアやウイルス感染に起因することが影響しています。

 感染症が横ばいになるとガンも同様に1945年まで変化しません。その後1947ごろから急激にガンが上昇し始めます。そして1966年商業用原子力発電所の放出が始まるとさらに上昇します。

 もし、これらが核実験によるものであるのなら減少していかなければならないはずです。ところが実際には、ガンの早期発見や治療法の向上にもかかわらずガン死亡率は増加しつづけています。1990年代はじめから急激なガン死亡率の上昇が見られます。このときに放射性物質を含む劣化ウラン兵器がアフガニスタン戦争やイラク戦争で用いられました。それが世界中を回っているのです。

 ですから、平和的な原子力発電所の放出から平和的な劣化ウラン兵器に置き換わったわけです。安すぎて計量できないと言われたクリーン原子力エネルギーのおかげというわけです。

 スライド 21(消失)
 1899年から2003年までの死亡数と死亡率の推移です。世界的なインフルエンザ大流行の時期に大きなピーク(1918年)があります。その後下降し、広島・長崎原爆後もまた核実験が終わったあとでも下降しています。

 それはその後もそのまま下降するはずでした。ところが1970年ごろから下降が止まります。そして1990年ころになって、1918年以来はじめて上昇し始めます。これから国の医療費の負担がいかほどになったか想像できるでしょう。国の将来を担う新生児が影響を受けているのです。赤ちゃんだけではありません。死ななくともいい人びとが多く死んでいるのです。

 巨大な軍事費の代わりに、あなたの国はなんとか死亡率を下げようと巨大な医療支出を被っています。どなたか広島・長崎以降の国家医療費の総計を原子力発電所の推移とくらべて調べてみるといいでしょう。

 これが私のみなさんへのメッセージです。民主主義のもとで選ばれた、みなさんを代表する議員たちにこのことを伝えてください。私たちがホワイトハウスを乳母車で囲んだように、みなさんも乳母車で国会を囲んでください。
 ありがとうございました。

 訳文責:森田 玄(ハーモニクスライフセンター)
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> スターングラス博士のグループは、放射線被曝を示すインディケーターとして幼児の乳歯中のストロンチウム90に注目し、すでに世界中から6,000本の乳歯を採取し検査を行ってきました。今年から日本でも乳歯を集めるプロジェクトがハーモニクスライフセンターによって始まりました。また、現在アメリカでの検査が資金難のため滞っているので、日本で独自に検査をする必要があります。検査機器など多額の資金が必要です。みなさまのご協力をおねがいします。詳細はハーモニクスライフセンターまでお問い合わせください。
ハーモニクスライフセンター
  Tel 04-7097-1011 Fax 04-7097-1215
 Email: genm@trust.ocn.ne.jp
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 引用以上

 冒頭に書いたように、私がフクイチ事故で、数千万人の命が失われると主張してきた根拠は、フクイチ事故前に読んでいたスターングラスの論文である。その被害者の大半は、乳児・胎児だ。
 ほとんどの人は「何を大げさなデマを」と私の主張に耳を貸さなかった。私が執筆していたミニコミ誌からも、「大げさ」と追放された。
 だが、上に書かれている内容は、すべて真実である。

 文中、大半のグラフデータが「消失」させられている。これは原発推進派が嫌がらせを行ったのだろうと考えているが、グラフがなくとも、意味を察していただきたい。 

 追記 私が、とりわけ危機意識を抱いていることは、日本の医学が、放射線被曝について、限りなく甘い考えを持って放射線を濫用している現実である。文中、スタングラスが、胎児は大人の数百倍の放射線感受性があり、被曝すれば致死的なリスクになると説明しているのに、日本産科学会は、胎児が100ミリシーベルトまで被曝しても何の影響もないと、無茶苦茶なデマを平然と述べている。
 http://www.e22.com/atom2/jsog.htm

 これを定めたのは狂人というしかなく、産科学会は、今すぐ胎児100ミリ被曝を許容する狂人=無知蒙昧のクズ=殺人鬼どもを永久追放すべきである。


東電・原発事故の賠償金と廃炉費用、こっそりと国民の電気料金への「上乗せ徴収」始まる

2021年01月01日 | 未分類
 
 https://biz-journal.jp/2020/12/post_198245.html

  福井県などの住民約130人が「大地震への耐震性が不十分だ」として、国に大飯原発3、4号機の原子炉設置許可の取り消しを求めていた裁判の判決が12月4日にあった。大阪地裁は原子力規制委員会の審査過程に看過しがたい誤りや欠落があるとして、原発の設置許可を取り消す判決を言い渡した。

 2011年の東京電力福島第一原発の事故以降、原発の運転停止につながる司法判断は仮処分を含め6例目だが、原発の設置許可を取り消す司法判断は初めてだ。今回の司法判断で規制委の審査基準自体に疑問符がつけられたことにより、安全性の水準がさらに上がることも予想され、全国の原発に影響する可能性もある。

原発事故や廃炉への備えが皆無だった大手電力
 原発をめぐる裁判には、原発の安全性を争うものや東電福島第一原発事故での損害賠償請求などさまざまある。15の生協などでつくる「グリーンコープ共同体」が設立した小売り電気事業者「グリーンコープでんき」は、電気料金をめぐって10月15日、福岡地裁に提訴した。福島第一原発事故に伴う賠償金や廃炉費用などを一般家庭の電気料金に上乗せし徴収することを国が認可したのは違法と訴えている。

 コロナ報道一色の大手メディアではあまり報道されなかったが、10月1日から「福島第一原発事故の『賠償費用』と『廃炉円滑化負担金』の託送料金への上乗せ」がこっそり始まった。もっとも、これが決まったのは電力全面自由化から日も浅い2017年なので、大手メディアはスルーしたのかもしれない。

 原発事故によって東電が背負う賠償金は莫大だ。現在係争中の裁判もあり、最終的に何兆円になるのか見通しがつかない。そこで、賠償金を国民全員に負担させようというわけだ。具体的な金額は、事故前に確保されておくべきだった賠償への備えの不足分の一部2.4兆円で、年間約600億円程度が40年間にわたって回収される。

 原発事故後、廃炉が決まった原発が全国に7社15基(女川1号機や美浜1、2号機など)ある。「廃炉円滑化負担金」は、これらの円滑な廃炉を促す環境整備の観点より一時的に生じる費用を分割計上するものだが、これも本来は各大手電力が責任を持って負担すべき費用だ。

 上乗せされる「託送料金」とは、電気を送る際に小売電気事業者が利用する送配電網の「利用料」のことだ。送配電網は一般送配電事業者(東京電力パワーグリッドや関西電力送配電など10社)が保有・運営しており、料金は事業者が設定し、国が認可する。

 当然のことながら、新規参入した新電力各社も託送料金を払ってこの送配電網を利用している。新電力は太陽光や風力など、CO2や放射性廃棄物を出さない、再生可能エネルギーに力を入れている事業者が多い。提訴したグリーンコープでんきもそうだ。

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2020/12/post_198245.html
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 そして、新電力と契約している消費者は、電気料金の安さばかりでなく、自然エネルギー由来の電気を選んで使いたいという意識の人が少なくない。さらに言えば、原発産業にはお金を払いたくないということであり、託送料金への上乗せは、そうした消費者の意志を踏みにじるものだ。電力会社を選べるという電力自由化の趣旨にも反する。環境NGO「FoE Japan」の吉田明子さんはこう話す。

「賠償負担金は1kWh当たり0.03~0.12円、廃炉円滑化負担金は0円~0.05円と、金額としては一見わずかなものですが、40年間にもわたって続くものです。賠償負担金は明らかに東電救済が目的。大手電力会社が責任を負うべき負担が、広く薄く長く全消費者に転嫁されるわけです。金額的にどうかというよりも、倫理的に大きな問題があります。グリーンコープさんは託送料金の値上げ分を利用者から取らないと言っています。経営的に大きな負担にはならなくても、原発問題のさまざまな不条理が凝縮されている問題なので、それを世に問うために提訴したようです」

実際の値上げは新型コロナの影響で1年間先送り
 では、すぐにでも電気料金が値上げされるのかといえば、そうではない。10月1日から託送料金への2つの上乗せが始まったが、同時にこれまで(05~20年9月)行われていた「使用済燃料再処理等既発電費相当額」の上乗せが9月30日で終了し、正確にいえば、入れ替わるかたちになった。

 よって、実際は差し引きで、託送料金の値上げになる地域と値下げになる地域がある。また、値上げの場合でも、コロナの影響により1年間は据え置きされることになっている。ほとんどの消費者は将来も、月々の電気料金を見ただけでは、託送料金への上乗せの不条理に気づくことはないかもしれない。それだけに姑息で狡猾なスキームだといえる。

 福島原発事故でいえば、賠償金を含む事故処理費用について、16年の経産省の議論では「21.5兆円」と試算していた。しかし、そもそもこの金額は極めて不十分で低い見積もりであり、日本経済研究センターのレポート(19年3月7日)では、35~80兆円と試算している。東京電力の経営陣、株主、債権者の責任が問われないまま、ズルズルと将来的に国民にツケ回しされるのである。

(文=横山渉/ジャーナリスト)

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2020/12/post_198245_2.html
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 引用以上

 東京電力は、憲法上も、商法上も、資本主義社会における一企業にすぎない。
 国策企業と屁理屈をつけてみても、資本主義の原則を曲げてまで無条件に守る法的根拠は存在しない。

 国策企業=特殊会社は、以下の裏付けによって成立している。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%AE%8A%E4%BC%9A%E7%A4%BE

 【国策上必要な公共性の高い事業ではあるが、行政機関が行うよりも、会社形態でこれを行う方が適切であると判断される場合に設立される。規模が大きく、また後に完全に民営化して普通の会社に移行させる可能性もあることから、「株式会社」形態で設立される。特殊会社は、公的資本があるかどうかによって決まるのではなく、あくまで特別な法律に設立根拠があることで判断される。】

 上のリンク内を見れば分かるように、法的な裏付けのある企業のなかに、電力企業は一社も含まれておらず、あくまでも普通企業の位置づけである。
 東電を経営的に救済すべき法的根拠、義務など、日本政府のどこにも存在しない。

 電気事業法による法的位置づけは以下のとおり
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E4%BC%9A%E7%A4%BE

 ここでも、「政府が責任を持って倒産をさせない」などの文言はまったく出ていない。それなのに、国民が東電の失敗の尻拭いをさせられるのは、完全な憲法・民法違反である。
 東京電力が、大事故を引き起こして債務超過になった場合、政府が支援すべき法的根拠は存在せず、会社法における倒産処理に委ねられなければならない。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%80%92%E7%94%A3%E6%B3%95#:~:text=%E5%86%8D%E5%BB%BA%E5%9E%8B%E3%81%AF%E3%80%81%E5%82%B5%E6%A8%A9%E8%80%85,%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%8F%E5%86%8D%E7%94%9F%E6%89%8B%E7%B6%9A%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82

 自民党政権は、どのような理由で、東京電力に脱法的支援を強要しているのか?
 国民に問答無用で無理矢理、失敗の尻拭いをさせているのか?

 それは、自民党政権の大半の議員が、東京電力の株式を保有していること。
 何よりも、天皇家はじめ、日本のエスタブリッシュメントが東電の大株主であること。
 彼らが、東電株のフクイチ事故による下落を回避させている。
 東電の経営陣も、また大株主であり、彼らの莫大な(勝俣の場合、20億円)退職金を確保するために、東電を潰させない働きかけをしたこと。

 要するに、東電、勝俣や清水の判断で、震災に対する備えは金がかかるからと回避し安上がりですませたことにより、津波で非常用電源が破壊され、フクイチ巨大放射能汚染事故が起きたが、その尻拭いを東電は、全部国民の税金や電気料金につけ回しさせた。
 これを決定容認したのが、安倍晋三・麻生太郎ら自民党政権である。

 日本国民は、東電の金儲けのための失敗の尻拭いだけをさせられ、電気料金で東電幹部の退職金を守り、自民党議員の持っている東電株の下落を防がされているのである。
 さらに、100兆円近い巨額の税金で、東電放射能の後始末をさせられている。

 東電の姿勢はどうかといえば、環境を汚染した放射能は「無主物」であると、究極の屁理屈を通して、除染賠償を拒否している。
 
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2015/04/03/45974/

 もうここまでくると、東京電力と自民党は、イタリアやアメリカのマフィアと、その非合法性、非道徳性において、何一つ変わらない。
 反社会勢力であり、暴力的にでも排除すべき勢力である。
 こいつらを、いつまで、のさばらせておくんだ!