これまで福島県内の未成年者甲状腺検診で、400名を超える「悪性小児甲状腺癌患者」が見つかっている。(以下は今年1月のデータ)
2025/02/05 悪性疑い397人に~福島県・甲状腺がん
https://www.ourplanet-tv.org/50198/
国や、福島県民健康検査座長(星北斗~高村昇)や、甲状腺学会(山下俊一~田上哲也)の公式見解では、福島県における小児甲状腺がんの多発と、福島第一原発事故による放射能汚染との因果関係は存在しない。
多発が確認されたのは、一斉検査における「スクーリング効果」であるにすぎず、悪性ではなく検査や治療を行わなくとも、放置して差し支えないと公式に発表している。
https://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g62.html
上の官邸文書の時期が不明だが、おそらく2019年ころ、安倍政権時代ではないかと思われる。
しかし、県民健康調査に携わった福島医大の鈴木眞一教授によれば、発見された小児甲状腺がんの大半が悪性であり、放置(経過観察)してもよい甲状腺がんは、なかった。肺やリンパへの転移が強く懸念されるため、ほとんど甲状腺除去手術を行ったと発表している。
2020/01/31 福島の小児甲状腺がん180例を症例報告~「過剰診断」を否定
https://www.ourplanet-tv.org/39961/
【2018年12月末までに執刀した、事故当時18歳以下だった甲状腺疾患の患者180例のデータ。
県民健康調査県の公表されている人数より19人多い。
鈴木教授は、術後の診断で72%がリンパ節転移しており、組織外浸潤も47%あったと報告。
腫瘍が小さく、リンパ節の転移などがない低リスク症例(T0N0M0)は7.2%(13例)と、「アクティブサーベランス(非手術経過観察)」が推奨される「超低リスク症例」は含まれていないと強調した。
再発患者は12人
手術した患者のうち6%が再手術したことも明らかにした。全摘の患者には再発例はいない。再発した患者数は、10月に前橋市で開催された日本甲状腺学会で11人いると発表していた。
福島県内の甲状腺検査をめぐっては、手術の必要がない小さながんを見つけてしまう「過剰診断」が指摘されているが、鈴木教授は「治療した症例に過剰診断がないとまでは言い切れないが極めて限定的」と主張。
一方で、「事故後の福島における甲状腺がんの増加は、放射線被ばくの影響ではなく、大規模の精緻な超音波検査をしたことによるマススクリーニング効果」によるものだとした上で、「福島での小児若年甲状腺がんの発症増加のリスクに放射線の影響があるかないかを検討するために長期にわたり続けなければならない」と述べた。】
一部引用以上
鈴木眞一教授は、県民健康診断で発見された小児甲状腺患者の大半が悪性で、除去手術を行ったと述べていた。
しかし、座長らとの見解の相違から2015年に県民健康診断委員を退任させられた。
https://www.ourplanet-tv.org/38060/
座長の星北斗は、福島の小児甲状腺がんは増えておらず、単にスクーリング効果によって見かけの増加を起こしたものにすぎないとの見解を維持し、原発事故との因果関係はないと決めつけてきた。
本人は、2022年、自民党から参院選に立候補するため、健康調査委員を辞した。
甲状腺がんが検査機器の進歩と集団検診効果によるスクーリング効果にすぎない、したがって、福島県は甲状腺検診をやめるべきだ。と主張している人は、県民健康診断の座長、星北斗・高村昇以下、多数存在するが、すべて東京電力と何らかの利権関係を持っている人たちばかりだ。
緑川早苗(過剰診断論者=宮城学院女子大学教授)
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_66e3a11de4b0056e8291a3b8
福島で甲状腺がん診断多発の裏に「過剰な検査」、日本人が知らない“がん検診”の実態 窪田順生 2022.8.11 4:30(過剰診断論の代表的ライター)
https://diamond.jp/articles/-/307885
菊池誠さん、結局はこれまで通り勘違いしたままのようですね(論座『福島の甲状腺検査は即刻中止すべきだ』(上)(下) 無症状の甲状腺がんを掘り起こす「検査の害」)
https://posfie.com/@KDNuc/p/Fj3Z4ra?page=1
阪大教授、菊池誠は(専門は統計学で、放射線生物学には携わっていない)、事故直後から被曝健康被害は出ないと主張してきた。
同じことをツイッターのBUVERYアカウントで主張し続けたのが、現在、原子力規制委員で次期委員長と目される伴信彦だ。
伴は、福島で小児甲状腺がんが発生するには、あまりにも被ばく線量が少なすぎると言い続けた。
しかし、これまで公開されてきたヨウ素131線量が、矮小化され、意図的に隠蔽改竄されていたことが次々に発覚している。
甲状腺検査評価部会長・鈴木元の発表してきたヨウ素131甲状腺被ばく量データが100分の1以下に矮小化されていたことが告発されている。
2025年01月11日 甲状腺検査評価部会長・鈴木元氏への公開質問(その1)~環境省に送付~
https://yuyujinsei2.seesaa.net/article/2025-01-11.html
https://yuyujinsei.seesaa.net/article/506089018.html
今回、アワープラネットも、鈴木元が勝手に100分の1以下に改竄したデータをもとにして、福島小児甲状腺がん多発を評価していた事実を暴露した。
2025/05/15 相馬市の甲状腺被ばく最大値~福島・評価部会報告書
https://www.ourplanet-tv.org/50864/
福島県の甲状腺検査評価部会が7月に公表予定の報告書をめぐり、個人の甲状腺被曝線量を算出する際の根拠として、国連科学委員会(UNSCEAR2020/2021)報告書に基づく数値ではなく、同部会の鈴木元部会長が主著者の論文データを使っていることが分かった。
「福島原発事故による甲状腺被ばくの真相を明らかにする会(以下、「明らかにする会」という)」が、被曝線量の根拠を求める中で判明した。
報告書の解析に、鈴木氏の論文データが選択された経緯は明らかにされていない。研究倫理の専門家は、解析を評価する立場である鈴木部会長が、自らの論文データに基づいた解析の評価するのは、利益相反に当たるとして、報告書の取りまとめから外れるのが一般的だと指摘している。
【鈴木部会長が主著者の論文】
福島第一原子力発電所事故後の16市町村における子供の甲状腺等価線量推定 https://academic.oup.com/jrr/article/63/6/796/6701780
今回、明らかになったのは、甲状腺検査評価部会が7月に向けて取りまとめ予定の報告書で使用している被曝データ。
甲状腺がんと被曝量との関係を解析中だが、その際、使用されている個人線量がどのようなデータに基づいているのかは明らかになっていなかった。
鈴木元氏の論文は、日本原子力研究開発機構(JAEA)が開発した「大気輸送・拡散・沈着モデル(ATDM)」の一種である「緊急時環境線量情報予測システム (WSPEEDI)」を用いて作成したシミュレーションを基に推計した放射性核種濃度データベースと、県民健康調査基本調査の個人調査票から得られた3256人分のヨウ素131の吸入と経口摂取量を組み合わせ、原発周辺16市町村の子どもの甲状腺等価線量を推計したもの。
日本原子力研究開発機構(JAEA)が開発した「大気輸送・拡散・沈着モデル(ATDM)」は、UNSCEAR2020/2021報告書は一部の地域について、スケーリングという補正を行って線量推計を行っているが、鈴木氏の論文は補正前のシミュレーションをそのまま利用している。
このため、UNSCEAR報告書とは、市町村間の相対的な被ばく線量も大きく異なり、避難区域と浜通りの16市町村のうち、従来、さほど被ばく線量が多くないと見られていた相馬市が最も甲状腺の被曝量が多く、次いで新地町だった。
その結果、1歳児の平均甲状腺等価線量が最も高かったのは、南相馬市小高区の14.9 mSvで、市町村別では、相馬市が10.4 mSv、新地町が10 mSvと、福島県内で比較的被曝線量が低いと思われていた地域の子どもが最も被曝量が高い結果だった。
また、同論文では、「いわき市、川俣町、飯舘村、南相馬市で3月下旬に実施された小児1080人の甲状腺測定に基づく推定値と類似していた。」と結論づけている。
毎回、変わる研究デザインと線量
福島県の甲状腺検査をめぐっては、甲状腺評価部会が2015年に1巡目(先行検査)の評価を行い、被曝との関係は「考えにくい」との結論を公表した。この際の解析は、2011年3月18日の被ばく線量をもとに、福島県を4つの地域に区分し比較していた。
ところが、評価部会の部会長が、甲状腺外科専門医・清水一雄医師から鈴木元氏に交代した2017年、4つの地域区分でがんの発生率を比較すると、線量の高い地域ほど、多数のがんが見つかっていることが判明。部会長の鈴木元氏は、交絡因子が影響しているとして、4区分での解析を中止した。
ところが2019年2月、突如、新たな解析を公表。今度は、UNSCEAR2013年報告書で推計された市町村別の平均甲状腺等価線量をもとに、がんの発症と線量の関係を比較し、被曝との関係はないと断定した。
この時、あまりに突然、研究デザインが変更されたため、上部機関である「県民健康調査」検討委員会では異論が続出したが、結果は覆らなかった。
甲状腺検査評価部会ではその後、疫学の専門家などから、市町村別ではなく、個人線量を元に解析を実施すべきとの声が強まり、個人線量で解析することとなったが、どのように個人線量を推計しているかは明らかにされていなかった。
今回、UNSCEAR2020/20121報告書が否定したシミュレーション結果を元にして推計された鈴木元部会長の論文が、解析に用いた経緯は明らかにされていない。
「解析無効だ」~実態に基づかない線量と市民団体
今回、鈴木氏のデータが使用されていることを特定した「明らかにする会」の加藤聡子さんは、鈴木氏の論文の元となっている「大気輸送・拡散・沈着モデル(ATDM)」は、3月15日の放射線プルームが中通りに到達しておらず、空間線量や土壌汚染などとも全く相関がないと批判。
これに基づく鈴木氏の論文は、中通りの甲状腺等価線量が0に近い数値になっており、非現実的だとして、「このような線量をもとに被曝影響の考察をするのは全く無効だ」と指摘。不透明な線量が使用されているとして、中通りのデータも開示するよう県に要望している。
UNSCEAR2020/2021報告書の付属文書A-9に掲載されている寺田ATDM2020のI-131のシミュレーションマップ 中通りは汚染していない。
利益相反に当たる~研究倫理の専門家
鈴木元氏は、環境省の委託研究で、福島第一原発事故後の初期被ばくの線量再構築の責任者である一方、甲状腺がんと被ばく線量との関係を評価する評価部会の部会長も務める。
今回、部会長が主著者の論文が疫学研究に用いられていたこととについて、研究倫理を専門とする京都薬科大学の田中智之教授は、複数のデータが選択肢として存在する場合、なぜそのデータを使用したのか説明が必要だとした上で、研究をしている本人の論文に基づいた解析を、同一人物が評価するのは利益相反に当たると指摘。報告書の取りまとめから、鈴木氏が外れるのが一般的であるとの考えを示した。
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引用以上
福島県、中通りの降下放射能は、例えば福島市渡利地区で平米3000万ベクレル(チェルノブイリ事故原子炉の数キロ圏内と同じ)を記録するなどすさまじいものだった。
ちなみに最大の汚染は、1000名近い高レベル汚染遺体が散乱していると報道された大熊町東平鈴木木工前(地名が地図から消された)の平米5700万ベクレルである。
https://hirukawamura.livedoor.blog/archives/6184851.html
この渡利地区のヨウ素131汚染が、鈴木元データではゼロだというのだ。どれくらいインチキなものか、誰にでも瞬時に分かるだろう。
稼働中の原発メルトダウン事故が起きた時、核分裂進行中の核燃料から、中性子とともに、ものすごい放射能が放出される。
ウラン235燃料の場合は、約半分(117プラスマイナス30%程度)の質量をもった励起されて放射線を出しまくっている核種が放出される。
一番多いのは、セシウム134や137、そしてストロンチウム89や90、ヨウ素131や、キセノン133、テルル129などだ。
フクイチ事故のときは、メルトダウン炉心に海水を入れたことで、塩素35+n=硫黄35の反応によって、3月末、関東東北一円にS35が花粉のような黄色い粉末になって降り注いだことを記憶している人も多いはずだ。
このうち、甲状腺被ばくに関与するのは、甲状腺が選択的に吸収するヨウ素XとセシウムXである。おそらくヨウ素131とセシウム134の関与が大きいと私は考えている。いずれも人体親和性が極端に強いので、内部被ばく核種となる。
この福島県におけるヨウ素X汚染を、鈴木元は100分の1以下に矮小化することで、福島では一人の甲状腺癌患者も出ない(伴信彦原子力規制委員)という政府や福島県の公式見解になっている。
だから、福島第一原発が建設される前、1950年代に、小児甲状腺がん患者は、福島県では100万人中、0.5人以下の発症率だった。
県民健康調査では、30万人中400名、100万人では、1300名を超す発症率になっているので、実に2600倍に増えたことになる。
これと似た小児甲状腺がんの発症率を示したことがあった。それはチェルノブイリ原発事故である。
当時のWHO国連科学委員会は、チェルノブイリ事故で、近隣の5000名の子供たちに小児甲状腺がんが発症したと、正式の報告書を出している。
https://www.nihs.go.jp/hse/c-hazard/npp-ac/WHOFS_Chernobyl_200604.pdf
この当時のWHOは、まだ原子力産業の介入がなかったので正当な評価が報告されているが、その後、WHOと国連科学委員会は、原子力産業に乗っ取られてしまい、現在は原発に不都合な報告は絶対に出さない。
福島の汚染水放流も、科学委員会が不可解な正当化を行っている。