今日は、H21年度分解整備業実態調査の緊急レポート(5)労務条件も悪化、です。
さて、労務関係の一つの指標である「賃金生産性(整備要員あたり整備売上高÷整備要員平均給与)」を見てみると、専業工場および兼業工場は、3千円を割り込み、2千円台になった。
ディーラーは、5.5千円となり、前年よりは百円ほどプラスになり、下落に歯止めがかかったようである。
ひところ整備業界では「給与の3倍稼げ」、とよく言ったが、これは、健全経営の指標として、わかりやすいものだ。3倍稼げの根拠は、労働分配率50%、粗利益率60%の時に求められる値である。
仮に、100千円の賃金の場合では、次のようになる。
100千円÷0.5(労働分配率)=200千円(粗利益額)
200千円÷0.6(粗利益率)=333千円(整備売上高)
333千円÷100千円=3.3倍
この3.3倍が賃金生産性となる。残念ながら専業、兼業とも3倍を下回って専業2.8、兼業2.9となった。千円の給与で2千8百円の売上ということだ。これでは、利益は残らない。
整備要員の年齢と年間給与の関係は、以下のとおりである。
業態 年間給与 平均年齢
専業工場 3,469千円(前年比-0.1%) 47.5才(同+0.4才)
兼業工場 3,706千円(同 -1.5%) 43.1才(同+0.5才)
ディーラー 4,119千円(同 -0.4%) 32.4才(同+0.3才)
専業工場は、平均年齢では3業態の中では一番年齢が高く、50歳に手が届きそうな47.5才であるにもかかわらず、年間給与は一番低くなっている。売上が苦戦している部分を、給与で調整して、経営をしている姿が見える。
年齢からする給与水準をもっと引き上げていかないと、新しい労働力の確保が難しくなり、新陳代謝が進まないで、新しい技術への対応にも支障をきたすことが懸念される。
目指すは、1才あたり1万円ではないだろうか。専業工場でいえば、47.5歳だから、年間給与は4,750千円だ。年齢あたりでは100千円になる。この値に近いのが平成7年当時の93.6千円という給与水準だ。
因みに、兼業工場の年齢あたりの給与は86千円、ディーラーは127.1千円になっている。
整備工場の主役は、メカニックである。そのメカニックが誇りを持ち、世間並みの生活をおくるための、給与水準が必要ではないだろうか。
株式会社ティオ
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