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平成22年整備売上概要-4.概要に見る整備業界の課題!

2011年02月28日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、平成22年度整備売上概要の整備業界の課題、です。

公表された整備業の
概要からの課題は、整備売上が伸びないことだ。
22年度は前年に比べて0.4%プラスにはなったが、増加額を全工場で平均してみると、
一工場当たり約216千円、整備要員あたりでは年間60千円、月間で5千円だ。

この額では、誤差の範囲と言ってもいい。
つまり、業界全体では前年と変わらない整備売上であったと言える。

このように整備売上が伸び悩んでいる主たる原因は、3つあると考える。
一つは「保有台数の減少」、二つ目が「スモールカーの拡大」、そして三つ目が「その他整備の機会減少」だ。
いま、整備業界は三重苦に悩まされていると言える。

整備の対象車である保有台数が減少していることは、経営にとってはとても悩ましいことである。
平成19年3月末の79,236千台をピークに毎年減少している。平成22年度は78,693千台で、19年度
比べて543千台の減少だ。人口の減少と歩調を合わせるように、今後も保有台数は減少すると予測されている。

減少する中で、スモールカーのシェアが伸びている。
5年前の軽自動車の保有割合は32.3%でったが、22年度では36.4%と4.1%も増えている。
貨物車においては軽の比率が約60%にもなっているのだ。
(※各比率はバス、特殊車両、二輪車を除いた保有台数を元に求めた値)

ナゼ軽自動車が増えることが整備売上にとっての課題かは、お分かりだと思うが、整備指数が小さく
なることにある。換算車両台数でも軽自動車は登録乗用車の0.7台分にしかならない。つまり、工賃
値付けの工数が小さくなることで、同じ作業でも工賃売上は小さく(減って)なってしまう。

次に、その他整備だけが前年比マイナスになったのは、とても深刻な問題だと思っている。その他整備は、
車検についで売上の第二位のシェアである。因みに、平成22年度では34.3%である。

減少の原因として、二つのことが考えられる。
一つが、機械的な故障や定期交換が減っていることだ。例えば、超LLCや白金・イリジュームプラグなど各部の
ロングライフ化が進んでいること、機械式から電動式に代わってきていることが挙げられる。
加えて走行距離が減っていることなどが絡み合っている。

また、HVやEVなどでは回生ブレーキによって、ディスクパッドの交換頻度が少なくなると言われている。
このように機械的な摩耗等による故障も減ってきている。

メンテナンスパックの普及で、整備単価が下がっていることも指摘できるが、専業工場や自家工場が大きく
前年を下回ったことを考慮すると、メンテパックが主たる要因ではないと考えるのが正解と言える。

もう一つその他整備の減少要因として、「見えない故障」が増えているのではないかということだ。
見えない故障とは、機械的な故障ではなく、電気や電子的な故障に変わってきているということ。

これらの不具合を見つけるには「スキャンツール」が必要なのだが、高額であるなどの理由で今一つというか
二つというか普及が思うに任せていない。

エアーバックは100台に一台、ABSは17台に一台の割合で異常値が出ているという。
スキャンツールを使って、入庫車両の全車に診断すれば、この部分の工賃アップができる。

50万円のスキャンツールでも、3千円の診断料を徴収すれば、年間約55台の受注で3年間で回収ができる。
この間、データーの更新料などがあるだろうから、4年から5年みれば十分回収ができる。整備業で生活する
以上は、今すぐにでも購入し使うことだ。

入庫前のデーターと、修理後のデーターをお客さまに確認いただければ、3千円の診断料であれば、十分に
納得いただけるものではないだろうか。こうした、故障や整備の見える化がお客さまからの信頼につながり、
しいては差別化にもなる。

以上のような原因に対策していくには、先ず「CS」の向上が必要である。そのためにも「QSC+P」を
整えて、脱落客をなくすことだ。

次に、入庫回数を増やすこと。
車検などの入庫台数を増やすのではなく、一人のお客さまの「入庫回数」を増やすことだ。
その一つが「定期点検」の入庫促進を、真面目に、徹底して行うことだ。

そして、整備メニューやニーズメニューを増やし、働きかけができる品揃えを充実させること。
この場合、価格が大事になる。高くても3千円、できればそれ以下の価格で提供できることだ。

ワンコインサービスなども検討する必要がある。
何せ入庫していただくことが大事ゆえに、一つの作業の儲けを考えて価格を決めるのではなく、
トータルで価格を決めることだ。
500円のワンコインでも、付帯整備などが発生すれば、台当たり単価も上がってくる。

スモールカーに対策するのは、「時間価値販売」から「作業価値販売」に変えることだ。
車検基本工賃なども、その意味で見直しが必要だろう。

後は、アクションだけ。
行動あるのみである。


株式会社ティオ
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