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巨勢山のつらつら椿の風情が残る阿吽寺(あうんじ)/毎日新聞「やまと百寺参り」第44回

2020年03月05日 | やまと百寺参り(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、『奈良百寺巡礼』(京阪奈新書)の刊行を記念して、毎日新聞奈良版に毎週木曜日、「やまと百寺参り」を連載している。先週(2020年2月27日)掲載されたのは「万葉ファンの心引く椿/阿吽寺(御所市)」、筆者は広島県出身・生駒市在住の田原敏明さん。田原さんは76歳ながら、ボランティアガイドにテニスにと、充実した毎日を過ごしておられる。

トップ写真は、昨年(2019年)3月24日(日)に開催された御所市制施行60周年記念「万葉うたがたりコンサート」の模様である。犬養万葉記念館のHPには《御所市制施行60周年記念事業として、岡本三千代(館長)と万葉うたがたり会によるコンサート「いにしえの人の心をメロディにのせて」をさせていただくことになりました。会場はつらつら椿の阿吽寺です》とある。では記事全文を紹介する。 

『万葉集』に「吾が背子をこち巨勢山(こせやま)と人は言へど君も来まさず山の名にあらし(巻7・1097)」と詠まれた巨勢山の麓に阿吽寺があります。歌の意訳は「愛しい人をこちらに来させる山と人は言うけれど、貴方は来ない。名前ばかりの山です」となります。

平安時代に巨勢川が氾濫し、阿吽法師に救われた里人が法師を崇(あが)めて、古代豪族・巨勢氏の氏寺、巨勢寺に構えた玉椿精舎(ぎょくちんしょうじゃ)が阿吽寺の始まりと伝わります。本尊の十一面観音立像は、面相や衣文(えもん)の様式に藤原時代の雰囲気を残しています。

春には境内は椿一色に彩られます。多くの万葉ファンが「巨勢山のつらつら椿つらつらに見つつ偲(しの)はな巨勢の春野を(巻1・54)」の風情を求めて訪れます。701(大宝元)年の秋、持統上皇の紀伊行幸で坂門人足(さかとのひとたり)が、椿の咲き乱れる巨勢の春の野を偲んだ歌です。

それ以前に春日蔵首老(かすがのくらのおびとおゆ)が詠んだ歌にある「つらつら椿つらつらに」「巨勢の春野」の<本歌取り>の古い例とされます。現代なら盗作問題になるのでしょうが、万葉びとのおおらかさを詠み人や選者に感じます。(奈良まほろばソムリエの会会員 田原敏明)

(宗 派) 単立
(住 所) 御所市古瀬361
(電 話) 0745・62・3346(御所市観光協会)
(交 通) JR・近鉄吉野口駅から徒歩約10分
(拝 観) 境内自由、本堂拝観は要予約3000円(30人まで)
(駐車場) 有(無料)


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2 コメント

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Unknown (りひと)
2020-03-08 22:26:42
今巨勢氏にハマってるようでしたが巨勢山が万葉集にというのも知らず恥ずかしい限りです。場所もちゃんと調べてもいなかったんですね、吉野口とは近くまで行ってるのに本当残念です。阿吽寺、とても気になるお名前ですね。あと記事中の坂〜人足さんがもう文字だけで気になってしょうがないです。興味がちょっと普通の方とは違うんですけど、それも自分として記事をワクワクして読ませて頂きました。奈良のお寺等の歴史は本当継承する方がいてきちんと繋がっていますよね。それが羨ましいです。関東にもおそらく昔からの歴史がありながら間の時間で不詳のままになっている場所は多いはず。人がどれだけ関わったか?で歴史も継承されていくのでしょうね。

記事を取り上げて頂ける事でこうして知る事も興味持つ事も出来る。本当にありがたいですよ。
イベントのときなどに (tetsuda)
2020-03-12 02:45:14
りひとさん、コメントありがとうございました。
阿吽寺も巨瀬寺跡も、訪ねる人は多くありませんが、このようなイベントなどの機会を捉えて、ぜひお参りください。

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