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「ドライブ・マイ・カー」を見てきた!

2022年04月03日 | 日々是雑感
金曜日(2022.4.1)、大阪府吹田市千里万博公園内の「109シネマズ 大阪エキスポシティ」で、第94回アカデミー賞「国際長編映画賞」(旧外国語映画賞)に輝いた「ドライブ・マイ・カー」を見てきた。万博公園の桜が満開と聞いていたので、花見を兼ねて立ち寄ったのだ。ネタバレしない範囲内で、感想を書いておく。
※トップ写真は、毎日新聞の記事サイトから拝借した

チケット売り場の女性に開口一番、「長いですよ」と言われてしまった。確かに3時間15分と聞くと驚くが、見ていて、そんなに長くは感じなかった(午後1時45分~午後5時)。それくらいの長さがないと、表現できないものがあるのだ。村上春樹の小説はよく読むが、この原作は読んでいなかった。

映画を見るのは本当に久しぶりだ。文楽や歌舞伎のときのクセで前の方の席(前から4列目)を押さえたが、ここまで前にする必要はなかった。売店で買ったピザとホットコーヒーを持ち込んで、席に座った。

不思議な印象のオープニングから、謎めいたエンディングまで、密度の高いシーンが次から次へと展開する。観客は緊張を強いられるが、ハイウェイや湾岸道路を車(赤いサーブ900)が疾走するシーンや雪道のシーンは、自動車映画を見ているような楽しさがあった。

劇中劇としてベケットの「ゴドーを待ちながら」やチェーホフの「ワーニャ伯父さん」が登場する。また車の中では、カセットテープから死んだ妻の声(「ワーニャ伯父さん」のセリフの一部)が聞こえてきて、主人公はワーニャ役の部分を暗唱する(空白のセリフを埋めていく)。観客は時間と空間がワープする、不思議な場所に連れて行かれたような錯覚を覚える。

登場人物たち(オーディションで選ばれた「ワーニャ伯父さん」の出演者)がいろいろな言語(日本語のほか英語、中国語および韓国語の手話など)で「ワーニャ伯父さん」のセリフの読み合わせをするシーンは、この映画の見どころだ。

映画の最後のあたりで主人公と運転手の女性が、女性の生まれた北海道へ行き、土砂で崩れた生家(一面の雪で埋もれていた)の前で心を通わせるシーンは、感動的だった。

前回(2009年)外国語映画賞を受賞した「おくりびと」は涙と笑いの連発だったが、こちらは終始ジーンときた。演劇の要素も入っているので、想像力を刺激されるシリアスな映画だった。こんな映画体験は初めてだ。ぜひ、ご覧いただきたい。

毎日新聞(2022.3.28 夕刊)



毎日新聞(2022.3.29)

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