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祝!「飛鳥・藤原の宮都」世界遺産の国内推薦候補に!(2024 Topic)

2024年09月13日 | 観光にまつわるエトセトラ
火曜日(2024.9.10 付)の新聞各紙に、国の文化審議会の答申で、「飛鳥・藤原の宮都」が世界文化遺産の「国内推薦候補」に決まった、と報じられていた。暫定リストに載ったのは2007年だから、ここへ来るまでに足かけ17年が経過したことになる。
※トップ写真は、明日香村の石舞台古墳で撮影(2024.4.6)

奈良県内の世界遺産と言えば、20年前に吉野大峯が登録されてから、新規登録がなかった。ここへ来て「飛鳥・藤原」が推薦候補に選ばれたことは、とても嬉しい。今日は同時代の記録として、同日の2つの大きな記事を以下に紹介しておく。まずは、毎日新聞朝刊総合面(9/10付)には、

「飛鳥・藤原」推薦へ 世界遺産、26年登録目標 文化審
国の文化審議会は9日、2026年の登録を目指す世界文化遺産の推薦候補に「飛鳥・藤原の宮都」(奈良)を選んだ。政府は25年1月末までに国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出。ユネスコ諮問機関が現地調査して登録の可否を勧告、順調なら26年夏のユネスコ世界遺産委員会で正式に登録が審査される。

飛鳥・藤原は、天皇の宮殿跡である飛鳥宮跡(明日香村)や藤原宮跡(橿原(かしはら)市)、極彩色壁画が発見された高松塚古墳(同村)、古代の人々が神聖視した大和三山(香具山、畝傍山、耳成山)など22の資産で構成する。

文化審は、6世紀末期から8世紀初頭にかけ「東アジアの古代国家形成期において中央集権体制が誕生・成立した過程を、二つの宮都の変遷から示す唯一無二の資産」と評価。登録実現に向け、敷地の約2%が史跡に指定されていない藤原宮跡の保護を強化したり、推薦書で文化的価値を分かりやすく説明したりするよう求めた。

名称はこれまで「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」としてきたが、後半部を外して手続きを進める。文化審世界文化遺産部会長の菱田哲郎京都府立大教授は記者会見で「考古学的な調査の成果から国家の形成過程を示すことができる見本として、世界でも注目に値する」と指摘した。

飛鳥・藤原は07年、将来の登録候補としてユネスコの暫定リストに記載された。文化審は23年も推薦の可否を協議したが「保護措置が十分でない」と指摘し、政府が推薦を見送った。地元自治体は保護強化のため史跡の範囲拡大などに取り組み、今年4月に推薦書素案を政府に再提出した。

高松塚古墳の村役場興奮、祝う幕
関係自治体の中でも「遺跡と共に生きる村」として運動を続けた奈良県明日香村の喜びはひとしおだ。2007年に暫定リストに掲載されてから17年。村役場には「祝 飛鳥藤原」と書かれた懸垂幕が下げられた。

飛鳥・藤原は、ほかに橿原・桜井両市の計3自治体にまたがるが、22の構成資産中、高松塚古墳など15の構成資産が明日香村にある。周辺市町との合併も検討した人口5000人余の村が03年、単独で存続することを決めた後に取り組んだのが、世界文化遺産登録による訪日客の誘致だった。

森川裕一村長は「村が誇る遺産をまずは国に認めていただいて大変うれしい。2年後の本登録に向け全力を尽くす」と述べた。登録推進協専門委委員長の木下正史・東京学芸大名誉教授は「古代東アジアとの交流を通して律令制による中央集権国家がつくり上げられていった過程を示す稀有(けう)な遺産群。保存に向けてさらに努力していく」と話した。【皆木成実】


また、同日の毎日新聞奈良版には、以下のように紹介されていた。

明日香村長「地元に誇りを」 「飛鳥・藤原」 世界遺産推薦候補に
世界文化遺産への登録を目指してきた「飛鳥・藤原の宮都」(「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」から名称変更)が9日、国の文化審議会の答申で新たな国内推薦候補に決まった。順調に進めば、2026年夏の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会で登録が決まる。国の暫定リストに記載された07年から足かけ17年。悲願成就が近づき、地元では喜びと期待の声が上がった。【稲生陽、皆木成実】

「飛鳥・藤原」は明日香村、橿原市、桜井市の宮殿跡や古墳などの22件からなる。古代の朝廷が中国大陸と文化・技術面で交流しながら、国内初の中央集権国家を完成させていく過程を示す文化財と位置づけられる。

ライバルと目されてきた彦根城(滋賀県)が、時間のかかる「事前評価制度」を受け入れたことで「飛鳥・藤原」が先に推薦されるとみられていた。来年1月中旬をめどに正式な推薦書をユネスコに送り、来夏のユネスコ審査機関・イコモスの現地調査を経ての登録を目指す。候補決定を受けて3市村の首長と山下真知事は県庁で記者会見し、「大変大きな前進。やっとここまで来れた」と喜びを語った。

地元は、ユネスコに提出する推薦書の素案を作る必要があり、県と3市村でつくる推進協議会は20年以降、文化庁と調整しながら素案を4回提出。23年に文化審から資産保護について指摘を受けた後は、構成資産数の見直しや藤原宮跡の史跡指定化などの対策を進めてきた。

世界遺産に登録されれば、北和に比べて観光資源の乏しい中南和地域にとって観光の核となる。山下知事は「登録までの2年間で県もハード・ソフトの整備に取り組み、もてなす態勢作りや周遊ルートの整備も考えていきたい」と意気込みを示した。

構成資産の大半が位置する明日香村の森川裕一村長は「一番重要なことは地元の人の心が豊かになり、誇りを持てるようになることで、世界遺産登録はあくまでも手段。この地域だけでなく、吉野や宇陀、葛城など周辺の魅力を知ってもらう契機になれば」と話した。

「飛鳥・藤原の宮都」22構成資産
 1 飛鳥宮跡  明日香村
 2 飛鳥京跡苑池(あすかきょうあとえんち)  同
 3 飛鳥水落遺跡  同
 4 酒船石遺跡  同
 5 飛鳥寺跡  同
 6 橘寺跡  同
 7 山田寺跡  桜井市
 8 川原寺跡  明日香村
 9 檜隈寺跡(ひのくまでらあと)  同
10 石舞台古墳  同
11 菖蒲池古墳(しょうぶいけこふん)  橿原市
12 牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん)  明日香村
13 藤原宮跡  橿原市
14 大和三山(香具山)  同
15 大和三山(畝傍山)  同
16 大和三山(耳成山(みみなしやま))  同
17 大官大寺跡  橿原市・明日香村
18 本薬師寺跡  橿原市
19 天武・持統天皇陵古墳  明日香村
20 中尾山古墳  同
21 キトラ古墳  同
22 高松塚古墳  同




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