NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」が毎週木曜日、毎日新聞奈良版に連載している「ディスカバー！奈良」、先週（10/12）に掲載されたのは「高天原（たかまがはら）の伝承地 御所市の金剛山麓」、執筆されたのは同会顧問（前理事長）の小北博孝さんである。
※トップ写真は高天彦神社（御所市高天）。写真はいずれも、小北さんの撮影
高天原とは神々（天つ神）のいます天上界のことで、『古事記』などに登場する。なので地上には存在しないはずであるが、古くから「高天彦（たかまひこ）神社」周辺の台地が高天原（伝承地）とされてきたのである。この神社について、興味深い記述が『大和・紀伊寺院神社大事典』に載っていた。
高天彦神社［現］御所市大字北窪小字灯明
金剛山東麓、北窪孫十郎（きたくぼまごじゆうろう）方に鎮座。「延喜式」神名帳葛上（かつじよう）郡の「高天彦神社名神大、月次相嘗新嘗」に比定。旧村社。高皇産霊（たかみむすび）神・市杵島姫（いちきしまひめ）命・菅原道真を祀る。
高天彦神は高皇産霊神の別称で、金剛山別当葛城家の祖神という。古来、背後の白雲（しらくも）峰（694メートル）を神体とし、山嶺を灯明松という。式内高天彦神社は宝亀10年（779）大和国に神戸四戸をあてられ（新抄格勅符抄）、延暦25年（806）4月26日、井上内親王の願により四時幣帛にあずかり（日本後紀）、天安3年（859）1月27日、従二位に叙せられた（三代実録）。
「大和志」によると、後世、彦沢（ひこさわ）権現とも称し、北窪・極楽寺（ごくらくじ）両村の氏神であった。現在は御所市北窪・西北窪・極楽寺・高天の共祭。例祭には現五條市の栄山（えいさん）寺（真言宗豊山派）前の清水を使用して牛の舌餅という小判形の餅を作り、神輿の練行がある。
「葛城家の祖神」「山嶺（山頂）を灯明松という」「北窪・極楽寺両村の氏神」「牛の舌餅」「神輿（みこし）の練行」などなど、決して『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』に載らない話が出ていて、とても興味深い。なお「金剛山別当葛城家」とは、山頂近く（大阪側）の「金剛山転法輪寺」中興開山の土豪・葛城家のことである。知れば知るほど、御所はおもしろい！ ではそろそろ、記事全文を紹介する。
史跡・高天原の碑
日本神話で、天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめ多くの神々が住んでいた天上の世界とされる「高天原（たかまがはら）」の伝承地が御所市の金剛山麓にあります。ここには最高の社格とされた名神（みょうじん）大社の高天彦（たかまひこ）神社があり、高皇産霊神（たかみむすひのかみ）がまつられています。
本社の背後には美しい円すい状の御神体山、白雲峯（694㍍）がそびえていますが、社殿ができる以前は、この御神体山に御祭神をまつっていました。樹齢数百年の杉の古木が立ち並ぶ参道は高天(たかま)の集落に通じ、周辺にひろがる広大な台地が高天原の伝承地です。
高天原の所在地については古来諸説あり、宮崎県高千穂町や岡山県真庭市など全国に多くの伝承地がありますが、江戸時代初頭まではこの地が高天原だと考えられていました。周辺一帯は古代豪族葛城氏の本拠地であり、近くには葛城氏の居館跡とされる極楽寺ヒビキ遺跡もあります。
メモ 高天原へは近鉄御所駅から、五條バスセンター行バス「鳥井戸」下車。徒歩約1時間。（奈良まほろばソムリエの会顧問 小北博孝）
この神社へは何度かお参りした。境内近くにたくさんの車が駐まっていて、「おっ、こんなにたくさんの参拝者がいるのか」とおもいきや、これらは金剛山（1,125ｍ）への登山者の車だった。ここから歩いて登るようだ。
小北顧問、高天彦神社周辺のご紹介、ありがとうございました！
※トップ写真は高天彦神社（御所市高天）。写真はいずれも、小北さんの撮影
高天原とは神々（天つ神）のいます天上界のことで、『古事記』などに登場する。なので地上には存在しないはずであるが、古くから「高天彦（たかまひこ）神社」周辺の台地が高天原（伝承地）とされてきたのである。この神社について、興味深い記述が『大和・紀伊寺院神社大事典』に載っていた。
高天彦神社［現］御所市大字北窪小字灯明
金剛山東麓、北窪孫十郎（きたくぼまごじゆうろう）方に鎮座。「延喜式」神名帳葛上（かつじよう）郡の「高天彦神社名神大、月次相嘗新嘗」に比定。旧村社。高皇産霊（たかみむすび）神・市杵島姫（いちきしまひめ）命・菅原道真を祀る。
高天彦神は高皇産霊神の別称で、金剛山別当葛城家の祖神という。古来、背後の白雲（しらくも）峰（694メートル）を神体とし、山嶺を灯明松という。式内高天彦神社は宝亀10年（779）大和国に神戸四戸をあてられ（新抄格勅符抄）、延暦25年（806）4月26日、井上内親王の願により四時幣帛にあずかり（日本後紀）、天安3年（859）1月27日、従二位に叙せられた（三代実録）。
「大和志」によると、後世、彦沢（ひこさわ）権現とも称し、北窪・極楽寺（ごくらくじ）両村の氏神であった。現在は御所市北窪・西北窪・極楽寺・高天の共祭。例祭には現五條市の栄山（えいさん）寺（真言宗豊山派）前の清水を使用して牛の舌餅という小判形の餅を作り、神輿の練行がある。
「葛城家の祖神」「山嶺（山頂）を灯明松という」「北窪・極楽寺両村の氏神」「牛の舌餅」「神輿（みこし）の練行」などなど、決して『奈良まほろばソムリエ検定 公式テキストブック』に載らない話が出ていて、とても興味深い。なお「金剛山別当葛城家」とは、山頂近く（大阪側）の「金剛山転法輪寺」中興開山の土豪・葛城家のことである。知れば知るほど、御所はおもしろい！ ではそろそろ、記事全文を紹介する。
史跡・高天原の碑
日本神話で、天照大神(あまてらすおおみかみ)をはじめ多くの神々が住んでいた天上の世界とされる「高天原（たかまがはら）」の伝承地が御所市の金剛山麓にあります。ここには最高の社格とされた名神（みょうじん）大社の高天彦（たかまひこ）神社があり、高皇産霊神（たかみむすひのかみ）がまつられています。
本社の背後には美しい円すい状の御神体山、白雲峯（694㍍）がそびえていますが、社殿ができる以前は、この御神体山に御祭神をまつっていました。樹齢数百年の杉の古木が立ち並ぶ参道は高天(たかま)の集落に通じ、周辺にひろがる広大な台地が高天原の伝承地です。
高天原の所在地については古来諸説あり、宮崎県高千穂町や岡山県真庭市など全国に多くの伝承地がありますが、江戸時代初頭まではこの地が高天原だと考えられていました。周辺一帯は古代豪族葛城氏の本拠地であり、近くには葛城氏の居館跡とされる極楽寺ヒビキ遺跡もあります。
メモ 高天原へは近鉄御所駅から、五條バスセンター行バス「鳥井戸」下車。徒歩約1時間。（奈良まほろばソムリエの会顧問 小北博孝）
この神社へは何度かお参りした。境内近くにたくさんの車が駐まっていて、「おっ、こんなにたくさんの参拝者がいるのか」とおもいきや、これらは金剛山（1,125ｍ）への登山者の車だった。ここから歩いて登るようだ。
小北顧問、高天彦神社周辺のご紹介、ありがとうございました！
