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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師、被災地に立つ(3)

2023年06月18日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、東日本大震災被災地での感慨の第3回(師のブログ 2012.3.15 付)である。師は甚大な被害を目の当たりにし、無力感を感じる。
※トップ写真は、吉野山の桜(3/31付)

〈はらはらと涙にくれる老夫妻の前でも、なすすべなく、お元気でいてくださいというのがやっとの私だった。(中略)自分の痛みに置き換えて、多くの悲しみに添えればと思う。そのために乗り越えるべき課題に向き合っている〉。「悲しみに寄り添う」ということは、お坊さんの大切な役割だ。では、以下に全文を掲載する。

東北にて…2
昨日と今日は仙台近辺を中心にお見舞いに回っている。市内も場所によってずいぶん被災の様子が違っている。山の手の方は地震で家屋の傾きや部屋の家財道具が壊れたり、それはそれで大変なことであったようだが、海岸沿いの若林地区などは家ごと津波にさらわれ、多くの方々が亡くなっている。

間一髪で逃げたという老夫妻を訪ねたが、家も家財道具もなにもかもなくし、途方にくれておられ、昨日もひとしきり泣いておられた。

おとといの茫々たる陸前高田や南三陸、石巻の風景を目の当たりにして言葉をなくし、はらはらと涙にくれる老夫妻の前でも、なすすべなく、お元気でいてくださいというのがやっとの私だった。

この地に来たことに意味があると書いたが、来たことだけにしか意味を見出せない東北4日目。昨日訪れた名勝松島の穏やかな海はこの地の本来持つ豊かさと穏やかさを感じさせてくれたが、人々のあえぎはまだまだ続くのかもしれない。

自分の痛みに置き換えて、多くの悲しみに添えればと思う。そのために乗り越えるべき課題に向き合っている。
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